オリジナル日本酒「雁木」ができるまで

『d design travel』山口号(2013年刊)をきっかけに出会い、D&DEPARTMENTの活動に長年ご協力いただいている「地酒のまえつる」2代目の前鶴健蔵さんに監修いただき、山口県岩国市にて140年以上の歴史を持つ「八百新酒造」の代表銘柄「雁木(がんぎ)」のD&DEPARTMENTオリジナル日本酒をつくりました。D&DEPARTMENTの活動テーマの一つである“その土地らしさ”を考え、「山口らしいお酒」を考える酒づくりの第一弾です!

酒造りのきっかけ

2023年にd47食堂を会場に開催された山口県下関市への移住を検討している方を対象にした移住セミナー「下関移住トーク」(主催:下関市 広報戦略課 都市ブランド化推進室)。この懇親会で山口の地酒を振る舞っていた前鶴さんと、「山口らしい地酒をつくりたいね」と話が弾んだことからスタートしました。

この移住セミナーは、移住をしてきた後に一緒に地域づくりを担ってくれるようなプラスアルファの効果をもたらす人の獲得を目指して、告知の段階から、この人に来てもらいたいという顔が見えるひとりずつにメッセージを打ち出し、参加者に集まっていただいたのだそう。地域の人を紹介しその土地と繋がりをつくることが必要だとして、前鶴さんをはじめ下関在住の方も多く集まり、一人一人と対話ができるかたちで開催されました。

セミナー後の懇親会ではd47食堂が用意した山口県の郷土料理と、前鶴さんがセレクトした山口のお酒が振る舞われ、「食」の魅力も参加者には伝わったようです。後日、参加者のうち3名が「お試し暮らし制度」を利用して下関を訪れたといいます。

 

八百新酒造さんとの酒造り

日を改めて、前鶴さんからご提案いただいたのが「雁木(がんぎ)」をつくる八百新酒造さんでした。

八百新酒造は明治10年(1877年)創業。山口県岩国市にて140年以上の歴史を持つ酒蔵で、「雁木」を立ち上げた2000年からは、米という素材そのものの可能性をそのまま引き出すことに打ち込みたいという信念を持って、純米酒のみを造り続けています。

前鶴さんと一緒に岩国市の酒蔵をたずね、余計なものを足したり引いたりせずシンプルに酒造りに向き合う姿勢に共感し、醸造をお願いすることにしました。

そして、今回の特別酒をオーダーするにあたり、前鶴さんがD&DEPARTMENTの考え方や活動、そしてd47食堂や各店舗にいらっしゃるお客様をイメージして、味の方向性を考えてくださいました。八百新酒造さんと共有したのは、「上品で優しいお出汁に合わせて楽しめる酒」「雁木らしい味わいと気持ち強めのキレ感」「山口県らしさ」をイメージとして伝え、それらを実際のスペックに落とし込み「西都の雫(山口県オリジナル酒米)に協会9号酵母の純米酒」に行き着きました。


写真左・生酒/写真右・火入れ

いよいよ出来上がったお酒は、口当たりは柔らかく、ほのかな旨みを感じながらスルスルと呑めてしまう辛口の純米酒。食事にも合わせやすく仕上げていただきました。

山口の米と水と人がつくった今回のオリジナル日本酒。嗜好品であるからこそ、“その土地らしさ”を大切にした酒をこれからも選び続けていくきっかけとなり、健やかに続く「食のロングライフ」に繋がればと願っています。

商品情報・販売店舗については>>こちらから