dの活動報告|2024.8

その土地に長く続くことをみんなで共有、活用し、未来に繋げる。

私たちは「ロングライフデザイン」を合言葉に、長く続いていることやものを研究・発信する《リサーチ&アーカイブ》、長く続いていることやものを紹介・販売する《セールス&コミュニケーション》、継続性やその土地の個性づくりを開発する《ロングライフクリエイション》の3つを柱に、健やかなものづくりと、そこに大切な意識を広める活動に取り組んでいます。2024年8月までに取り組んだ活動の一部をご紹介します。


 
セールス&コミュニケーション
d47食堂|UMAMI 角打ちBAR
鹿児島の個性豊かな、蔵自慢の焼酎を飲み比べ

8月10日、18日と2週続けて、2025年2月に鹿児島県内で行なわれる「焼酎ツーリズムかごしま」に向けた角打ちを開催。今回のゲストは、鹿児島県いちき串木野市の「大和桜酒造」と「濵田酒造」、日置市の「小正醸造」の3社。焼酎の製造工程だけでなく、地域による素材の違いや味わいの傾向などをお伺いしました。100以上の焼酎蔵が存在している鹿児島県は、世界を見渡しても非常に珍しい地域といえます。今後も、第2弾角打ちイベントの開催や飲み比べメニューの開発など、地域と焼酎の魅力を発信していきます。(中田 碧/d47食堂)


 
ロングライフデザインの会 事務局が、焼酎の可能性を広げる商品開発において大切なことを、小正醸造・研究開発課の宮之前諒太さんに聞きました。
 
「焼酎とは、団欒の酒。人が集い、わいわい楽しく酌み交わし、賑やかで温かい風景とともにある」と、幼い頃の記憶について語る、鹿児島出身の宮之前さん。2018年、26歳で小正醸造に入社して以来、研究開発課で商品開発や醸造・貯酒管理などに携わりながら、立ち会い販売会や角打ちなど、お客さんの反応を直接肌で感じることができる現場にも積極的に足を運び、焼酎の魅力を伝えています。

小正醸造は、1883年に鹿児島県鹿児島市で創業し、戦後小正家の郷里である日置市日吉町にて焼酎造りを再建。
1957年に日本初の樽熟成焼酎「メローコヅル」を発売し、熟成焼酎の先駆けとして知られる蔵元です。2017年には「嘉之助蒸溜所」を設立し、ウイスキーづくりを開始。「新しい薩摩蒸留酒文化を育む」ことを指針に掲げ、芋、米、麦など、さまざまな原料を使った焼酎づくりのほか、リキュールやジンなど、焼酎づくりの経験を活かした多種多様な蒸留酒を手がけています。また、鹿児島県酒造組合主催の「焼酎ツーリズム」には、2022年の発足当初から参加し、地域の蔵元、飲食店と一丸となり焼酎の魅力発信にも取り組んでいます。

ウイスキーづくりを始めたり、ワイン酵母を使って時流に沿ったフルーティーな味わいの焼酎をつくったり、これまでにない若々しいデザインのラベルにしたり。従来の焼酎のイメージから脱却し、新しい蒸留酒文化を育むために必要なことは、焼酎づくりへの誇りや技術といった「伝統」の継承と、国境を超え、未来に繋ぐための「挑戦」だと宮之前さんは言います。d47食堂の角打ちでは、利用客の約7割が女性だったことに驚くとともに、味の印象がわかりやすいラベルデザインを選んだ効果や、試飲などを通して、つくり手自らが「伝える」ことへの手応えも感じたそうです。

d47食堂では、定番メニューとして小正醸造の「メローコヅル エクセレンス」をはじめとした鹿児島の焼酎7種を提供しています。どれも蔵元の焼酎づくりに対する姿勢に共感し選んだ選りすぐりです。人と人、人と地域を結びつける、団欒の酒・焼酎を、私たちもともに楽しみ、味わいながら、その輪を世界に広げていけたらと思います。(ロングライフデザインの会 事務局・中村麻佑)

UMAMI 角打ちBAR「焼酎ツーリズムかごしま」焼酎蔵の角打ち 2024年8月3日(土)、10日(土)開催
鹿児島の焼酎蔵と、蔵のある地域を満喫する「焼酎ツーリズムかごしま2025」 2025年2月23日(日)開催
d47食堂|9月・10月のメニュー(9月20日~10月31日)


 
セールス&コミュニケーション
北海道|つづくをたべるトーク
昆布を味わいながら、昆布について語り合う、昆布の会。

ゲストに、大阪「こんぶ土居」の4代目・土居純一さんをお招きし、D&DEPARTMENT飲食部門ディレクターの相馬夕輝と、北海道店代表の佐々木信の3名によるトークを開催。土井さんに昆布出汁と合わせ出汁(かつお・昆布)を振る舞っていただき、参加者の方々には、日本の食卓には欠かせない昆布が減少し続けている危機的状況であることや、子どもたちへの食育としても大切な食材であることなどを再認識していただく機会となりました。日本の素晴らしい“うまみ”文化を通して、未来の美味しい食卓を守っていけるよう、今後も続けていきます。(山本彩佳/D&DEPARTMENT HOKKAIDO by 3KG)

つづくをたべるトーク 昆布のはなし 2024年7月27日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
福島|米焼酎ねっかのもののまわり
地域の風景と暮らしを守る、「ねっか」の活動を学ぶ

ゲストに、福島県只見町にある「ねっか」の代表・脇坂斉弘さんをお招きし、活動や米焼酎について学ぶ勉強会を開催。米焼酎ねっかは、「美味しいお酒を造りたい」という願望からではなく、農業の担い手不足などといった地域課題を解決するため、米農家たちと一緒に蒸留所を立ち上げ誕生しました。参加者の皆さんからは、「ねっかの自体は飲んだことがあるものの、その背景にある想いは知らなかった」という声が多く寄せられました。焼酎の美味しさだけでなく、ねっかが大事にしている活動にも共感いただけたことで、この会の開催意義を改めて実感することができました。(松月 杏/D&DEPARTMENT FUKUSHIMA by KORIYAMA CITY)

d SCHOOL わかりやすい米焼酎 2024年8月4日(日)開催
ねっかのもののまわり 2024年7月1日(月)~9月30日(月)開催


 
セールス&コミュニケーション
埼玉|d SCHOOLわかりやすい自然栽培 関野塾
次に繋げるための種取り作業も活況!

夏野菜の収穫も終盤にさしかかり、夏野菜の母本や冬野菜の種取りを行なう時期となりました。これらは固定種の野菜作りの最終段階の工程で、1年半かけて全ての作業が一巡する流れとなっています。特に種取り作業は、次に繋がる大切なタスク。関野塾は、野菜によって異なる種取りの方法を理論的に説明してもらえる貴重な講座でもあります。各々がしっかりと学び取り、家庭で実践してもらえるよう、私たちも一緒に学んでいきます。(尾崎なつ江/D&DEPARTMENT SAITAMA by PUBLIC DINER)

d SCHOOLわかりやすい自然栽培 関野塾  2024年3月5日(火)~全22回


 
セールス&コミュニケーション
d47|SHIBUYA WANDERING CRAFT 2024
染色家・山内武志さんに聞く、お話会とワークショップ。

ゲストは、86歳で現役の染色家として活躍されている山内武志さん。ワークショップでは、型紙にシンプルな文様を描き、合羽摺りという技法を使って文庫本カバーを制作。参加者の皆さんが思い思いにデザインを考え、反転したり重ねたりと、イメージの変化を楽しまれている様子に、山内さんのデザインの原点を垣間見ることができました。また、お話会では、山内さんが故・芹沢銈介氏に師事していた弟子時代のことから、現在の仕事に至るまでをお伺いしました。楽しみながら真摯に仕事に向き合われてきた山内さんから、「今この時を大事にしながら、何事も続けていくことの大切さ」を教わりました。(長島加奈恵/d47 MUSEUM)

染色家 山内武志さんに聞く 染めのワークショップ 2024年8月24日(土)開催
染色家 山内武志さんに聞く 染物のお話会 2024年8月24日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
三重|3周年記念企画
三重を代表するクラフトビールを味わう。

「伊勢角屋麦酒」を知っていただきたいと、定番から多様な味わいの限定醸造ビールまで、全16種類をご用意。8月10日には、伊勢角屋麦酒の岩本伊織さんに在店いただき、三重店では普段味わえない生ビールを店外で特別に販売しました。大手メーカーのビールとの違いを体感しながら、自分好みのビールを楽しそうに選ぶお客さんの姿が印象的で、クラフトビールの面白さを知る良い機会になったと感じています。これからも生産者とお客さんが直接交流できる機会をつくっていきます。(溝田麻子/D&DEPARTMENT MIE by VISON)

BEER & D&DRY CURRY HOTDOG STAND 2024年7月12日(金)~9月1日(日)開催


 
セールス&コミュニケーション
京都|宗像堂のパン
“パン愛”の深い京都から各地のパンをご紹介。

8月24日、偶数月の第4土曜は、沖縄「宗像堂」からパンが届きます。ご存知の方も多いと思うが、京都の“パン愛”はスゴイ。お客さんは「京都で、沖縄のパンにまた逢えることに感謝しかない」と、沖縄のお店に行った時の思い出や、以前食べた時の感想などを楽しそうに話してくださる。そして、パン好きなスタッフとの食べ方の提案など、会話は尽きない。食べることで、その土地のことを思う。今後も“パン王国”京都で、各地のパンとその作り手、その土地のことを京都の、世界の人に思ってもらえたら嬉しいです。(内田幸映/d食堂京都)

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セールス&コミュニケーション
京都|地域活動
今年も開催!佛光寺盆踊り大会。

2017年に復活し、毎年8月、京都店のある佛光寺で開催される盆踊り大会。今年は近隣の保育園や地域の方々の出店など、仲間がどんどん増え、大いに盛り上がった夜となりました。食堂は、昨年に続きかき氷(今年はオリジナルシロップに挑戦!)やクレープを、ショップは、「志ば久」のアイスきゅうりや角打ちスタンドを出店。オリジナルの日本酒やワインなども楽しんでいただき、「美味しかったから買いにくるね!」と嬉しいお声も。佛光寺の盆踊りは、炭坑節から沖縄民謡まで、踊ることが中心の会。ご近所の方や海外観光客の方、皆さんが自由に楽しみながら踊る様子は、夏の記憶に残る風景となりました。来年こそは京都店スタッフも櫓を囲んで踊りたいと思います!(門脇万莉奈/D&DEPARTMENT KYOTO)

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セールス&コミュニケーション
鹿児島|d SCHOOL わかりやすい注染
手ぬぐいを染めて、注染の魅力を体験。

8月3日、4日の2日間、講師に「ナカニ」の中尾雄二さんと田中啓介さんをお招きし、「注染」の歴史や技法を学び、オリジナルの手ぬぐいを染めるワークショップを開催。染めの前工程、型を乗せた生地の上に防染糊を乗せる「のりおき」は、糊の量や均一に伸ばす力加減が難しく、改めて職人の技術の高さを実感。また、参加者同士がおすすめの手ぬぐいの使い方について情報交換をする場面もあり、手ぬぐいの新たな楽しみ方を考える機会となりました。幅広い年齢層の方に参加いただいた今回のワークショップ。どの年代の方からも満足度の高い感想をいただき、今後も継続的に開催していくとともに、鹿児島県の染工や泥染めなどの作り手の方々とも関係を深め、“鹿児島ならではの染色”を発信する活動にも力を入れていきたいです。(鶴窪美佳/D&DEPARTMENT KAGOSHIMA by MARUYA)

d SCHOOL わかりやすい注染 2024年8月3日(土)、4日(日)
大阪 にじゆらの注染手ぬぐい 2024年8月1日(木)~9月17日(火)


 
セールス&コミュニケーション
沖縄|井口工房のやちむん
井口工房が手がける、“花を活ける”ための器。

沖縄店オープン当初から続く、夏の恒例企画「井口工房のやちむん」。今回は特別に花器を中心にご紹介し、沖縄店があるプラザハウス1階のフラワーショップ「life & flower fleur(フルール)」に、それぞれの花器の形に合わせたドライフラワーを飾っていただきました。さらに、井口工房の井口春治さんの在廊日には、インスタライブを配信。お客さんからは、実際に作り手から話を聞くことで、器を使うシーンの幅が広がったと感想をいただきました。今後も、井口工房のものづくりを伝え、井口さんならではの「やちむん」をご紹介する企画展を継続的に開催していきます。(島袋みのり/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA 3)

井口工房のやちむん 2024年7月17日(水)~8月26日(月)開催


 
リサーチ&アーカイブス
富山|生産者訪問
「カイニョお手入れ支援隊」の活動に参加しました。

日本最大の散居村が広がる砺波平野には、7,000もの屋敷林(カイニョ)があります。カイニョは、生物の棲家や気温を下げるなど、さまざまな機能がありますが、今その数は減少しています。そんなカイニョを残そうとボランティアで活動する「カイニョお手入れ支援隊」の存在を知り、活動に参加してきました。富山店がお世話になっている「水と匠」や「アロマセレクト」のスタッフの皆さんも参加していて、剪定された木々を蒸留しアロマミストにしています。私たちもこの活動を応援したいとアロマミストを販売することに。お客さんと一緒に、カイニョを学ぶ機会もつくる予定です。(進藤仁美/D&DEPARTMENT TOYAMA)


 
リサーチ&アーカイブス
沖縄|生産者訪問
沖縄県民のアイデンティティを支える、「知念製麺所」を見学。

沖縄市コザにある「知念製麺所」は、夜中の1時から麺の生地作り、整形、袋詰めまでを行ないます。製造ラインの機械は必要最低限。熟練した職人たちの技によって製品の品質が守られ、年中無休で出来立てのそばを毎日自社で配達しています。 3代目の知念慶太さんは、デザイン業界の出身で、地元の人にさらに親しみもってもらえるよう、自らパッケージのリニューアルを手がけました。沖縄店では、毎月第4金曜日に知念製麺所の生麺が入荷します。県民のアイデンティティでもあるそば文化を支え、地域の皆さんに愛され助けられて今年70周年を迎える知念製麺所。沖縄店も一緒に盛り上げていきます。(福田里咲/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA 3)

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ロングライフクリエイション
富山|メニュー開発
「粟土舎」のトマトを使ったメニューを提供。

富山県南砺市福光の山の中にある圃場でトマトを作る「粟土舎」。休耕地を耕し、医王山の湧水や枯葉を堆肥に利用し、農薬や除草剤に頼らず土地の自然環境に負担をかけない栽培をされています。今年は、「マグロの炙りと粟土舎トマトの冷製ソース」を開発。さっぱりとした赤身のメバチマグロをマリネし、炙ったものに新鮮なトマトを添え、香り高いサンマルツァーノをパスタソースとして使うことで、トマトの酸味と旨味を引き立たせました。粟土舎の活動をより多くの方に知っていただけるよう、メニューや接客、SNSなどを通して伝えて続けていきます。(窪田小春/D&DEPARTMENT DINING TOYAMA)

→ Instagram|@d_d_toyama