スタッフの商品日記 106 サイトウ アイロン台

専門メーカーがつくるアイロン台

誕生
DEPARTMENTで創業時から販売しているサイトウアイロン台は、1988年に神奈川で誕生。業務用で使用されているアイロン台を作る職人が年々減少していく中、業務用のアイロン台を家庭用に改良して、製品化できないかと試作を繰り返し、完成したアイロン台。現在では、その機能性の高さから、ファッション業界をはじめ、アイロンを必要とするプロの現場でも使用されている。初期は、斉藤アイロン台工業の社長である齋藤氏の妻がアイロンの掛け方などを伝えながら販売していた。"マダム・サイトウがプロデュースしたアイロン台"として、広く知られるようになった。社長同士が友人だったことから2016年に斉藤アイロン台工業からクロスドッグが経営を引き継いだ。

特徴
サイトウアイロン台の魅力は、なんといってもアイロンの掛けやすさ。それは、独特な形状と構造に秘密がある。

丸みのある形状は、万十(まんじゅう)と呼ばれる綿入りのアイロン台をモチーフ。枕よりも小さな形状で、人間の身体に近いなだらかな曲面を作っている。フラットなアイロン台と比べると、アイロンとの設置面積が少ないため滑りが軽く、力を入れずに掛けることができる。また、シャツなどはアイロン台に着せるようにセットできるので、アイロンが難しい立体的な肩周辺のしわが伸びやすい。かつて仕立て屋さんは、自分たちで万十を作っており、アイロンを掛けていくうちに、独自の使いやすい形に変化していった。サイトウアイロン台の曲面は、使い込まれた万十のカーブを参考につくられている。

材料は本体はポリエチレン製のブロー成型(中空成形)。プラスチックの本体と15ミリの極厚フェルト、綿のカバーの3層構造。この3層構造は、サイトウアイロン台、独自のデザインで特許も取得。

構造はシンプルで、フェルトは品質にこだわり丁度良い固さで約15㎜の厚みがあるものを使用し、この様に厚いフェルトを使用しているのもサイトウ アイロン台だけ。これが他社とは違うパリッと仕上がる理由。中に空気層があるので熱がこもり衣類の下からも熱が伝達。更に細かな突起が表面全体にあり、スチームの余分な水分がアイロン台の表面に残らず、突起と突起の間に落ちて衣類に戻らない様に形状になっている。

カバーは国内の生地を福井で裁断・縫製。新商品である黒生地はスチームアイロンを掛けても色落ち、色移りしない様に染色してる。また、サイトウ アイロン台の脚は金属質の光沢のあるクロムメッキで、武骨なデザインとなり、丈夫であることが一目瞭然。

DEPARTMENTで取扱しているアイロン本体は、スチーム機能なし/温度調節のみのシンプルなドライアイロン。スチームアイロンは、アイロン掛けした後、水分が残っており、それが乾いた時に、戻りじわになることがある。ドライアイロンと霧吹きのセットが、よりきれいにアイロン掛けが出来るので、ドライアイロンを推奨している。

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製造
本体の製造・組立は、山形県にあるブロー成型工場と神奈川県の工場にて行なっている。


成形1


成形2


成形3


成形4


バリ取り1


バリ取り2


仕上げ

株式会社リョウケ 山形工場

最終の検品や組み立ては、神奈川県横浜市にある工場にて行なっている




つづく仲間
斉藤アイロン台工業は、1924年に神奈川県で創業。業務用アイロン台の製造・販売を開始し、アイロンの掛けやすさを追求して、アイロン掛けが上手な人で無くても簡単に掛けられて、パリッとして、とても良い仕上がりになるアイロン台であることに、こだわって製造を行なっている。現在も存続している唯一のアイロン台専業メーカー。


クロスドッグ 取締役営業部長 杉山栄敏氏


つづく産業
同商品が横浜で生まれ育ったのは、洋服の仕立て屋やクリーニング店など、ファッション関連の店が軒を連ねており、アイロン台のニーズがあったからと考え、ピーク時には第三工場まであり、かつては同業のメーカーも存在していた。しかし、安価な海外製品が輸入されるようになると、国産メーカーは次々と廃業。

長く売り続けることができている理由は、高級アイロン台だったという点。サイトウ アイロン台は、プロ仕様のアイロン台を家庭用にアレンジした商品のため、安さではなく機能を追求している。使い心地はもちろん、リペアなども可能。機能性が差別化となり、生き残ることができた。実際、斉藤アイロン台工業では安価な製品も販売していたが、それらは全て廃番となった。


つづく暮らし
長く使えるように壊れにくいシンプルな構造になっており、カバーやフェルト、脚、部品類など、全てのパーツ交換が可能。カバーやフェルトを交換すると購入時の掛け心地が復活する。長く使い続けてもらえるようにサポートしていく姿勢があり、一般的なアイロン台の10倍近い価格ではあるが、20年、30年使い続けることができる。


お気に入りのポイント
プリーツスカートのアイロンがけが楽になりました。10年以上履いているお気に入りのコムデギャルソンのプリーツスカートがあります。プリーツを綺麗にアイロンがけするのは結構大変な作業ですが、スチームを当てただけでは綺麗に仕上がらないので、定期的にアイロンで丁寧にプレスしてメンテナンスをしています。取れかかっているヒダの裾をクリップで止めて当て布の上から少しずつプレスするとクセづけされやすくなるので試してみてください。アイロン全体に力を加えてプレスするとヒダがずれやすいのですが、サイトウアイロン台は、台のカーブに沿ってスカートがフィットし、アイロンにうまく力が乗ってあまりヒダがズレることなくいっきに滑らかに掛けらます。以前に比べかなり時短でしかも綺麗に仕上がるようになりました。お子さんがいらっしゃる方は学生服のアイロンがけにもおすすめです。手間のかかるメンテナンスですが、このアイロン台のおかげでお気に入りの服をながく手放さずに愛用できています。(東京店ショップスタッフ)

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