d47 MUSEUM インターンレポート vol.2 「もののまわり」には「ひとのおもい」がある

こんにちは、d47 MUSEUMインターンの吉田凌太です。

 

d47 MUSEUMでは、第30回企画展「ものにはまわりがある展」を9月19日(月)まで開催しています。

本展示はこれまでの展示と異なり、「もののまわり」をテーマに、地域のものづくりや、場所、食文化、活動を紹介しています。その土地らしいプロダクト、場所、食文化、活動を「もの」として、「もの」が生まれた背景や関わる人、文化、仲間など「まわり」のストーリーを表現しています。

展示だけでなく、ものづくり体験や現地イベントなどを通して、多くの方に愛着を持ってもらえると嬉しいです。

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「もののまわり」を深く知ってほしい

本展示の特徴は、47都道府県ではなく、14都道府県に絞った展示であることにあります。来場者の皆さんからも「今回は47都道府県ではないの?」と質問を頻繁にいただきました。

すでにご来場いただいた方はご存知かもしれないですが、本展示はとても情報量が多いです。私も展示開始直後は情報の多さに圧倒されていました。

 

ただ「もの」がどんな場所で、どんな人によって、どのような背景で作られているかを知ると、自然と商品に愛着が湧いてきます。

 

例えば、奈良県東吉野では村内全体で「tumi-isi」を作っていたり、福島県では廃棄される猪革を自宅で処理し革製品をつくる地域おこし協力隊の方がいたり、東京都檜原村では木一本丸ごと販売を行い森林再生を図る方々がいたり。

「もの」だけではわからない「まわり」を知り、そのストーリーに面白みを感じて購入されたお客様も多くいました。

 

 

私の場合は各地域の「人」に興味を持ち、福島県西会津町の「西会津国際芸術村」や埼玉県越生町の「オクムサマルシェ」などに実際に足を運びました。

皆さんも物に触れたり、見たり、使ったりする中で、その商品の「まわり」に興味を持ち実際に訪れる、なんてことがあればとても嬉しいです。

 

 

「d47ファン」の私が仕事を通して感じたこと

私がこのインターンに応募したきっかけは、2020年春にd47食堂で開催された「愛媛を食べる会」という企画に参加したことです。

そのときの店員の方に、「長く愛されるものを今後に残していきたい」というお話を聞き、感銘を受けました。そして実際に各地域の魅力をどのように発信されているか知りたいと思い、d47 MUSEUMへインターンとして応募しました。

 

実際に参加して感じたことは2つあります。

1つは想像よりも地道な作業の繰り返しで、その蓄積によって今のD&DEPARTMENTが存在すること。もう1つは、常に「人」基点で仕事が進められていることです。

前者に関しては、参加以前に抱いたイメージをはるかに凌駕していました。展示の置き方やPOPの見せ方、商品の選び方、言葉の使い方、どれをとっても徹底されています。生産者の方々の思いをどう解釈してどのように発信するか、という点を試行錯誤し細部にまでこだわっていると感じました。

 

お客さんに見えない部分にまで配慮し、長い間地道な作業を蓄積してきたからこそ、信頼関係が生まれているのだと思います。

 

後者に関しては、当然かもしれませんが、私はインターンに参加するまで、「もの」に着目し、「もの」をどうやって伝えるのか、という点しか考えていませんでした。

仕事をするにつれ、むしろ「人」の考え方や価値観をどう表現するか、という点がむしろ大切で、「人」の思いを伝える手段として「もの」があると気づきました。

 

d47スタッフとお客さんの会話を見ていると、その「人」がどんな生活をしているか、その生活のなかでどんな提案ができるかという会話が多いように感じます。

以上の2点が、実際に仕事する中で感じた視点でした。

 

 

若い世代が気軽にd47に訪れるために

今回の展示では、複数人で来場する方や真剣に展示を見つめる学生はいました。ただ私は、d47に訪れる若い世代をもっと増やせると信じています。若い世代の方々が、少しでもd47に親近感を持ち、また来てくれるようにするにはどのようにすればいいのか考えました。

 

1つは、商品の「もののまわり」を伝え、新しい生活様式自体を提案することです。

d47に置かれた商品は、大変な時間と手間をかけて作られるため、学生には少し高価です。学生のお客様に聞くと、「見る分には楽しいけど、買うのには少し高い」と仰っていました。普段触れないものなら尚更、買うのを躊躇します。だからこそ商品単体の特性だけでなく、その商品を使うとどんな生活が待ち望めるかを提案できたらと感じます。

 

もう1つは、展示スペースの中に余白を設けて、滞在しやすい環境をつくることです。若い世代の方々が繰り返し訪れるには、いかにd47に滞在する時間を増やし、d47の活動を理解する接点を増やすかが大切です。

現に多くの方が店内を通過してしまう一方で、「また来たい」と話す方は置かれた書籍をじっくり読んで下さることが多かったです。

つまり緊張感のある空間でなく、誰もが自由に休み、ゆっくり滞在できる空間を作ることが良いと考えられます。そっと一腰ついて、また展示を見るといった動きを生み出せると、滞在人数や滞在時間を増やし、来場回数も増やせると思います。

 

 

「もののまわり」には「ひとのおもい」がある。

このインターンに参加し、地域・暮らし・産業・仲間・環境といった多くの要素が絡み合い、はじめてひとつの「もの」が誕生するということを強く実感しました。

展示会も同様です。支えてくださる方々、ご来場してくださるお客さん、生産者の方々など多くの方々の応援のもと、はじめて展示が完成します。今後も各方面の方々の支援を受け、d47を通して「もののまわり」から「ひとのおもい」がより一層伝播していくことを願っています。

私もまた1人のd47ファンとして、個人的に訪れたり、周りの知人に紹介していきたいと思います。