手入れして長く使う
ステンレスの台所道具

田邊直子（D&DEPARTMENT 商品部）

実家を出たときに買ったケトルで、実は消去法で選びました。ホーローの柔らかい雰囲気のもの、モダンデザインのもの、沸くとホイッスルが鳴るもの‥‥‥、いろいろなケトルを見ましたが、どれも小さな違和感があり、柳宗理さんがデザインしたこのステンレスケトルに落ち着きました。
気がつけば25年、真冬以外は毎日のようにこのケトルで湯を沸かし麦茶をつくっています。ずっと使っているのは、細部まで考え抜かれた「道具」だからかもしれません。取っ手の形は自然に手全体にフィットし、沸かし立ての熱と重さがあっても持ちやすく、傾けやすく、力の弱い私や娘も安心。 注ぎ口もよくできていて、ケトルから直接小さなカップに注ぐとき一滴もこぼさず、すっとキレ良く入れられます。
長年ラフに扱い、お手入れらしいお手入れはしていないから、写真に見える程度の茶渋がうっすらつくこともあります。気が向いた時に軽く手入れをすればきれいに。
このケトル以外にも、ボウル、ミルクパン、アイスクリームスプーンなど、柳宗理さんのステンレス製品をいくつか使っていて、どれも20年ほど経ちました。長年身近に置いても違和感を感じないシンプルな姿、使いやすさ、丈夫さ。このストレスのなさが日々の暮らしの道具になるかどうかの境目なんだなと思います。