オリジナルワイン

D&DEPARTMENT SAITAMAがある熊谷市から車で30分程度のところに小川町という場所があります。
「有機の里」として有名な小川町には、「小川町有機農業生産グループ」があり、所属する多くの有機農家が当たり前のように農薬や化学肥料を使わずに農作物を栽培しています。この土地で「武蔵ワイナリー」は、2015年にワイン造りをスタート。もともと耕作放棄地だった土地を開墾し、完全無農薬で葡萄を育てています。こだわりは無農薬の葡萄作り。そして、ボルドー液や亜硫酸塩、その他一切の添加物を使用せず、その土地のテロワールを余すとこなく生かしたワイン造りを行なっています。

さて、2022年2月4日~5月8日までd47 MUSEUMにて開催された47winetourismですが、その目的は産地を訪れることでした。「武蔵ワイナリー」は、47winetourismの埼玉代表として選ばれました。そこで、埼玉の代表、むしろ日本のナチュールワインの代表とも言える「武蔵ワイナリー」で、埼玉店らしいオリジナルワインを共同で仕込もう!というのが、オリジナルワイン造りのスタートになります。

そして、2022年8月25日「d SCHOOLわかりやすいワイン造り 武蔵ワイナリー」を開催し、有志(参加者)を募り、葡萄の収穫~仕込みまでを一緒に行いました。埼玉店では、「わかりやすい自然派ワイン」「わかりやすい日本ワイン」に続く第3弾のワインイベントになります。過去の学びから、さらなるステップを進み、今度は実際に自分達でぶどうを収穫し、搾汁をしてワインを仕込む会を開催しました。ぶどうの収穫作業の大変さ、美味しいワインはどんな風に仕込まれるのか?これらを実際に行う、自分たちだけのオリジナルワイン造りです。

当日は、天気にも恵まれ、作業しやすい気候でした。ワイン好き(武蔵ワイナリーファン)の参加者と共に、武蔵ワイナリー代表の栽培・醸造責任者の福島有造さんから直々に葡萄の収穫方法を教わりながら、一つ一つ丁寧に葡萄を収穫します。武蔵ワイナリーさんが育てている葡萄は「小公子」と呼ばれ、日本国内で開発されたヤマブドウ系列の交配品種で、日本のオリジナル品種です。小公子の特徴は、小さい実ですが高い糖度と濃い色調をもった野性味溢れるワインが出来上がるそうです。

収穫している時に、そのままの葡萄を食べさせていただいたのですが、その葡萄の甘いこと!十分にこのままでも美味しい!と思えるほどの糖度で、かなり衝撃を覚えました。

葡萄の収穫も全て手作業で行われます。葡萄をどの程度追熟させておくか?に応じて仕上がりのワインの種類が変わってくるそうです。

葡萄の収穫後は、葡萄でいっぱいになったコンテナを倉庫へ移動します。そして、コンテナの葡萄を計量してから、搾汁の作業に進みます。

もちろん搾汁も手作業で行いました。
2人ペアになり、コンテナの網目を利用しながら、少しづつ葡萄を入れて押しつぶしてバケツに溜めていきます。今回は、除梗もせずに全て利用します。大きな虫や明らかに汚れた箇所を除いては全てを潰していきました。

バケツに溜まった葡萄液を大きなタンクへ入れ替えし、また潰し、の繰り返しの作業を十数回繰り返し、総量1tの葡萄液を準備することができました。

この葡萄液をみんなで味見をしたのですが、まさに貴重な一口でした!
滅多に飲むことのない、醗酵前のワインの原型である葡萄液は、想像以上に香り高く、濃厚で、葡萄ジュースとは全く違った、ありのままの自然溢れる力強い旨みが詰まっていました。

最後に、この葡萄液の中に、先に少量を酒母として発酵させていたものを加えます。これは、発酵のスタートを早めて、リスクを軽減するためだそうです。そして、この1tのタンクを貯蔵庫へ移動します。これで、ワインの仕込み工程が完了しました。

あとは、自然の力を信じ、醗酵を待つだけ!です。
出来上がり時期は、2023年の春ごろの予定。

たった1日ではありましたが、これだけの工程を経験したことで、福島夫妻が愛情込めて育てる葡萄、テロワールがいかにワインの味を決め手となっているのか?を学ぶことができました。福島さんの「葡萄を育てずして醸造家とは言えない」という真をついた言葉は印象的で重みを感じます。この熱い想いが武蔵ワイナリーの全てのワインの味の決め手なのだな、と感じました。

その土地のテロワール全ての要素が詰まった飲み物がワイン。
埼玉らしさ、小川町らしさ、武蔵ワイナリーらしさの詰まった最高のワインとなることを心から期待します!