その土地に長く続くことをみんなで共有、活用し、未来につなげる。
私たちは「ロングライフデザイン」を合言葉に、長く続いていることやものを研究・発信する《リサーチ&アーカイブ》、長く続いていることやものを紹介・販売する《セールス&コミュニケーション》、継続性やその土地の個性づくりを開発する《ロングライフクリエイション》の3つを柱に、健やかなものづくりと、そこに大切な意識を広める活動に取り組んでいます。2023年11月までに取り組んだ活動の一部をご紹介します。
セールス&コミュニケーション
埼玉|d SCHOOLわかりやすい自然栽培 関野塾
土地の味を繋げるための冬野菜の母本選別。
代々受け継がれている固定種の「みやまこかぶ」の母本選別をしました。種取り用の畝を耕し、来年に向けて、“形が良く、この土地の味を繋げる”ための種の母本選別。今回は、塾生たちが収穫した中から、8本を選出しました。これは100年後、1000年後を見据えた固定種野菜の大事な作業です。花を咲かせ、ミツバチや虫たちに受粉を手伝ってもらいつつも、他品種の野菜との交雑対策を行ないます。長い時間をかけて土地の味を作ること、繋げることの重要性を塾生と一緒に学び続けていきます。(尾崎なつ江/D&DEPARTMENT SAITAMA by PUBLIC DINER)
→ d SCHOOL わかりやすい自然栽培 関野塾第2期生 2023年3月7日(火)~2024年2月20日(全22回)
セールス&コミュニケーション
d47食堂|釜朝ごはんと包丁研ぎ教室
釜浅商店の“良理道具”を使った朝ごはんの会を開催。
日本では古くから、暦や祝いの日に食べる行事食が各家庭で作られてきました。そこで振る舞われる料理には「縁起が良い」と言われる食べ物が含まれ、家族の幸せや健康、五穀豊穣の願いが込められています。今回は、冬至の七種(ななくさ)である運盛り(※1)の食材を食べて縁起をかつぐメニューを、美味しい料理を作るための理にかなった“良理道具”を用いてご用意しました。
赤米おこわ(厄除け)や群馬の郷土料理のざく煮(豊穣)、れんこん餅のあんかけなど、厄を除け、良い運を呼び込み、健やかに過ごせるようにと願いを込めた料理の数々。お客様から「冬の七種は知らなかった」「赤米のおこわがおいしい!」という声をいただき、いつもとは異なる朝ごはんの会を楽しまれる様子が伝わってきました。
今後も暦に合わせて、季節を味わい、私たちの健康と幸せを願った朝ごはんを、釜浅商店さんの良理道具と共にご提供していきたいと思います。(山田果穂/d47食堂)
※1 運盛り…「ん」の付くものを食べると「運がつく」といわれる縁起かつぎ。
→ 釜浅商店と縁起のいい朝ごはんの会 2023年11月12日(日)開催
→ 初心者向けの包丁研ぎ教室 2023年11月12日(日)開催
セールス&コミュニケーション
d47|saredoの糸しごと 関連企画
初めての方にも優しい、基本のダーニング。
奈良県「saredo」の萱澤良子さんにお越しいただき、saredoの糸(リサイクルコットン)を使い、衣類を長く使い続けるための補修方法「ダーニング」のワークショップを開催。当日持参いただいた穴の空いた衣服に合わせ、思い思いに選んだ糸で縫い上がった様は、とても可愛らしい刺繍のようでした。それぞれの個性が溢れる出来上がりは、世界に一つだけのオリジナルに。ワークショップを通して、商品の素材や作り手の背景、長く使い続けることに関心を持っていただく機会となりました。定例開催を希望される声が多く、今後も続けていきたいと思います。(上久保杏子/d47 MUSEUM)
→ saredoのダーニングワークショップ 2023年11月11日(土)開催
ロングライフクリエイション
富山|共同開発
新たな「はみだしうめ」を開発・販売。
和歌山県「かどや」の北野拓さんとダイニングスタッフ嶋林の発案で、人気の「はみだしうめ 蜂みつ」をベースに、にんにく、唐辛子、黒胡椒、ローリエ、オリーブオイルに漬けた新商品「はみだしうめ オリーブオイル漬」が誕生。ベースとなる梅が、味のバランスが良い種類ということもあり、洋食だけでなく、和食や中華にも合う味に。富山店で販売開始となり、スペシャルメニューやパスタにも取り入れて提供しました。実際に料理を食べたお客さまが商品も購入され、嬉しい流れも生まれました。(田中陽子/D&DEPARTMENT TOYAMA)
→ Instagram|@d_d_toyama
リサーチ&アーカイブ
富山|D&DEPARTMENT TOYAMA GALLERY 水めぐる –富山で生まれた美と癒し–
薬都富山の歴史と技術、豊かな自然を伝えるケアアイテムを紹介。
富山県デザインセンターが中心となり、富山のさまざまなメーカーが作るケアアイテムを集めて提案する「美のこわけ」の展覧会を開催。展示では、化粧水やハンドクリーム、バスソルトといったケアアイテムを通して、富山の製薬の歴史や技術、そして豊富で清らかな水に支えられた豊かな自然環境をご紹介しました。肌に触れ、人々の健やかな暮らしに役立つケアアイテムだからこそ、改めて、富山の豊かな自然と、確かな技術への安心感を実感していただける機会になったのではないか、と思います。(進藤仁美/D&DEPARTMENT TOYAMA)
→ 水めぐる –富山で生まれた美と癒し– 2023年8月10日(木)~10月15日(日)開催
リサーチ&アーカイブ
三重|メニュー開発
冬限定の「ミニあんバターdどら」ができました。
季節を楽しんでいただきたいという思いから、春夏秋の「dどら」を考案してきましたが、最後に出来上がったのが冬の「あんバターdどら」。北海道おこっぺ町にある牧場「ノースプレインファーム」で丹念に作られた風味豊かな醗酵バターを、三重店オリジナルのどら焼きにサンドしました。粗糖を使用した「伊勢製餡所」の粒あんの優しい甘さと、バターの塩気が相性抜群。今後も作り手の思いやその土地の美味しい素材を伝えながら、長く愛されるdどらを作り続けていきます。(溝田麻子/D&DEPARTMENT MIE by VISON)
→ Instagram|@d_d_mie
セールス&コミュニケーション
三重|豆味噌のもののまわり
三重の土地で守られ続けてきた、豆味噌の歴史を学び、作りました。
三重県鈴鹿市で江戸時代から300年余り、味噌やたまりを作り続けている「東海醸造」のワークショップと販売会を今年も開催。蔵人である本地猛さんを講師に招いた豆味噌作り体験と、「すずかの粒味噌」を使用した温かいお味噌汁の試飲をメインに店頭販売会を行ないました。来年1月には、実際に蔵を訪れる見学ツアーも開催予定。一つとして同じものがない味噌の奥深さやカルチャー、日本人がもつ旨味の感覚や発酵の面白さを、お客さんと共に改めて感じました。(高田弘介/D&DEPARTMENT MIE by VISON)
→ d SCHOOL わかりやすい豆味噌 2023年10月21日(土)開催
→ 豆味噌のもののまわり 2023年10月14日(土)~11月26日(日)開催
ロングライフクリエイション
京都|D&DEPARTMENT KYOTO 9周年
10年目の京都店を、よろしくお願いします。
2023年11月29日。D&DEPARTMENT KYOTOは、9周年を迎えました。
前日の夜には、日頃お世話になっている京都近郊の生産者の皆さんにお集まりいただいての宴会を開催。今年も、本山佛光寺の八木総長に「乾杯!」のご発声とありがたいお言葉を頂戴し、京都店スタッフの出身地にちなんだ料理(京都の田舎寿司、宇治田原の茶殻を使ったいそべ揚げ、味噌おでん、ゼリーフライ、d&ドライカレードッグ、伊勢うどん、カボスしいたけ、名物イカ焼き!など)をお腹いっぱい食べていただきました。参加してくださった皆さんから、「来年は10年だね、節目は盛大に何かやろう!」と声をかけていただき、また、「開業時のスタッフはいるの?」と聞かれて、私たちよりも京都店の歴史を知る皆さんであることを痛感。(100年続いても、まだまだ老舗とは言えないらしい)歴史ある京都のものづくりを続けておられる皆さんに比べたら、まだまだ“ひよっこ”でしかない京都店ですが、この大先輩方に支えられ、叱咤激励され、今日までやってこれたことに感謝。これからも続けていけるように、現スタッフ全員で精進していきたい、来年の今日も笑顔でお迎えしたい、と思った夜でした。(内田幸映/D&DEPARTMENT KYOTO d食堂京都)
→ Instagram|@d_d_kyoto
リサーチ&アーカイブ
京都|生産者訪問
自然と向き合う塩づくり「琴引の塩」。
d食堂京都では、11月の定食として、塩の在り方と向き合うことで生まれた「いい塩梅定食」を提供しています。普段使っている塩がどんな場所で、どのように作られているのかを知るために、京丹後にある「琴引の塩」へ見学に行ってきました。琴の音色を思わせる「鳴き砂」で有名な琴引浜から海水を汲み、20年ほど前から天然塩づくりを続ける琴引の塩。「私たちの塩づくりは自然まかせです。」という言葉を聞き、美しい海を守ることが、美味しい塩を作ることに繋がっている。とても自然で、とても大切なことを実感しました。「琴引の塩」と合わせて、海の幸が豊かな京都丹後市の風土を伝えていきたいと思います。(岩橋辰洋/D&DEPARTMENT KYOTO)
→ レポート|自然と向き合う塩づくり「琴引の塩」
セールス&コミュニケーション
鹿児島|印染のもののまわり
交流しながら印染を学び、考え、繋げる。
「印染のもののまわり」連動企画として、全染研の亀﨑昌大さんと山下隆さんをお招きし、トークショーを開催しました。印染の歴史や製作の流れ、業界として抱えている課題等についてお伺いし、参加者のみなさんとも質疑応答で交流しながら、これからの印染について考えました。今後も印染を知っていただく活動を継続し、全国で活動している印染の現場に足を運んでいただく、そのきっかけづくりを行なっていきます。(前野祐輝/D&DEPARTMENT KAGOSHIMA by MARUYA)
→ わかりやすい印染 2023年11月17日(金)開催
リサーチ&アーカイブ
沖縄|生産者訪問
沖縄の新しいローカルワインを取材。
沖縄でのシークァーサー果汁が過剰に搾汁され、廃棄されているという現状を解決すべく、県内のシークァーサー農家さんや圧搾業者から果汁を買取り、醸造から瓶詰めまでを行なっている「オッチサイダリー」を訪問しました。代表の笹尾奈美さんは、沖縄の人に飲んでほしいローカルワインを今年7月に商品化。沖縄店も共にこれから商品を育てていけるよう活動をご紹介していきます。(福田里咲/D&DEPARTMENT OKINAWA)