d shoolわかりやすい自然栽培 関野塾を通じて自然栽培、固定種栽培を学んで早3年。
関野幸生氏から自然栽培を学んでいくうちに、日本固有の野菜たちがどんどん失われていること、そして、本当の野菜の味を知らない世代が増えていることに気づきます。在来種の種をつなぐことの難しさも理解しつつ、できるだけ日本固有の野菜とそれらの本物の味を後世へつなぐために自分たちができることは何か?を考え、小さなことからコツコツと行動を起こすことが大切。そんな中、今年の特別講義には、埼玉県日高市で自然栽培でごまを育てている「香胡園」の鈴木香純さんを講師にお招きしました。

関野塾の前半は、いつも通りに交雑対策の畑仕事を行い、後半戦で、鈴木さんのお話を伺いました。
実は、国産ごまの自給率は、すでに0.1%以下となっており、国産のごまを食べることは本当に貴重な状況になっています。おそらく、この事実を知っている日本人もそれほど多くないように思います。そのような状況を変えるべく立ち上がり、日高産のごま、それも「金ごま」の栽培を21歳で1人で始めた鈴木香純さん。メディアにも注目され、たくさんのテレビなどにもご出演されています。
若い頃の体調不良という苦しいご経験から、食への興味に発展し、最終的に、自分で畑を、という流れは、必然的に導かれてきたとしか思えないほどです。鈴木さん自身は、小柄で可愛らしく、一見、農業をやっているような雰囲気は感じないながらも、秘められたバイタリティはもちろん、日高を金ゴマで盛り上げよう!という力強い想いには感心するばかりです。
かつてインドで遺伝子組み換えの綿栽培が広がり、その高価な遺伝子組み替えの綿の種子を買い続けなければならない状況に、農家たちの借金がかさみ、命を断つ人が多くいた、という事実を知り、利益のためだけに、環境や人々の暮らしに悪い影響を及ぼしていることに、大変な違和感と悲しみを感じたそうです。この話をキッカケに、鈴木さんの自然栽培はスタートします。
鈴木さんも私たちと同じように関野幸生氏から自然栽培を学び、私たちが感じたように、固定種野菜が日本から消え始めている事実を知り、自分でも自家採取し、自然栽培をやる決心をしたそうです。そして、選んだのは「金ごま」。
「金ごま」は、埼玉県の気候など栽培に適しており、日本の日常食としても代表的な食材です。しかし、昔から食されていた食材にもかかわらず自給率は本当に低い状況です。鈴木さんは、日本一の金ごま農家を目指しているそうです。
金ごまを栽培し、しっかりと製品化して事業として成り立たせているプロセスには、大変なご苦労があったと思います。就農されても、実際に農家として生計を立てるまでには時間がかかるという話はよく聞きます。さらに一般的にごま(金ごま含む)は、比較的栽培が簡単だと言われていますが、種まき後の草取り、収穫、選別など、まだまだ手作業で行うことが多くあります。鈴木さんは、金ごまを育てて9年目になるそうですが、種まき時の草取りの工夫にしても、細かな作業ポイントがあり、惜しみなく経験談を話してくださいました。それは自然栽培を行なっている私たちにも十分に役に立つお話でした。全てが手作業だから良いというわけでもなく、効率的に作業できる部分は、工夫しづつけることが大事です。
鈴木さんは金ごま農家として生活が成り立つまでには約3年かかったそうです。結婚を期に、旦那さんとそのご家族と共に畑を管理するようになり、今では、畑の面積は4町5反。(約44628.1平方メートル)そして、年間2トンほどの金ごまを生産をしています。
これだけの広さの金ごま畑、ぜひ見てみたいですね!収量をしっかり増やしながらも、ある程度の選別を自分たちで行なったあとは、長野県の工場に商品化までの工程を全委託されているそうです。

そんな鈴木さんに向けて、参加者の塾生からも多くの質問がありました。
金ごまの選別は水洗いで大丈夫なのか?耕作放棄地を借りる際に、前の方が何を作っていたか、農薬は使っていたか?などの調査はしているのか?国産のごまは本当に少ないから応援したい、など。
関野さんもおっしゃっていましたが、やはり、なんでも「やってみる」ということが大事。できない理由を探すのでなく、できるようになるためには何が必要か、を淡々と行うことが大切です。これは自然栽培に限ったことではないかもしれません。
イベントでは、鈴木さんの「金ごま」と「農林61号(これまた貴重な埼玉県産の小麦)のうどん&そうめん」の販売もご用意していただきました!
みなさん、鈴木さんの金ごまに興味津々!金ごまもうどんも大人気でした。

鈴木さんと同じような若い世代のバイタリティ溢れる方がもっと増えて、自然栽培がもっと盛り上がると良いな、と感じた会でした。
これからも、鈴木さんを見習って私たちも固定種栽培を続けていこうと思います!