dの活動報告|2024.5

その土地に長く続くことをみんなで共有、活用し、未来に繋げる。

私たちは「ロングライフデザイン」を合言葉に、長く続いていることやものを研究・発信する《リサーチ&アーカイブ》、長く続いていることやものを紹介・販売する《セールス&コミュニケーション》、継続性やその土地の個性づくりを開発する《ロングライフクリエイション》の3つを柱に、健やかなものづくりと、そこに大切な意識を広める活動に取り組んでいます。2024年5月までに取り組んだ活動の一部をご紹介します。


 
セールス&コミュニケーション
京都|堤淺吉漆店のもののまわり
堤淺吉漆店と巡る、漆の魅力に迫る2日間。

「堤淺吉漆店のもののまわり」に連動し、漆の魅力にとことん迫るツアーを開催! 「堤淺吉漆店」4代目の堤卓也さんによる漆精製工房の見学と拭き漆ワークショップに、塗師・西村圭功さんの工房を訪ね、京都の今の漆文化を巡る2日間。漆の精製現場では、漆の豊かな色彩や質感を前に、驚きの声や質問も多く挙がりました。漆の可能性を切り拓いてきた堤淺吉漆店の、広がりゆく活動を目の当たりすると同時に、漆をより身近に感じる機会となりました。4月、堤淺吉漆店の社屋をリノベーションし、漆専門店「Und.」がオープン。ここを拠点に、繋がりの輪はより広がっていきそうです。(板津奈央子/D&DEPARTMENT KYOTO)


 
ロングライフデザインの会 事務局が、漆文化を未来に残すため、仲間と共に活動を続ける堤卓也さんに、活動の背景にある思いや、これからの展望を聞きました。
 
「漆は、自分たちが自然との関わりの中で生きていることを感じられる素材。自然と人の暮らしを繋げたい。」と、堤さんは言います。

生活様式の変化や、高級品で扱いにくいというイメージが先行し、漆器を使う機会が減っていく様子を間近で見てきた堤さんは、このままでは漆がなくなると危機感を抱く。だからこそ、京都市北部の山間部に漆の木を植え、木地を作る場所を構え、素材や製品を販売し、ツアーやワークショップを通して背景や過程も伝える。そして、漆を無駄なく使い切ることで、循環可能な素材として社会に役立てることを目指す。
ワンクリックでものが手に入り、ものの背景がわかりにくくなっている今、漆は、山から掻き手、繋ぎ手、作り手、使い手までを繋ぎ、自分たちの暮らしが自然の中にあることを実感できる素材です。

堤さんの活動の根底には、「何かをやるなら誰かと一緒に、格好良く、楽しくやりたい。」という思いがあります。漆が接着剤でもあるように、人と人を繋ぐ。
今回、「漆の面白さ」を伝えたいという京都店の思いに、「漆を通して、自然と人の暮らしを繋げたい」という堤さんの思いが重なり、ツアーが実現しました。堤さんは、山と人を繋ぐ素材屋ならではの視点で、これからも産地や業界や世代といった垣根を軽やかに超えて、繋げていく。(ロングライフデザインの会 事務局・渡邉壽枝)

堤淺吉漆店工房見学&拭き漆体験ツアー 2024年4月28日(日)開催
堤淺吉漆店のもののまわりサイクルツアー 2024年5月6日(月・祝)開催
堤淺吉漆店のもののまわり 2024年3月21日(木)~5月7日(火)開催


 
セールス&コミュニケーション
福島|デコ屋敷のもののまわり
デコ(張り子)を作る集落「デコ屋敷」を職人と共に巡る。

長年、デコ屋敷で取り組まれている「デコ散歩」をベースに、職人と敷地内をまわりながら、張り子ができた背景や歴史を学び、「豆だるま」の絵付けを体験するツアーを実施。最後の絵付けでは、職人からの「自由にやってみてください!」というアドバイスを受け、参加者の皆さんが思い思いに絵付けされていたのが印象的でした。デコ屋敷のある西田町の美しい風景を残し、職人自らが歴史や技術の伝承に努めてきたことで、300年以上続いてきたのだと感じました。私たちも、福島県内外の皆さんにデコ屋敷を伝え、共に守っていきたいと思います。(片山美津希/D&DEPARTMENT FUKUSHIMA by KORIYAMA CITY)

d SCHOOL わかりやすいデコ屋敷 2024年5月25日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
埼玉|d SCHOOLわかりやすい自然栽培 関野塾
固定種の栽培を家庭でも。支柱組みと定植作業。

夏野菜の栽培に向けて、種まき、苗作り、畝立てと進み、ようやく定植の作業を迎えました。きゅうりは、例年通りの支柱の建て方の他に、気持ちよく生育できるようにと考えられた、より専門的なドーム型の建て方を全員で行ないました。関野塾では、すぐに自宅でもできるようになるため、全員が実践します。イベントを通じて、多くの人たちが、その価値を理解し家庭菜園で固定種を栽培してくれるよう、今後も参加者を増やしていきます。(尾崎なつ江/D&DEPARTMENT SAITAMA by PUBLIC DINER)

d SCHOOL わかりやすい自然栽培 関野塾 第3期生 2024年3月5日(火)~全22回


 
リサーチ&アーカイブ
d47食堂|生産者訪問
食堂の出汁を支えるかつお節を学ぶ。

d47 MUSEUMでの展覧会「NIPPON UMAMI TOURISM(通称:うまみ展)」が始まり、改めて食堂のお味噌汁の「うまみ」を支えるかつお節を学ぶべく、かつお節問屋「タイコウ」へ見学に行ってきました。工場では、鹿児島県近海から届いたかつお節を見ながら、タイコウの大塚麻衣子さんにお話を伺いました。一本釣り鰹により保たれる鮮度へのこだわり、加工するかつお節職人との信頼関係、それらが繋がることで美味しいかつお節となり、日本の食文化を支える。
食堂では、これからも今回学んだ本当の出汁の美味しさや文化を伝えていきます。
6月29日には、うまみ展と連帯して「こどもd SCHOOLほんとうにおいしい出汁」を開催。大塚さんをお招きし、子どもたちと一緒に美味しい出汁の取り方を学びます。(小西知菜未/d47食堂)

こどもd SCHOOL ほんとうにおいしい出汁 2024年 6月29日(土)開催


 
リサーチ&アーカイブ
富山|メニュー開発
伝統的な製法で作る麦芽水飴を使ったポークジンジャー。

創業から350年以上続く「島川あめ」の麦芽水飴は、麦芽と澱粉のみで炊き上げる昔からの製法で作られ、穀物の甘みとあっさりとした後味が特徴です。
その麦芽水飴を使って、開発したポークジンジャー。「島川あめ」のスタッフの皆さんにも食べていただき、「まろやかで麦芽水飴を感じる」とお声をいただきました。
長年愛されてきた島川あめの麦芽水飴。料理に加えてコクを出したり、飲み物やデザートのアレンジに使ったりと、いつもの食事に取り入れやすく身体にも優しい水飴です。これからも食事の幅を広げられるよう、さまざまな形で提供していきます。(窪田小春/D&DEPARTMENT DINING TOYAMA)

→ Instagram|@d_d_toyama


 
リサーチ&アーカイブ
三重|生産者訪問
かつお節で地域の食文化を普及。価値を上げる。

6月開催の「d SCHOOLわかりやすい波切のかつおぶし」に向けて、志摩市にある「かつおの天ぱく」へ行ってきました。今なお伝統的な製法でかつお節を作り、100年以上前の燻小屋で、かつお節の歴史や製法を学び、削り体験や、おかかごはんの試食など、五感を使ったツアーも実施。「かつお節を通して地元の食文化を普及し、その価値を上げたい」と、代表の天白さん。学ぶだけでなく、地元を誇りに思える体験となり、ぜひ沢山の方に燻小屋に足を運んでいただきたいと心から思いました。地域の食文化がこれからも長く続くよう、活動を通して生産者の思いを伝えていきます。(溝田麻子/D&DEPARTMENT MIE by VISON)

d SCHOOL わかりやすい波切のかつおぶし 2024年6月22日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
三重|d SCHOOL わかりやすい注染
手ぬぐいを染めて、注染の魅力を体験。

「大阪 にじゆらの注染手ぬぐい」関連企画として、「株式会社ナカニ」の中尾弘基さんを講師にお招きし、明治時代に大阪で生まれた「注染」という技法で手ぬぐいを染めるワークショップを開催。ジャバラ状に畳まれた生地に、染め前に行なう「のりおき」からスタート! 海藻で作られた糊の香りを感じながら、慎重に糊を置き、好きな染料を注ぎ染め上げます。今回の企画では、注染の染め道具として使用されてきた「伊勢型紙」についても紹介し、三重と大阪のものづくりの繋がりを一緒に紹介しています。(田畑知著/D&DEPARTMENT MIE by VISON)

d SCHOOL わかりやすい染色-注染- 2024年5月11日(土)、12日(日)開催
大阪 にじゆらの注染手ぬぐい 2024年4月20日(土)~6月30日(日)開催


 
セールス&コミュニケーション
京都|つづくをたべる縁側市
佛光寺の境内を眺めながら、京都の美味しいを味わう。

5月18日(土)食堂の縁側で、京佃煮「津乃吉」の朝ごはん市を開催。津乃吉自慢の佃煮や、代表の吉田大輔さんによるお料理を、竈門で炊いたご飯と一緒にお腹いっぱい食べていただきたいと企画した朝ごはん市は、「藤原食品」の納豆や「志ば久」の旬のお漬物も並び、自慢のご飯のおともが勢揃いした美味しい会となりました。天候にも恵まれ、参加者の皆さんは、ゆっくりと思い思いの時間を過ごす。お寺の縁側という京都店特有の立地を活かしたイベントを、今後も実施していきます。(塩貝悠佳有/D&DEPARTMENT KYOTO d食堂京都)

→ Instagram|@d_d_kyoto


 
セールス&コミュニケーション
鹿児島|d SCHOOL わかりやすい庖丁研ぎ
庖丁のお手入れ方法を学び、道具の楽しみ方を考える。

「梅木本種子鋏製作所」の梅木昌子さんに学ぶ、基本の庖丁研ぎ。毎日使う庖丁を自分でお手入れし、長く使い続けることができたらと思い開催しました。研ぎの手順とコツを教わりきながら手を動かしていくうちに、ものづくりやお手入れ術についての意見交換も始まり、作り手と使い手が一緒になって道具の楽しみ方を考える場となりました。初めての試みでしたが、終了後には、「早く自宅にある庖丁を研いでみたい」と嬉しいお声も。今後も「もの」だけでなく、そのものの「まわり」までお伝えすることを大切にしようと、改めて感じました。(崎山智華/D&DEPARTMENT KAGOSHIMA by MARUYA)

d SCHOOL わかりやすい庖丁研ぎ 2024年5月11日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
鹿児島|d SCHOOL お茶会
新茶を味わい、お茶を日常に取り入れる第一歩。

鹿児島セレクトとしてお取り扱いをしている、鹿児島県薩摩郡さつま町「長野製茶工場」の長野力也さんをお招きし、新茶を召し上がっていただくお茶会を開催。東京銀座の茶房でお茶の淹れ手として経験を積み、現在は、地元のさつま町でお茶の生産を行なう長野さん。
今回のお茶会は、生産者であり、プロの淹れ手である長野さんが淹れる、鹿児島の新茶を味わえる貴重な会。長野さんの美しい作法や茶器についても質問が飛び交い、参加の皆さんがメモを取りながら熱心に聞いている姿が印象的でした。鹿児島店としてもお茶を愉しんでいただけたことが嬉しく、今後もお茶を日常に取り入れるきっかけづくりを続けていきたいです。(向井彩乃/D&DEPARTMENT KAGOSHIMA by MARUYA)

d SCHOOL お茶会 –おいしいお茶の淹れ方– 2024年5月18日(土)開催


 
セールス&コミュニケーション
沖縄|NIPPON VISION MARKET 沖縄の再生ガラス
廃瓶から再生、琉球ガラスが生み出す循環。

「吹きガラス工房 彩砂(るり)」の小野田郁子さんは、廃瓶を回収して作る昔ながらの製法で、琉球ガラスの作品を作り続けています。今回は、グラスやお皿などの定番の器のほか、ガラスの揺らぎが感じられるランプシェードもご紹介。沖縄店では、取り扱い当初から、常に空き瓶を回収し、小野田さんの作品の材料に使っていただいています。会期中も、多くの方に空き瓶をお持ちいただき、今後も引き続き店頭にて回収を行ないます。ちょっとした事から始められる「ものづくり」の循環にぜひご参加ください。(島袋みのり/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA 3)

NIPPON VISION MARKET 沖縄の再生ガラス –吹きガラス工房 彩砂の器– 2024年5月1(水)~6月3日(月)開催


 
リサーチ&アーカイブ
沖縄|生産者訪問
沖縄の伝統的な織技法を用いた日常の布

沖縄の伝統的な織技法を用いて、普段の生活に取り入れやすい製品づくりをされている「機織工房しよん」の工房に行ってきました。日常の手仕事の様子や、コロナ渦での活動をお伺いしていく中で、稀に発生してしまう製品として不完全な布を特別に見せていただきました。柄が間違ったものや、織りが飛んでいるものですが、素人の目では全く分からない小さな違いです。そのままだと倉庫に眠ってしまうというと聞き、今回特別に引き取らせていただきました。この布を使って、しよんの機織技術や工房のストーリーと共に、機織り技術の細やかさを、私たちの視点でご紹介していきます。(島袋みのり/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA 3)