伊勢製餡所へ行ってきました

D&DEPARTMENT MIE by VISONにはどら焼きスタンドがあります。伊賀市出身の和菓子職人「まっちん」さんと一緒に一からレシピを開発し、三重のどら焼き「dどら」を作りました。dどらに使われている、卵、蜂蜜、菜種油、小麦粉といった素材は三重県産の素材にこだわっています。

今回は、どら焼き「dどら」になくてはならない存在の餡子を製造している「伊勢製餡所」へ伺いました。dオリジナルとして粗糖を使った甘すぎない餡子を「伊勢製餡所」さんと共同開発し、製造をお願いしております。
 
大正13年創業、100年続く「伊勢製餡所」は伊勢神宮から車で約15分。ビルなどの建物に囲まれた場所にあります。お店にお邪魔させて頂いた間も、たくさんの地元の方が餡子を求めに来店されていました。その様子から地元民の生活に根付き、古くから愛されているお店だと感じました。

工場はお店の横にある細い通路の先にあります。工場が稼働するのは朝の5時。日曜日以外、毎日稼働させるそうです。工場案内は代表取締役の吉村弘子さんにしていただきました。dどらに使用している、粗糖を使ったdオリジナル餡子は粒あんとほうじ茶あんの2種類。その製造現場を見学させていただきました。

工場の入り口近くには銅釜が並んでおり、これで小豆を炊くそう。小豆は北海道産の「雅」、和菓子屋さんに指名買いで買われることも多い、小豆の最高級品。そして、小豆を銅釜で炊くのが、美味しい餡子を作るのに大切な工程になってくると吉村さんはおっしゃっていました。銅釜は普通の釜に比べて熱伝導が違うため、小豆がふっくらと炊き上がります。

炊いた小豆と粗糖を入れ、この大きな鍋で約1時間半炊き込みます。糖度を測り、充填機に運ぶため小さな鍋に手作業で移し替えを行います。この鍋の周りは高温、熱い小豆も飛んでくるため、火傷をするほど危険です。それにも関わらず、なんと機械を使わずに手作業で移し替えを行うのです。その理由は、機械だと小豆の粒を潰してしまうためです。

鍋の近くにいるだけで熱さで体力を奪われてしまいそうになるが、次から次へと熱く重い餡を移しかえる工程は職人魂を感じました。

ほうじ茶あんはこし餡のため、粗糖で炊いていく工程の前に生あん(こし餡)を作る工程があります。この写真の機械で炊いた小豆をひき、こすことで、実と皮に分けていきます。

そして、水槽のなかに入れ小豆を沈殿させ、上の水を取り除き小豆をポンプで引き上げて、さらにこしていきます。

これで完成したのが水分63%の生あん。後は、粒あんと同じように鍋に生あん、水、粗糖、ほうじ茶を入れて炊いていきます。粒あんよりもさらに甘さ控えめでほうじ茶の香ばしい香りがする、ほうじ茶あんが完成します。

最後の工程、袋詰めも小豆の粒が潰れない特殊なポンプを使用し、最後まで細心の注意を払います。一日に製造される餡子の量は約3トン。創業から変わらない製造工程はとてもシンプルですが、一つ一つが丁寧で、職人の餡子に注ぐ熱量を感じました。

最後に、出来たばかりの粒あんを食べさせていただきました。まだ、温かい餡は小豆の粒がしっかりと残っており、ほんのりと優しい甘さ。餡だけでもずっと食べれてしまうぐらい、後に残らない甘さでさっぱりとしていました。
 
「餡子は小豆の炊き方によって色が変わる。物作りは機械に頼ってはいいものが作れない。年数で鍛えた目と感触が大切。」と吉村さん。創業から変わらない製法と原料で作っている餡子に、誇りを持っている姿は素敵でした。
 
三重店スタッフが朝から生地を仕込み、銅板で焼き上げるふわふわの皮と甘さ控えめのdオリジナル餡子の相性は抜群。ボリューミーながらもぺろりと食べられます。
ぜひ、伊勢製餡所の丹精込めて作られたdオリジナル餡子を味わっていただけたら嬉しいです。

〈店舗情報〉
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住所:〒519-2170 三重県多気郡多気町ヴィソン672-1 サンセバスチャン通り6
電話:0598-67-8570
営業時間:10:00~18:00 無休