dの活動報告|2024.7

その土地に長く続くことをみんなで共有、活用し、未来に繋げる。

私たちは「ロングライフデザイン」を合言葉に、長く続いていることやものを研究・発信する《リサーチ&アーカイブ》、長く続いていることやものを紹介・販売する《セールス&コミュニケーション》、継続性やその土地の個性づくりを開発する《ロングライフクリエイション》の3つを柱に、健やかなものづくりと、そこに大切な意識を広める活動に取り組んでいます。2024年7月までに取り組んだ活動の一部をご紹介します。


 
セールス&コミュニケーション
d47 MUSEUM|滋賀・大與の和ろうそく連動企画
和ろうそく作りから、本物の灯りを考える。

7月5日~7日の3日間、和ろうそく専門店「大與(だいよ)」の職人である大西央さんをお招きし、「和ろうそく」を作るワークショップを開催。参加者は、小学生から70代までと幅広く、江戸時代から続く「手掛け」という技法を用いて、それぞれ和ろうそくを作り上げました。簡単に見える作業も実際に手を動かすと難しく、皆さん自然と真剣な面持ちに。和ろうそくの歴史だけでなく、素材や作り手の話など多方面に渡って質問が飛び交い、年代を問わず “本物の灯り”を知り、興味を深めていただける機会となりました。日本でしかとれない高品質な「櫨蝋(はぜろう)」を使った、唯一無二の和ろうそく。これからも日本の灯りを伝え続けていきます。(上久保杏子/d47 MUSEUM)


 
ロングライフデザインの会 事務局が、本物の灯りとは何かについて、ろうそくづくりから未来を描く大與の4代目当主・大西巧さんに聞きました。
 
1984年に滋賀県の伝統的工芸品に指定された大與の和ろうそくは、1914年の創業以来、4代にわたり技術を継承、仏事や茶事、生活基盤に必要不可欠な道具として、日本の文化、暮らしを支えてきました。大量生産・大量消費が主流になる中、3代目の明弘さんは「本物の灯り」を守ることを決意。以来、植物蝋100%の和ろうそくを作り続けています。

D&DEPARTMENTでは、2015年に発刊した『d design travel 滋賀』を機に、大與の和ろうそくの取り扱いを開始。火は危険なものとして扱われるようになり、IH導入などによって暮らしの中に火の居場所がなくなりつつある現代において、ろうそくの火を灯すことの意味と向かい、人々が大切にしてきた文化や風習、未来に残したい火と人との繋がりについて考える機会を定期的に設けています。

ろうそくは未来に必要か? 大西さんのものづくりの根底には、常に自問と愛があります。本物の灯りとは、「自然と人間の距離感が適正である灯り」と大西さん。持続可能な社会の実現を願い、自然の恵みである火を暮らしに取り入れようとした精神性と、それを実現させたろうそくの価値を伝えることが、未来の豊かな暮らしに繋がると信じ、ろうそくをつくり続けています。

和ろうそくに火を灯すこと。そうすれば、暮らしの中に火があることの意味を忘れずに、自然と人の適正な関係、そして、それを繋いできた「灯」を未来に繋げていくことができる。その一端を、私たちはこれからも担い続けていきます。(ロングライフデザインの会 事務局・中村麻佑)

あわせて読みたい、大西巧さんのつづくをつくる活動
note|こんにちは!高島おどり事務局です!
大與のある滋賀県高島市に残る「高島音頭」を未来に繋げるために、盆踊り大会「高島おどり」の実行委員長として継承活動に取り組まれています。

和ろうそくをつくろう 2024年7月5日(金)~7月7日(日)開催
滋賀 大與の和ろうそく 2024年7月1日(月)~7月21日(日)開催


 
ロングライフクリエイション
富山|メニュー開発
朝日町の「バタバタ茶」を使ったメニューを提供。

富山県朝日町に古くから伝わる発酵茶のバタバタ茶は、夏の暑い時期に1カ月かけて乳酸発酵させています。そのため、渋みや苦みが少なく、さっぱりとした旨みのある味わいと、懐かしさを感じるこうばしい香りが魅力です。通常は、鍋で煮出した温かいお茶を五郎八茶碗に淹れて、専用の茶筅で泡立てて飲まれていますが、実は冷やして飲んでも美味。ダイニングでは、週替わりパスタのメニューにバタバタ茶を使用し、レモンやトマトの酸味が、お茶の美味しさを引き立てる一皿ができました。商品を販売するだけでなく、食事でもその魅力を感じていただけるよう、今後も取り組んでいきます。(窪田小春/D&DEPARTMENT DINING TOYAMA)

→ Instagram|@d_d_toyama


 
ロングライフクリエイション
三重|メニュー開発
3周年記念、“三重らしい”ホットドッグが誕生。

7月20日、三重店はおかげさまで3周年を迎えました。3周年を記念して、ソウル店や富山店でも人気だった「d&ドライカレーホットドッグ」の三重バージョンを開発。伊勢市「パン屋麦」のふんわりとした白パン、菰野町「角屋」の菰野豚のウインナー、鈴鹿市「東海醸造」の塩麹を使ったザワークラウトなど、三重の素材が詰まっています。新たな生産者さんとも繋がり完成したホットドッグは、「一つひとつの素材が味わい深く美味しい」と嬉しい言葉をいただいています。これからも夏の定番メニューとして、作り続けていきたいと思います。(溝田麻子/D&DEPARTMENT MIE by VISON)

→ Instagram|@d_d_mie


 
リサーチ&アーカイブ
沖縄|生産者訪問
沖縄県産紅茶を作る、「金川製茶」を見学。

創業68年、「金川(かにがわ)製茶」4代目の比嘉竜一さんは、「金川銅山」の跡地である赤土の土壌を紅茶畑に替え、沖縄県産紅茶のオリジナル品種を育てています。比嘉さんが目指しているのは、食事にあわせた時にお互いを引き立てる紅茶。茶葉の栽培から紅茶の加工までを行ない、その年のベストなブレンドを研究し商品化しているため、毎年違う味わいが楽しめます。シングルオリジンではなくブレンドにすることで、多くの人に美味しいと思ってもらえる “スタンダードな味わい”を追求しているそう。紅茶へのこだわりを伝えるワークショップの開催などを通して、比嘉さんの活動を発信、応援していきます。(福田里咲/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA3)


 
リサーチ&アーカイブ
沖縄|生産者訪問
沖縄の民具から、島の暮らしの知恵を伝える。

沖縄県北部の瀬底島にて、島で営まれてきた暮らしの知恵を次世代に伝える活動を行なう「島遊舎 かぁらんや~」の比嘉さんご夫妻。島に暮らす人々が生きていくために必要だった民具の歴史や、そこから見えてくる島ならではの文化など、実際に製作されている民具を見ながら教えていただきました。使う人が減ったことで、素材も作り手も減少しつつある沖縄の民具。ものづくりに込められた思いも含め、日々研究し発信されている比嘉さんの活動を通し、さまざまな角度から民具を学ぶワークショップやイベントを企画中。島の素材から作る道具を、身近に感じていただけるよう伝えていきます。(島袋みのり/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA3)


 
セールス&コミュニケーション
福島|こおりやま街歩きプレツアー
スタッフと歩く、こおりやまの街。

「こおりやま観光案内所」と福島店のスタッフが案内役となり、郡山駅周辺を歩いて巡るツアーを開催。当日は、地元の方や最近郡山に引っ越して来たという方に加えて、宮城からのご参加も。普段は車移動で駅周辺を歩くことがないというお声も多く、意外と知らない街のおもしろさや歴史に触れていただくことができました。参加者同士の交流もあり、私たちも参加者の皆さんから学ばせていただいた貴重な機会となりました。今後も、季節ごとに変わる郡山の街を案内していきたいと思います。(山本阿子/D&DEPARTMENT FUKUSHIMA by KORIYAMA CITY)

こおりやま街歩きプレツアー 2024年7月6日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
福島|デコ屋敷のもののまわり
300年以上愛され続ける、豆だるま作り。

講師に、「橋本広司民芸」の職人である橋本明恵さんをお招きし、郡山市西田町の「高柴デコ屋敷」で作られる豆だるまの絵付けワークショップを開催。橋本広司民芸の自由な作風に触れ、まつ毛を描いたり、からだの色をマーブル柄にしたりと、参加者の皆さんが思い思いに絵付けをする姿が印象的でした。参加者の方から、「デコ屋敷にも行ってみたい!」という嬉しい声も。郡山駅構内という立地を活かし、これからもデコ屋敷の魅力を伝えていきます。(片山美津希/D&DEPARTMENT FUKUSHIMA by KORIYAMA CITY)

デコ屋敷の豆だるま絵付けワークショップ 2024年7月21日(日)開催
デコ屋敷のもののまわり 2024年4月1日(月)~6月30日(日)開催


 
セールス&コミュニケーション
埼玉|d SCHOOL わかりやすいワイン
ブドウの栽培から瓶詰めまで。

小川町の「武蔵ワイナリー」で、ワイン造りを学ぶ福島塾【醸造編】。今回は、ワインの分析と瓶詰め作業を体験しました。分析の際の注意事項、分析機材やアルコール度数の測定方法など、ワインの味がどのように造られていくのかを学んだ後、全員で瓶詰め作業を行ないました。多くの作業を手作業で行なっている武蔵ワイナリーの裏側でしか見えないこだわりを、今後もたくさんの方へ伝え続けます。(尾崎なつ江/D&DEPARTMENT SAITAMA by PUBLIC DINER)

d SCHOOL わかりやすいワイン 2024年4月25日(木)~全5回


 
セールス&コミュニケーション
d47食堂|山口県岩国の日本酒「雁木」角打ちの会
“山口らしさ”を聞いて呑んで食べる酔い夜。

dオリジナル日本酒・雁木のリリースを記念し、トークイベントと角打ちを開催。ゲストは、お酒を監修いただいた下関市「地酒のまえつる」2代目・前鶴健蔵さんと、岩国市「八百新酒造」の杜氏・榊田康之さん。雁木のこだわりや山口らしい酒造りについてお聞きしました。榊田杜氏の山口弁による乾杯の挨拶でスタートした角打ちは、雁木の飲み比べや八百新酒造の酒粕を使った「ふぐの酒粕漬け焼き」などの料理を提供。雁木の魅力を伝え、今後も前鶴さんと八百新酒造さんと一緒に、良い酒造りができるよう活動していきます。(小西知菜未/d47食堂)

山口県岩国の日本酒「雁木」角打ちの会 2024年7月9日(火)開催


 
セールス&コミュニケーション
富山|d SCHOOLわかりやすい演劇
劇団「SCOT」から演劇を学ぶ勉強会を今年も開催。

富山県利賀村に拠点を移して、間もなく50年(!)になる「SCOT」ですが、まだまだ知らない方が多いのが実情です。勉強会では、初めての方にも分かりやすいよう、演劇祭の様子や劇団員の暮らしを動画でご紹介しながら、今年の夏の演劇祭の見どころをSCOTのプロデューサー・重政良恵さんにお聞きしました。今年は、同じ演目を複数の劇団が上演するため見比べると良いとの話に、ファンの方は「たくさん見に行かなきゃ!」とさらに熱が入った様子。私たちも“作品を作る仲間”という意識作りもしながら、活動を続けていきたいと思います。(進藤仁美/D&DEPARTMENT DINING TOYAMA)

d SCHOOL わかりやすい演劇 2024年7月19(金)開催


 
セールス&コミュニケーション
京都|祇園祭について語り合う会
京都店にしかできないd SCHOOLを目指して!

6月28日、祇園祭「大好き!」から「初心者です!」まで20名の方に参加いただき、祇園祭について語り合うファンミーティングを開催。終始、白熱した“語り合い”がそこかしこで繰り広げられ、会場は大盛り上がり。グループ毎に発表する場面では、「それならば!」と他の方からの補足が入ったり、和気あいあいとした雰囲気の中、祇園祭好きが存分に発揮された楽しい会となりました。この会で得た縁や種(知りたいこと)を、来年以降の「d SCHOOLわかりやすい祇園祭」に繋げていく予定です。どうぞお楽しみに!(成田和弘/D&DEPARTMENT KYOTO d食堂京都)

祇園祭について語り合う会 2024年6月28(金)開催


 
セールス&コミュニケーション
京都|志ば久に学ぶ大原の紫蘇ツアー
大原の夏の風景と、長く続く食文化。

大原の夏の風物詩、赤紫蘇畑の風景。京都店でいつもお世話になっている「志ば久」の久保統さんにアテンドいただき、大原の赤紫蘇と志ば久の漬物を学ぶツアーを開催しました。雨が降ったあとの赤紫蘇畑に入って「いい匂い!」と盛り上がる場面も。久保さんから聞く大原の地形や赤紫蘇のこと、しば漬け作りについてのお話に、参加者からは「しば漬けが発酵食品だったとは!」といった感想も。今年初の樽出しの「新漬け」と「ひね(昨年漬け込んだもの)」の食べ比べもしていただき、この季節にしか体験できない特別な内容となりました。(門脇万莉奈/D&DEPARTMENT KYOTO)

志ば久に学ぶ大原の紫蘇ツアー 2024年7月14(日)開催


 
セールス&コミュニケーション
京都|d SCHOOL わかりやすい共同売店
沖縄で生まれた、住民同士の支え合いの在り方。

沖縄で始まった、住民同士の相互扶助で成り立つ「共同売店」について学ぶトークイベントを、沖縄店に続き、阿久比と京都でも開催しました!今回のイベントの目的は、「愛と希望の共同売店プロジェクト」の小林さん、山田さんが仲間と一緒に作った、共同売店の知恵と魅力を伝える15分の短編映画の上映。さらに、そこから感想や湧き上がったことをおしゃべりするまでがセット。映画を観ることがスイッチとなり、自分たちの地域に置き換えてみたり、仲間同士で話すきっかけの日となったように思います。皆さんからいただいた質問には、後日ナガオカケンメイのVoicyにてお答えしていく予定とのことです…!。(門脇万莉奈/D&DEPARTMENT KYOTO)

d SCHOOL わかりやすい共同売店 2024年7月21(日)~22日(月)開催
→ voicy|ナガオカケンメイのラジオ