nagaoka kenmei plastics

プラスチックも一生モノになりえる。

人類は様々に自然の摂理を捻じ曲げながら人間の都合で発展させてきました。「土の中のものは取るべきではない」という意識人の考えなどもあります。その代表的なものが石油でしょう。そこから便利という人間の都合による様々な生活用品が生まれました。その一つが「プラスチック」です。熱に強く、落としてもガラスや陶器のように割れず、そして軽く、量産もできる。様々なカラー展開も、その鮮やかな発色も魅力で、透明にもでき、雨にも強く屋外使用もできる。
僕は昔から「経年変化したプラスチック」がとても好きです。そして、収集を始めながら、D&DEPARTMENTでも多くを販売しました。今でもその魅力をうまく言葉にできませんが、誰からも愛されず、ただ、必要な用途を全うすることで擦れたり日焼けしたりして変色したその様子に、どこか健気(けなげ)さを感じるのです。つまり、彼らは「長期使い捨て用品」だったと言えるでしょう。一生モノとして長く使ってもらえることもなく……。
この企画展は日本中からそうしたものを集め、改めてプラスチックの経年変化を直視してみようというものです。作って、便利に使い倒し、壊れないので、捨てもしない。彼らにできることは、変色したり、すり減るだけ。しかし、それが彼らの最大の表現であり、そこに人類としての新たな美意識で近寄ってみてはどうかというものです。土に自然界に戻らないから、知らず知らずに体の中に微細に入り込んでしまうから、とかブツブツいっていないで、一生ずっと使えるものとして愛してみる。
木材や陶器、ガラスや鉄に経年変化があるように、プラスチックにも立派な経年変化があります。そこに皆さんと一緒に注目してみたいと思い企画しました。  ナガオカケンメイ

 

LONG LIFE DESIGNとは

一昨年末、ナガオカケンメイさん企画、D&DEPARTMENT PROJECT主催のLONG LIFE DESIGN 1 47都道府県の健やかなデザインに石川県代表のモノとして、私の工房のロックグラス(小)の花という作品が選ばれました。素直にとても嬉しく、渋谷のヒカリエのd47 MUSEUMまで展覧会を見にいきました。そこに並ぶのは、私が見慣れた美しい工芸品や今を時めくデザイン小物ではなく、見過ごしてしまうような、ただ、どこかドッシリとしたモノたちでした。手仕事から大量生産へ、そしてまた手仕事へと、モノがあふれたり、便利になりすぎたりすると、今度はどこか人間らしさ、体温や愛着みたいなものが必要になるということなのでしょうか? 私個人は自分の周りに置くモノには、そういう感覚は、いつも感じていたいと願うわけです。ケンメイさんはこのロングライフデザインの活動で、これからのデザインに必要なことを4つあげています。私なりに噛み砕いてみました。
1、根付く/足元がフワフワしていないか、その土地、または、大きく言うと日本で作られる理由みたいなものでしょうか。
2、健やか/作る上で無理がでてないか、継続可能なための風通しがよいか?
3、仲間/買い手を仲間に取り込んでしまう。仲間になるような買い手と関係性を継続していく。(これ面白い考え!)
4、歴史/温故知新ですね。
ケンメイさんはこの一見あたりまえだけど、さらにこれからモノを生み出す上でとても大切なことを、伝えてくれています。私たち一人一人が出来ることは、ほんの小さなことだけど、自分たちが活動を続けることで、日本がより良い国になれば頑張るよ!と、大袈裟だけど、そう思わされる。そんな力を持った人です。ケンメイさんは。長~く愛してもらえるために、ガンバロっと!   辻和美
*参照:LONG LIFE DESIGN 1 47都道府県の健やかなデザイン

 

nagaoka kenmei plastics

日程
2020/1/10(金)~2/16(日)
時間
11:00~18:00
場所
factory zoomer/gallery(金沢21世紀美術館横) Map factory zoomer/gallery

●お問い合わせ:076-255-6826(factory zoomer/gallery)

毎週月曜定休(月曜祝日の場合は火曜)

key visual:photo by sasaki takanori
協力/リス株式会社、YIIPUN UMADA

factory zoomerは、ガラス作家 辻和美(tsuji kazumi)がデザイン、制作する吹きガラスの食器を中心としたファクトリーブランドです。1999年に金沢市内に制作のためのアトリエ /studioを設立。ガラス食器の新しいスタンダードを目指し、生活者により近いグラスを作っています。朝の水飲みコップ、ヨーグルトを入れるカップ、お酒のため、お料理のためと、人の暮らしを底辺から応援するグラスを作り続けています。2005年には金沢犀川縁に/shopをオープン、2016年には、同じく金沢広坂に/galleryをオープンし、ガラスだけではなく、辻が、生活者の目線で、選んだモノ、暮らしのハレやケのいろいろな場面で活躍する丁寧に作られたモノを紹介しています。
https://factory-zoomer.com/