dの活動報告|2024.6

その土地に長く続くことをみんなで共有、活用し、未来に繋げる。

私たちは「ロングライフデザイン」を合言葉に、長く続いていることやものを研究・発信する《リサーチ&アーカイブ》、長く続いていることやものを紹介・販売する《セールス&コミュニケーション》、継続性やその土地の個性づくりを開発する《ロングライフクリエイション》の3つを柱に、健やかなものづくりと、そこに大切な意識を広める活動に取り組んでいます。2024年6月までに取り組んだ活動の一部をご紹介します。


 
ロングライフクリエイション
福島|福島店1周年
“福島らしい”お酒で1周年をお祝いしました。

福島店1周年を記念し、福島店南相馬市にある酒蔵「haccoba –Craft Sake Brewery–」と、オリジナルの「クラフトサケ」を造りました。材料には、南会津只見町の米焼酎「ねっか」のお米、飯舘村のホーリーバジルなどを使用。振舞い酒を嗜みつつ、haccoba代表の佐藤太亮さんとD&DEPARTMENT食のディレクター相馬夕輝に、酒づくりやこれからの郷土料理などのお話を伺いました。それぞれの活動は違えど、コミュニティづくりや新しさを生み出すことなどに共通点が多く、福島店での活動にも参考になることばかり。これからも活動を広げながら、挑戦していきたいと思います。(山本阿子/D&DEPARTMENT FUKUSHIMA by KORIYAMA CITY)


 
ロングライフデザインの会 事務局が、1000年続く酒蔵を目指して活動する佐藤太亮さんに、福島店オリジナル酒に込めた思いやこれからの展望を聞きました。
 
新しいジャンルとして注目されるクラフトサケですが、haccobaは2021年の醸造所立ち上げ当初から海外展開を視野に入れ「Craft Sake Brewery」を掲げ、活動を開始。好奇心に基づき、お酒を通じた体験価値や酒づくりの源流を探究しながら日本酒を再編集し、ジャンルを超えた美味しさ、体験を届けています。

福島店とのオリジナル酒をつくるにあたり大切にしたことは「原料選び」。haccobaでは、目指す味わいを実現するために、素材の個性が際立つ輸入原料を使用することがあります。しかし、今回のオリジナル酒で大切にしたのは、地のものを選ぶこと。只見町の米焼酎「ねっか」のお米に加え、飯舘村の耕作放棄地をハーブ畑として活用する「SHIBURE」のホーリーバジルを原料に使用し、飲むことで福島の「つづくをつくる」ことに繋がるお酒が誕生しました。

「素晴らしい原料が足元にあった」と佐藤さん。地のハーブの探求や在来のものを使った酒づくりがしたいと、展望を語ってくださいました。自由な発想で醸す多様な酒や、定義に縛られず軽やかに活動されているように見えるその背景には、数千年もの間営まれてきた酒づくりへの敬意と学びの姿勢があります。

haccobaのお酒を飲むことが、地域の農産物や在来種を守り、応援することに繋がる。私たちも一緒にそんな未来を実現できたらと思います。(ロングライフデザインの会 事務局・中村麻佑)

haccobaオリジナルのお酒解禁×『つづくを食べる食堂』出版記念トーク 2024年6月9日(日)開催
haccobaLAB_×D&DEPARTMENT FUKUSHIMA 1st Anniv. –Harvest–


 
リサーチ&アーカイブ
富山|生産者訪問
献上加賀棒茶の可能性が広がるおもてなし。

富山店でもリピーターの多い「献上加賀棒茶」の美味しさの秘密を知りたいと思い、「丸八製茶場」の工場見学に行ってきました。当日は、工場見学のほか、焙煎や棒茶の飲み比べも体験。お茶は湿度によって味が変化してしまうため、同じ美味しさを作るには、茶葉の状態に合わせて毎日温度を調整しながら焙煎しているそう。飲み比べでは、3種類のお菓子と4種類の棒茶のペアリングなど、棒茶の可能性が広がるおもてなしを体験しました。この体験をお客様にも伝えられるよう、献上加賀棒茶を楽しむイベントを、この秋に計画中です。(岩滝理恵/D&DEPARTMENT TOYAMA)


 
リサーチ&アーカイブ
京都|生産者訪問
京都の夏の風物詩、粽づくりに参加。

7月に入ると京都の中心部では、街中が祇園祭仕様一色に。各家庭や店舗の玄関先でよく見かける「粽(ちまき)」はご存知ですか? 祇園祭の粽は、笹の葉で作られた厄払い・災難除けのお守りのこと。各山鉾や八坂神社などで販売され、一年間玄関先に飾ります。今年は京都店がある自治区「豊園泉正寺奉賛会」の粽づくりに、京都店のスタッフで参加させていただきました。お清めがされた榊の葉を包み、ひとつひとつ分担しながら組み立てます。先日完成品をいただき、京都店の入口の粽も新しいものに! 祇園祭の魅力を、今後も体験しながら紐解いていきます。(門脇万莉奈/D&DEPARTMENT KYOTO)


 
リサーチ&アーカイブ
鹿児島|生産者訪問
来年の企画展に向けて、「竹の市」を訪問。

竹林面積が日本一の鹿児島県。竹工芸の技術の継承と後継者の育成に取り組む「鹿児島市竹工芸振興組合」が主催する「竹の市」を訪問しました。組合員と育成講座生が作る竹細工の展示販売会である竹の市は、年に一度、5月に開催。日々、技を磨き、竹の市に向け製作に励んでおり、彼らのものづくりからは熟練の技術や“竹ならでは”の温かさが感じられます。「こういう形をつくってほしい。」「こういう使い方ができそう。」などと組合員の方とお話しながら、来年の企画展に向け、意見交換や商品選定をする貴重な機会となりました。鹿児島店での竹細工の企画展は来年で8回目。鹿児島の暮らしに根付く竹細工をより身近に感じていただけるよう、私たちの視点でご紹介していきます。(鶴窪美佳/D&DEPARTMENT KAGOSHIMA by MARUYA)

鹿児島の竹細工 2024年3月28日(木)~4月23日(火)開催


 
リサーチ&アーカイブ
沖縄|生産者訪問
個性が際立つ「せかいにひとつ」の紅型染め。

ダンボールステーショナリー「rubodan」の儀間朝龍さんから、同じ段ボール紙を使った別のプロダクトを紹介いただき、「てるしのワークセンター」へ見学に行ってきました。伝統的な染め付けとは異なる、個性豊かで彩り鮮やかな紅型。プロダクトのネーミングでもある「せかいでひとつ」な作品づくりは、驚きと感動の連続です。作業員の指導をされている紅型作家の比嘉敏子さんは、作業員の個性を見極め、技術の向上やサポートをしながら、アーティストとしての作品の発信を模索中。紅型の将来的な継承や、作業員の方々の生活の質の向上など、沖縄店も一緒に考え、盛り上げていきます。(田口陽子/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA3)

沖縄店独自企画 儀間朝龍 + rubodan 2024年3月20(水)~4月29日(月)開催


 
リサーチ&アーカイブ
沖縄|琉球藍のもののまわり
琉球藍が持つ伝統を後世へ伝える。

今年で2回目の開催となる「琉球藍のもののまわり」。「琉球藍研究所」では、琉球藍染を何十年と続く産業にするために、土を作るところから苗を育て、藍葉の漬け込み、抽出、染め作業までを一貫して手がけ、伝統を継承しながら新たなプロダクトへ進化させています。 今回は、古着の再利用や、アートフレームなどの新しいプロダクトを展示。会期中は、琉球藍を身近に感じていただくため、染め直しや体験型ワークショップも実施しました。参加者の方からは、「ずっと挑戦したかった琉球藍染めができて嬉しい!」というお声も。今後も、琉球藍の新しい価値の創造に挑戦し続ける、琉球藍研究所の活動をご紹介していきます。(島袋みのり/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA3)

沖縄店独自企画 琉球藍のもののまわり 2024年5月1日(水)~6月30日(日)開催
d&RE WEAR RYUKYU INDIGO 2024年5月1日(水)~6月30日(日)開催


 
セールス&コミュニケーション
埼玉|d SCHOOLわかりやすい梅仕事
毎年恒例の梅干しづくりで、手仕事を楽しむ。

今年で5年目となる梅仕事は、常連さんの参加がほとんどで、皆さんも楽しみにしてくださっているd SCHOOLの一つです。今年は梅が不作といわれていましたが、島田さんの梅畑はたくさん実をつけました。梅にまつわる小話や、栄養価、梅のレシピ紹介など、会を重ねるごとに内容もバージョンアップしながら、日本の食文化を見直すきっかけになるよう、今後も活動を継続していきます。また、参加者同士の出会いや、島田さんと若い世代との交流の場にもなっているので、できるだけ長く続けていきたいです。(尾崎なつ江/D&DEPARTMENT SAITAMA by PUBLIC DINER)

d SCHOOL わかりやすい梅仕事 2024年6月8日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
d47食堂|こどもd SCHOOL ほんとうにおいしい出汁
本当に美味しいかつお節を学び、体験する。

「こどもd SCHOOL」では、さらに次の世代へかつお出汁の文化を伝えたいと考えています。今回の講師は、鹿児島県近郊で捕れる一本釣りのカツオを原料に、本枯節の製造を守り続ける、東京のかつお節問屋「タイコウ」の大塚麻衣子さん。かつお出汁の基本の取り方や、風味の理由、活かし方などを教わりました。子どもたちだけでなく、お母さん、お父さんにも家庭で用いていただけるよう、身体を使ってかつお節を削り、出汁を取り、かつお出汁と昆布出汁を比較しながら楽しみました。みんなで削ったかつお節は、お子さま定食の味噌汁に使い、“美味しい”も体験。今後も、子どもたちに本当に美味しいものを伝えられるよう、活動していきます。(大北吾子/d47食堂)

こどもd SCHOOL ほんとうにおいしい出汁 2024年6月29日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
d47|MUSICA TEAの紅茶
紅茶を飲み比べて、美味しい紅茶を学ぶ。

茶葉そのものの味わいはもちろん、収穫する季節や地域によっても味が変わる紅茶。講師に、「MUSICA TEA」の堀江勇真さんをお招きし、5種類の紅茶を飲み比べるワークショップを開催しました。季節柄、アイスティーが気になるという方も多く、堀江さんに淹れ方をレクチャーいただきながら、水出しではない美味しいアイスティーを堪能。普段から紅茶を愛飲している方も、飲み比べることで自分の好きな味や香り、特徴に気づいていただける機会になりました。奥深い紅茶を体験しながら、今後も深掘りしていきます。(上久保杏子/d47 MUSEUM)

MUSICA TEAに学ぶ「美味しい紅茶」 2024年6月9日(日)開催


 
セールス&コミュニケーション
東京|Yチェアのもののまわり
一生物の椅子を自分の手で直し、生まれ変わらせる。

福岡の教会で使われていた「Yチェア」を35脚仕入れたことをきっかけに、ワークショップを開催。講師は、Yチェアの張り替えでお世話になっている「sim design」の坂本茂さん。今回は、Yチェアにより愛着を持っていただきたいと思い、お客様自身で座面のペーパーコードのカットからフレームの洗浄までを行なっていただきました。その後の張り替えはプロにお任せしますが、ご自身の手も加わり生まれ変わった特別なYチェアを買える、USEDだからできる新しい取り組みとなりました。(藤田 諒/D&DEPARTMENT TOKYO)

USED Yチェア リペアワークショップ 2024年6月15日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
富山|d SCHOOLわかりやすい昆布〆
昆布〆から、富山の食を知る。

富山に根付く食文化である「魚」と「昆布〆」を学ぶ勉強会。氷見市を拠点に活動している魚料理研究家の近森光雄さんに、今の時期の魚に昆布〆が合う理由や、昆布〆による“うまみ”について伺いました。さらに、参加者の皆さんは、魚の構造や捌き方を見ながら、サク切りから昆布〆づくりまでを体験。富山に長く住んではいるものの、昆布〆を作ったことがないという方も多く、実際に体験したことで、「家でもやってみます!」という嬉しい感想もいただきました。富山に馴染みの深い食を食べるだけではなく、作ることを体験してもらえる活動を続けていきます。(湯口遥花/D&DEPARTMENT DINING TOYAMA)

d SCHOOL わかりやすい昆布〆 –夏の魚編– 2024年6月15(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
三重|d SCHOOLわかりやすい波切のかつおぶし
見て、触れて、食べて、波切節を五感で学ぶ。

講師に、志摩市波切にある「かつおの天ぱく」の代表・天白幸明さんをお招きし、伝統ある波切のかつお節について学びました。子どもと大人向けの二部に分かれて、かつお節の削り体験や3種類の出汁の飲み比べ、土鍋で炊いた炊き立てのおかかごはんの試食などを実施。かつお節の削り体験では、大人も苦戦するなか、何度も楽しそうに削る子どもたちが印象的でした。この経験が、食に興味を持つきっかけになってくれたら嬉しいです。終了後は、「燻小屋見学にも行ってみたい」「三重の食文化をもっと紹介してほしい」というお言葉も。これからも学んだことを伝え、波切に足を運んでいただけるようなきっかけづくりをしていきます。(溝田麻子/D&DEPARTMENT MIE by VISON)

d SCHOOL わかりやすい波切のかつおぶし 2024年6月22(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
京都|d SCHOOLわかりやすい大原の紫蘇
家庭で作ってほしい!夏バテ予防の紫蘇シロップ。

梅雨前の猛暑の中、8名の参加者の皆さんと共に、大原の紫蘇や紫蘇シロップ作りのコツを学ぶ勉強会を開催。紫蘇の香りに満たされる中、「志ば久」の久保統さんが、希少な原種である紫蘇を自家採取で守り育てること、畑仕事から漬物づくりのこと、大原の美しい景観のこと、紫蘇の効能などを朗らかに語られました。気候変動の激しい昨今、こんなにも美しい紫蘇を育て、届けてくださる久保さん(と、全ての作り手さん)への敬意も新たに、今年の夏も、紫蘇シロップで夏バテ知らずで乗り越えてほしいと思っています。京都食堂はじめ、d各店での紫蘇シロップの提供は7月末まで(なくなり次第終了)! 7月14日には、京都店主催の大原ツアーも開催。ぜひ大原の紫蘇畑もご覧ください。(内田幸映/D&DEPARTMENT KYOTO d食堂京都)

京都・大原 志ば久の赤紫蘇 2024年6月14(金)開催
志ば久に学ぶ大原の紫蘇ツアー 2024年7月14(日)開催