Long Life Project

Long Life Project

「ロングライフデザイン」から「ロングライフ」へ。
ものも生き物のように愛着や世話をしながら一緒に暮らす。

プロジェクトのタイトルである“ロングライフ”。直訳すると「長生き」ですが、デザインが好きな人には“ロングライフデザイン”が思い浮かぶかもしれません。これは戦後日本で生まれた造語ですが、モノに魂が宿るという考えが身近にある日本人にとってはとてもしっくりきます。「長生き」は人間や動物など生き物に使われてきましたが、多様な考えを受け入れていく時代となった今こそ、モノの中に宿る様々な思いに興味をもち、人もモノも長く手入れ、修理をしながら使い続け次の世代にも引き継ぐ言葉としてもいいのではと考え、あえて「デザイン」を取りながらその意味も持つプロジェクトの名前としました。つまり「ロングライフデザイン」から「ロングライフ」へ。モノも生き物のように愛着や世話をしながら一緒に暮らす。素材の価値や流行、著名性などに関係なく、いかに自分のそばで一緒に長くいたいと思えるようにしていくか。長く使いたいと思う自分に整えていく。そんな優しい時代に変わりつつある今、私たちD&DEPARTMENTは「デザイン」を名乗らない新しい“ロングライフデザイン”を提言していきます。モノだけではなくコトだけでもない今までの価値観を整えていく。「もの・の・まわり」をより実践していく。それが「ロングライフプロジェクト」です。

Can★Do Long Life Project

安価で手軽なお店にも、一生使える、使いたいものはあるはずです。
そうした新しい価値観を一緒に作り出す売り場を考え、実行していきます。

新しいロングライフデザインを提言していく私たちD&DEPARTMENTのプロジェクト「ロングライフプロジェクト」。新しくモノを作り出しながら出来るだけ長く愛着を持って使い続ける。新しいプロジェクトの最初のパートナーは気軽で楽しく生活用品を提供する100円ショップ「Can★Do」です。ロングライフデザインと100円ショップ。これまではなかなか一生長く使うモノを購入する店としては正直選ばない場所だと思いますが、私たちは以前より「買い際の意識」つまり、お店やWebストアなど、ものを紹介するお店にある「店員から手に入れる」その時こそ、もっとも重要な時だと考えていました。「手軽」「安い」ということは生活する私たちにとってとても重要である一方、どこか「思い入れ」「ものづくりの物語」などに欠いた印象があります。だからこそ逆にいつかそうしたお店とも何かロングライフデザインの改革を一緒にやってみたい。そんな思いをCan★Doさんと実行してみることにしました。年間を通じて手軽な生活用品を一緒に作りながら、同時にコミュニティやものづくりの背景、それらを使った楽しい生活シーンのシェアなど、できる限り取り組んでいきます。ものはそのもの自体だけではなく「もののまわり」にある様々なことがとても重要です。私たちが販売時に工夫しているそんな「もの・の・まわり」という考えを100円ショップでやってみようと思います。安価で手軽な売り場にも、一生使える、使いたいものはあるはずです。私たちのそうした新しい価値観を一緒に作り出す売り場を考え、実行していきたいと思います。

PROJECT MEMBER

ロングライフな素材であるプラスチック。100円ショップでも売り方や伝え方によって、プラスチック=使い捨てという意識を変えられるのではないか。そんな期待を込めて取り組む、Can★Doとの新プロジェクトです。

D&DEPARTMENT PROJECT
創設者 ナガオカケンメイ
Kenmei Nagaoka

プラスチックはロングライフな素材
見方を変えるメッセージを考案

Long Life Plastic Projectを2021年に立ち上げたのは、プラスチック製品に対する風当たりの強さに違和感を持ったことがきっかけです。プラスチックは軽くて割れにくいロングライフな素材なのに、土に還らないことからゴミ問題で悪者にされています。大量生産で安価なことから、使い捨てられることも多いですよね。だけど、プラスチックに対する見方を変えることができたら、大切に使いつづける人が増えるかもしれない。そんな思いから考えたのが「プラスチック製品であっても、一生モノになり得ます。あなたが大切にすればね。」というメッセージです。

経年変化したプラスチックに愛着を感じる
新しい視点を伝える方法

僕は以前から、陶磁器などと同じように、経年変化したプラスチック製品に愛着を感じ、趣味で集めていたものをアートピースとして展示・販売したこともあります。その展示では、僕のメッセージに賛同してくれた人たちが買ってくれました。その経験をもとに、メッセージの象徴として小ロットでプラスチック製のマグカップを開発し、2021年からD&DEPARTMENT各店で、1個4950円で販売しています。シンプルですが使いやすいデザインで、数量限定生産でシリアルナンバー入り。購入者だけが参加できるコミュニティもつくり、日常使いできるアートピースのようなアイテムです。価格に驚かれる方も多いのですが、プロジェクトの考え方や思いを伝えると、買ってくれる人は「一生大切にする」と言ってくれます。

みんなで「使い捨て」について考え
100円ショップで新しい視点を伝える

100円ショップは、その名のとおり価格がコンセプトのお店です。プラ製品もたくさん取り扱っていて、市場も大きく、100円の商品は使い捨ててもいいと思っているお客さんも一部にはいるはずです。そんな100円ショップでも、伝え方によって、プラスチック=使い捨てという意識を変えられるのではないか。そんな期待を込めて、Can★Doと一緒に取り組むことにしました。ただ、100円ショップでは、D&DEPARTMENTを知る人は少なく、希少性を売りにして4950円で販売するのは難しい。そこで、さまざまな工夫をして、1個400円で販売することにしました。価格は違いますが、カップ自体のデザインも伝えたいメッセージも同じです。Can★Doに訪れた人たちは、どう捉えるでしょうか。スタッフのみなさんも含めて「使い捨て」について考えるきっかけになるように、一緒に盛り上げていきたいと思っています。

Can★Doに行けばなんでも揃う。生活インフラとして、期待に応え続けていくために、プラスチックをロングライフな素材と捉えた商品販売に挑戦。大切に使えば一生モノになり得る、メッセージを伝えながら販売していきます。

株式会社キャンドゥ
バイヤー

これまでのSDGs関連商品とは全く違う
ロングライフな商品販売に挑戦

100円ショップは、生活インフラとしても認知されつつあると思います。Can★Doに行けば、何でも揃う。そんな期待に応えていくために、100円以上の付加価値のある商品採用に取り組んでいます。購買層を広げていくことも私たちの目標でもあり、SDGsを意識した商品ラインアップの拡充を考えていたとき、サナダ精工さんを通じてD&DEPARTMENTのLong Life Plastic Projectを知りました。Can★Doでも環境に配慮した素材を使用した商品は販売していますが、それとは全く切り口が違う。プラスチックをロングライフな素材として捉えた商品開発に賛同し、私たちも挑戦することにしました。

新しい価値観を伝えながら販売する
意識改革にもつながる取り組み

Long Life Plastic Projectは、「プラスチック製品であっても、一生モノになり得ます。あなたが大切にすればね。」というメッセージを伝えながら販売し、共感してくれた人たちに商品を買っていただくプロジェクトです。商品自体はシンプルなデザインですが、実際に使って見ると、マグカップは口当たりもよく、細部まで考え尽くされたものであることがわかります。それらをお客さまに伝えながらCan★Doで販売することは、私たち自身の意識改革にもつながるはず。それは社会的な意味があることだと考えています。新しい価値観をどうやって示し、浸透させることができるか。お客様目線で考えながら、取り組んでいます。

Can★Do初、マスバランス方式による
バイオマスプラスチックを一部使用したプラ製品

商品を長く使い続けてくださるお客さまも多く、ときどき「ずっと使っていて壊れてしまったから新しいものが欲しい」と言われることがあります。ありがたいことに、100円のプラスチック製品でも、長く使い続けてくれている方はいるんです。そのことからも、今回のプロジェクトの肝でもある、コンセプトを伝えながら販売することに可能性を感じています。まずは国内177店舗で販売していく予定です。マスバランス方式によるバイオマスプラスチック(バイオマスのポリプロピレン)を一部使用したプラスチック製品を販売することも初めての試みとなります。そのこともアピールしていく計画です。

経年変化を楽しみ、プラ製品も一生モノになる。プラスチックメーカーにはなかった視点に衝撃を受け、可能性を感じています。D&DEPARTMENTと一緒にプラスチックプロジェクトに取り組みながら、「愛されるプラスチックをつくろう」という自社の経営理念の実現も目指しています。

サナダ精工株式会社
代表取締役 眞田和義
Kazuyoshi Sanada

プラスチックメーカーには見えていなかった
経年変化を楽しむという視点

ケンメイさんは2020年、石川県金沢市で「nagaoka kenmei plastics」と題した展覧会を開催しました。そこで展示・販売されていたのは、経年変化した古いプラスチック製品です。日に焼けて色褪せた植木鉢やヤクルトのパッケージなどを、“一点もの”として販売していました。プラスチックの経年変化を楽しむという考え方は、プラスチックメーカーである僕らにはなかった視点です。そして、ケンメイさんが掲げた「プラスチック製品であっても、一生モノになり得ます。あなたが大切にすればね。」というメッセージは、サナダ精工の「愛されるプラスチックをつくろう」という経営理念とも重なります。そこからナガオカさんとの交流が始まり、2021年にLong Life Plastic Projectを立ち上げました。

メッセージを伝えるために
ノイズをそぎ落としていくプロセスもデザイン

今回販売するマグカップやお皿、ブタの貯金箱は、長く使い続けても飽きのこないシンプルなデザインが特徴です。これらの商品の付加価値は、プラスチック製品との向き合い方について考える「メッセージ」です。使い捨てするのも、一生ものとして大切にするのも自分次第。プロジェクトのメッセージが、シンプルなデザインに込められています。デザインといえば、絵柄やロゴなど装飾することをイメージされる方は多いのではないでしょうか。僕自身もそうでした。今回のようにメッセージの本質を伝えるために、あえてノイズをそぎ落とす。そのプロセス自体もデザインなのだと知る機会にもなりました。

デザイン性と量産化を実現した
ぶたの貯金箱「ぶたバンク」

森井ユカさんがデザインしたぶたの貯金箱「ぶたバンク」は、プラスチックメーカーとしてもチャレンジングな取り組みでした。ユカさんが粘土でつくった、手のひらに乗るくらい小さな原型を、ケンメイさんがイメージする貯金箱のサイズに置き換えていく作業も担当しました。当時、僕らは3Dスキャナを持っていなかったので、手作業で行ったのですが、それが逆に面白かった。ユカさんが生みだしたフォルムをできるだけ忠実に、かつ安定して量産できるようにデザインを数値化していくプロセスです。たとえば、背中の丸みや鼻の位置など調整したのですが、その作業は実に感覚的なものでした。森井ユカさんとケンメイさんが監修した、贅沢なコラボレーション商品です。ぜひ手にとって見てみてください。

環境に配慮した商品を選びたいという、生活者のニーズに素材メーカーとして応えきれていない現状があります。そこに切り込む今回の取り組みは、エポックメイキング。買い物をするたびに環境が少しずつ良くなっていく。長く使うことが喜びになる。そんな心の循環をつくることが理想です。

三井化学株式会社 グリーンケミカル事業推進室
松永有理
Yuri Matsunaga

変化を許容して楽しむ日本人の美意識を
思い起こさせるきっかけに

三井化学グループは、これまで難しいとされてきたポリプロピレンというプラスチックのバイオマス化に成功。食用油を作るときに出てきてしまう植物性の廃棄油や使用後の廃食油からバイオマスプラスチックを生み出しました。Long Life Plastic Projectには2023年から参画し、マスバランス方式によるバイオマスプラスチック(バイオマスのポリプロピレン)を提供しています。三井化学のルーツのひとつにインディゴ染料(合成藍)があります。海外製のものと比べると色落ちしやすく品質は決して良くなかったそうです。しかし、その天然藍に似た色落ちによる経年変化が受け入れられ、売れ行きを伸ばしたと伝えられています。つまり、日本人は昔から変化を許容して楽しむ気質があるということです。長く使うことでプラスチックの経年変化を楽しむ本プロジェクトは、日本人本来の美意識を思い起こさせるきっかけにもなるのでは、と考えています。

環境に配慮した商品を選びたい
消費者の選択肢が広がるエポックメイキング

近年の生活者の意識調査では、買い物するとき「環境に配慮した商品を積極的に選ぶ」という人は全体の約3割*で、その数は年々増加傾向にあります。ただ、バイオマス素材のプラスチックが環境に良いとわかっていても、それを使用した商品がまだまだ少ないのも事実。そうした背景からも、私たちの生活に身近な日用品を取り扱うCan★Doでマスバランス方式によるバイオマスプラスチックを一部でも使用した商品が販売されることは、エポックメイキングな出来事だと思います。消費者の選択肢が大きく広がり、カーボンニュートラルに向けた第一歩になることを期待しています。
* 2022年4月三井化学調べ(環境問題、買い物するときにどれだけ意識する?)

買い物するたび少しずつ環境が良くなる
そんな循環をつくることが素材メーカーの使命

生活者へのインタビュー調査では「脱プラという言葉が浸透したことで、そもそも何かを消費することに罪悪感を覚えるようになった」という声もありました。そんな罪悪感をなくすためには、消費そのものが「世の中を良くしていくこと」につながること(=リジェネラティブ)が理想です。そんなリジェネラティブな社会の実現に必要なのは、プラスチック素材を素から切り替えていくことだと考えています。生活者の方々は特に何も意識しなくても、買い物をするたびに環境が少しずつ良くなっていくのが理想。そんな社会と心の循環をつくることが、素材メーカーである僕らが成すべき使命でもあると思っています。

©SATOFOTO

目指したのは、ずっとそばに置いておきたくなる、飽きのこない「ロングライフ」な“ぶたの貯金箱”。工芸品的なシンプルさと、自分の作風であるかわいらしさ。その折り合いをつけることは、特に意識したことのひとつです。

YUKA DESIGN Co., Ltd.
代表取締役 森井ユカ
Yuka Morii

見慣れたデザインは一旦忘れ、
普遍的なぶたの貯金箱をデザイン

ケンメイさんからお声かけいただき、ぶたの貯金箱の原型デザインを担当しました。相談があった時点で「ぶたの貯金箱」をつくることは決まっていて、私が最初にイメージしたのは、昭和の時代からある、丸みのある形でした。
しかし、詳しくお話をお聞きすると、ケンメイさんが思い描いていたのは、大量生産されて見慣れているいわゆるキャラクターとしてのぶたの貯金箱ではなく、実際のぶたのフォルムに近い工芸品的なデザインのぶたであることがわかりました。そこで、丸みのある形の方は一旦忘れ、シンプルで普遍的なぶたの造形を考えてみることにしたのです。

シンプルでかわいらしく、量産もできる
完成までの二つの折り合い

今回のプロジェクトは、プラスチックのロングライフデザインがテーマ。ずっとそばに置いておきたくなるような、飽きのこないデザインを目指したので、私の作家性は際立ち過ぎないほうが良いだろうと考えました。工芸品的であることと同時にかわいらしくあることもリクエストの一つだったのですが、それは私の作風から自然とにじみ出てくるはず。工芸品的なクールさと、かわいらしさのバランスをとることは、特に意識したことのひとつであり、挑戦でした。
ケンメイさんとも何度も相談しながらデザインの方向性を固め、次はサナダ精工さんと一緒に量産できる構造を検証しました。もとのデザインにできるだけ忠実に、かつ組み立てやすく壊れにくいようにという、その折り合いもつけて完成させました。

暮らしに溶け込むプラ製品
その国の生活文化を形づくる重要なアイテム

私は大量生産品されたプラスチック製品の生活雑貨が大好きで、世界各国で買い集めコレクションしています。暮らしに溶け込むプラ製品は、その国の生活文化が見えてくる重要なアイテムであることがわかります。
たとえば、マグカップにその国独自のデザインが反映されることもあります。少し前に訪れたフィジーのマグカップは、スープボウルのように丸くて大きなスタイルが一般的でした。スーパーマーケットの店頭に山のように積み上げられていたプラ製マグカップも当然その形。それらがずっと昔から各家庭の生活必需品として使い込まれていることに、不思議な感動を覚えました。特別な名前もなく、誰も意識していない。だけど、その国の人なら誰もが知っている。そんなプラスチックの価値について考える今回のプロジェクトは、とても意義のあることだと思っています。このぶたも長く使われることで、新たなスタンダードになっていったら嬉しいです。

Products

  • ぶたバンク 21 : ゴールデンイエロー(500LLPぶたバンクゴールデンイエロー 税込 550円)
  • マグ 500 : ソイルオレンジ(400LLPマグ500ソイルオレンジ 税込 440円)
  • プレート 24 : ソイルオレンジ(400LLPプレート24ソイルオレンジ 税込 440円)
  • マグ 500 : サンドホワイト(400LLPマグ500サンドホワイト 税込 440円)
  • プレート 24 : サンドホワイト(400LLPプレート24サンドホワイト 税込 440円)
  • マグ 200 : レイクブルー(300LLPマグ200レイクブルー 税込 330円)
  • プレート 17 : レイクブルー(300LLPプレート17レイクブルー 税込 330円)
  • マグ 200 : グラスグリーン(300LLPマグ200グラスグリーン 税込 330円)
  • プレート 17 : グラスグリーン(300LLPプレート17グラスグリーン 税込 330円)
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