インターン日記20。
今回は谷名真果と米山明莉の2人でお届けします。
インターンが始まってから、2か月が経ちました。私たちは大きく2つのプログラムに取り組んでいます。現在開催中の「SAMPLING PRODUCT 47都道府県の見立てのプロダクト展」と次回企画展のプロモーションプランを、それぞれ提案し実践する、というものです。
すでに2回の発表を終え、現在は具体的なプロモーションプランの提案に向けて準備を進めています。
私たちはMUSEUMの店頭に日々立っているのですが、今回のインターン日誌ではそこでの気づきについてお話ししたいと思います。
現在会期中の「SAMPLING PRODUCT 47都道府県の見立てのプロダクト展」は、DIYやカスタムが流行している今、つくらないでつくる「見立て」をテーマに工業用品や業務用品などを展示しています。道具を見立てて暮らしの中へ取り入れる、新たな暮らしのきっかけをご提案しています。
今回の展示はこれまでのd47 MUSEUMの展示とはがらっと会場の構成が異なります。店頭に立っていると、「今回は雰囲気が違うのね。」というお声もちらほら。d47 MUSEUMにいらしたことがある方にとっては、新鮮な光景なのではないでしょうか。d47 MUSEUMの展示といえば、47台の正方形の展示台がずらっと並ぶ空間を思い浮かべる方も多いと思いますが、今回は会場全体を広くゆったりと使っています。
展示の内容や実際の展示風景はd47 MUSEUMとしては珍しいかもしれませんが、創業当時より「つくらないでつくる」をキーワードにした「SAMPLING FURNITURE」シリーズを提案してきたD&DEPARTMENTらしい、D&DEPARTMENTならではの展示になっています。
展示場所の設営期間は、私たちが商品チェックやタグ付けをする傍ら、デザイン部の方々は工事をしていました。壁をつくって空間の形をがらっと変えたり、空間に横たわる大きな展示台を設置したりと、展示空間が作り上げられている様子を見ていると高揚感がありました!
設営が終わり、商品の陳列も終えると、ひとつひとつの商品について説明を受けます。業務用品の本来の使い方や、そのものに関わる土地の特徴、生産者の方がどんな方なのか、どんなこだわりをもっている会社なのか、私たちはその業務用品をどのように暮らしに取り入れられるのか。それぞれの商品を仕入れた担当の方の説明を聞くことで、自分の生活とは縁遠く感じる業務用品が少し身近に感じるようになりました。実際に展示を見てから街中に出ると、今回の展示品の一つである「自立式グリーンバック」を持って作業している方に気づいたり、今まで風景に溶け込み気づかなかったところに目が留まるように。
もともとさまざまな場面で専門的に使われているこれらの道具は、とっても機能的に考えられています。例えば、りんごの出荷の際に使われる木箱は調湿作用があり、またスタッキングして使うこともできます。お茶箱は茶葉や乾物の保存に用いるため、防湿、防虫、防臭に優れていて、造りもとても頑丈です。
りんご箱やお茶箱は今は生活の中で目にすることは少なくなりましたが、ご年配のお客さまからは「なつかしいね。」と以前どのように使っていたかを教えていただくことも。机として使っていたり、お洋服などの収納に使っていたり、カナリヤなど鳥のゲージとして使われていたりと、その使い方はさまざまです。中には、お父さまから譲り受けたお茶箱をキャンプで使っているというお話も。また、わたしは初めて知ったのですが、仙台の初売りの茶箱はとても有名。全国でも稀な盛り上がりを見せる仙台の初売りでは、お茶箱に電化製品やお茶などが入っていて、初売りの目玉商品の一つになっているそうです。このように、さまざまな使い方やその土地ならではの文化をお客様から教えて頂き、それを他のお客様にも伝えたりと新たな使い方を一緒に考えるきっかけにもなっています。ものの使い方はひとつではなく、さまざまな使い方やリサイクルができるのだと日々実感しています。
また、機能性に優れたこれらの選定品はデザインにも無駄がなく洗練されていて、潔い美しさがあります。ミュージアムにいらっしゃるお客様もその選定品だけでなく、展示台に写りこむ影を写真に撮っていたりと展示ならではの気づきも。大阪のがまかつが作っている釣り人用の落とし網の影を何枚も写真に収めているお客様を目にして、わたしも影に着目しました。
東京の小泉硝子製作所の作る医療・理化学用のガラス容器は、理科学実験や医療現場で使われるため高度な機能性が求められますが、ひとつひとつ手吹きでつくられているというので驚きです。ガラス容器の映し出す影は水の波紋のようでとても美しく、手吹きならではのあたたかみのある揺らぎが特徴的。
京都の「BOLTS HARDWARE STORE」の作る部品仕分け用のセルフメイドのトレイは、職人が工場内で部品を仕分けるためのアルミ製のトレイを商品化したもの。もともと職人が使用する目的で作られているため、溶接の跡もあえて残し、その無骨さはお客様からもかっこいい、美しいと評判です。
ミュージアムの接客では、商品の説明や、どんな使い方ができるかお客さまと一緒に考えていますが、日々、お客さまの様子を見てスタッフのみなさんが商品の並びや導線を少しずつ変えています。展示がはじまってからもお客さまの反応をもとに工夫を重ねていることに衝撃を受けました。より手に取ってもらえるように、新たな商品に気づいてもらえるように。何回も足を運んでくださるお客さまも毎回新鮮な気持ちで見ていただけるのではないでしょうか。
このように商品の魅力をお客さまから教えていただくことも多々。接客は展示に興味をもってくださる方はどんな方たちなのか、どんなところに興味を持ってくださるのかを知ることにもつながっており、プロモーションプランを考えるときの助けにもなっています。
次回のインターン日誌vol.3では、プロモーションプランの提案から実践までの様子をお届けできればと思います。お楽しみに。「SAMPLING PRODUCT 47都道府県の見立てのプロダクト展」は10月15日まで開催しています。ぜひお越しください。