スタッフの商品日記 109 タカタレムノス ティッシュストッカー

機能的であり、整然としたフォルムをもつシンプルなティッシュストッカー

誕生
2000年9月、初のプライウッドクロックのシリーズを発売したタカタレムノスは、お客様から、さらなるプライウッドの生活雑貨のリクエストがあり、プライウッド使用したプロダクトを製作することとなった。

(森豊史氏が手がけたPlywood clock)
そのひとつが当時タカタレムノスのインハウスデザイナーであった森豊史氏のデザインで製作されたティッシュストッカー「STOCK」。このティッシュストッカーはプライウッドが大きく一周したわっぱのようなデザインで、蓋は自重で落ちるため、ティッシュの残量が目に見えてわかりやすく、簡易パックのティッシュ2個をストックできる機能性も有している。

プライウッドを使用したのは、石油化学材料など環境に悪影響のある廃棄物を削減するため。さらに、接着剤もホルムアルデヒドを含まない植物由来のものを開発して環境に配慮した作り方をされている。また、使用しているプライウッドは定尺のプライウッド原板の寸法900×1800㎜からティッシュストッカー1台分の使用量は120×880㎜で14台分のパーツで使い切るサイズでほとんどゴミが出ない設計。非常に歩留まりの良い製品で、デザイン・設計の段階で考慮されており、徹底的に環境に配慮しゴミを出さないように工夫された製品といえる。外見のデザインは建築空間のモデュロールに従った心地よさと合理性が両立したデザインで、ニューヨーク近代美術館から「日本的な合理的で美しいデザイン」と評価された。
プライウッドを使用したデザインは当時他にも製作されており、「STOCKシリーズ」として生活用品に活用された。

(現在ティッシュストッカー以外のSTOCKシリーズは販売終了)
このプライウッドシリーズはのちに日本の昭和時代を代表するプロダクトデザイナー渡辺力氏の「RIKI CLOCK」の開発に繋がる重要な位置づけでもある。

つづく仲間
株式会社タカタレムノスは1947年、高岡市白金町にて、黄銅生型鋳物による浄土真宗用仏具の製造の個人創業から始まった。仏具の製造から知人の紹介により、株式会社精工舎(現、セイコータイムクリエーション株式会社)の黄銅生型鋳物及び漆塗による時計枠を製造し、1974年には、株式会社精工舎から東京迎賓館へ納められた時計の本体を手掛ける。時計のノウハウを学んだことにで時計事業部を立ち上げ、株式会社精工舎の協力工場となる。そして1984年、時計事業部を分離独立し、有限会社タカタ(現、株式会社タカタレムノス)を設立。自社製品開発始め、1986年より川崎和男氏との協業を開始。
(東京迎賓館へ納められた時計)


(左:HOLA 川崎和男 右:ILUS 川崎和男)
1988年にデザインされた HOLA は、「20世紀を最も表現した THE CLOCK」としてニューヨークのクーパーヒューイット美術館に永久保存されるなど、不朽の名作として今なお世界で高く評価されている。1992年には株式会社タカタレムノスに社名を変更し、ミラノ・マチェフ、ニューヨーク・アクセントオンデザイン、ロサンゼルス・ロサンゼルスギフトショーなど海外の展覧会にも積極的に参加する。しかし、1997年頃からのコピー商品の氾濫により、樹脂成型による時計枠の企画・製造をやむなく中止。新しい素材に挑戦することとなったタカタレムノスは協力メーカーとプライウッドの技術を獲得し、2000年9月、プライウッドクロックのシリーズを発売。プライウッドを使用したのは、石油化学材料など環境に悪影響のある廃棄物を削減する目的があった。そのため、接着剤もホルムアルデヒドを含まない植物由来のものを開発。また、プライウッドクロックは合理的なモジュラー設計で、わずかな負荷で少量多品種に対応することができる。プライウッドによる製品開発をきっかけに高田製作所の鋳造技術を活用した鋳物の時計 Edge Clockなど独自の技術や素材、環境負荷に配慮した商品づくりに取り組んでいる。

検品
1点ずつ、スタッフによって、丁寧な検品が行われている。

つづく暮らし
ティッシュストッカー に使用されているプライウッド(シナ合板)はやさしい木肌でささくれも少なく吸湿性に優れている。本体にクリア塗装してあり、長い間使用することで少しずつ飴色に経年変化するのも特徴。
(上:5年程使用し経年変化したもの 下:新品)
汚れがひどい場合は水で薄めた中性洗剤や石鹸水を柔らかい布に少量つけてふき取り、その後は乾拭きしてしっかり乾燥させる。

お気に入りのポイント
ティッシュは生活に欠かせないものの1つですが、ボックスティッシュをそのまま使うと生活感が出てしまいます。ティッシュのパッケージを隠せば良いという話でもなく、シルエットや存在感に生活感が漂うのです。花粉症の時期などは手放せないもので、ティッシュ箱が机から無くなることはないでしょう。必要なものだけど、なるべく表に置きたくない存在です。名前通りストックできる容量を備えているため、ドンとある存在感。整然とした雰囲気を醸し出す姿は机という更地にすらっと建つ建築物のようです。清潔感のある白いプライウッドと四隅の丸みによって机に、部屋の風景によく馴染みます。また、プライウッドの経年変化も魅力の一つ。新しい住宅が街の風景に馴染んでいく様に、時間とともにプライウッドが少しずつ色づいていく様も楽しめます。シナ材のプライウッドの程良い丸み、清潔感、2つ分のティッシュが入れられる機能性も合理的で、確かな存在感なのに、あって良いと思える数少ないものの1つです。(工藤駿平/東京店ショップスタッフ)

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