【UMITO Partners × d47食堂】 海の持続性を考える サステナブル・シーフード
「江戸前船橋瞬〆すずき®️」
◯生産地
千葉県船橋市(東京湾)
◯事業者
海光物産株式会社
◯魚の種類
スズキ 「江戸前船橋瞬〆すずき®️」
※東京湾はスズキの水揚げ量全国第一位
◯漁業の手法
まき網漁業
◯スズキの特徴
「江戸前船橋瞬〆すずき®️」
スズキの旬である5月~10月に水揚げされるものの中から、形や色・大きさ・活きのよさなどの基準により厳選されたものを瞬〆処理したもの。2015年に千葉県より、「千葉ブランド水産物認定品」に選ばれています。また2018月には、まき網漁法による東京湾スズキ漁業において、MEL(マリン・エコラベル・ジャパン)*の水産物認証と流通加工段階認証も取得しており、国際基準を満たす持続可能な水産物として認められています。
瞬〆とは
鮮度を保ち、より魚の旨味を引き出すため、海光物産が独自に開発した魚の〆方。活〆・血抜きしたスズキの神経をエアガンで抜き取ります。瞬〆をすることで魚が感じるストレスを最小限に抑え、身割れなどの身質の劣化を防ぎ、魚の旨味を閉じ込めることができます。
※「江戸前船橋瞬〆すずき」及び「瞬〆」は海光物産の登録商標です。
*MEL認証について
MEL=マリン・エコラベル・ジャパン。国際的に認められている日本発の水産エコラベル認証の一つで、水産資源や生態系などの環境にやさしい方法で行われている漁業や養殖業を認証しています。MELマーク付商品を消費者が積極的に選ぶことで、豊かな海を守る日本の水産業と魚食文化の発展に寄与することを目指すものです。
◯「江戸前船橋瞬〆すずき®️」のサステナビリティ
実はあまり知られていませんが、東京湾は魚の宝庫。古くから豊富な水産資源に恵まれ、江戸時代以降は「江戸前」と呼ばれるブランドで親しまれる水産物が水揚げされる豊かな海です。そして現在も千葉県を中心として盛んに漁業活動が行われています。
しかし、急激な都市化と経済発展によって埋め立てや開発を繰り返し、かつては豊かな漁場だった東京湾も漁獲量は減少傾向にあります。祖父の代から漁業を営む海光物産の大野さんは、3代に渡ってその変化を目の当たりにしてきました。
2016年、東京2020大会の選手村にスズキを提供したいと、食材の調達基準である国際認証の取得を目指したのをきっかけに、伝統ある東京湾の江戸前漁業を持続可能なものとして次世代に継承しようと大野さんが中心となって立ち上げた「東京湾スズキまき網漁業改善プロジェクト」が日本初の漁業改善プロジェクト(FIP*)です。
千葉県船橋市はスズキの水揚げ量で全国第一位を誇ります。スズキ漁は5月~10月が旬の時期。夜に出漁して翌朝帰港します。毎日出漁できるわけではなく、天候や海の状態によっては漁に出ない判断をすることも。東京湾は1日約500隻の船が往来し、大きな貿易船も通ることから漁は命懸けともいいます。危険を伴い、そう多くない機会であれば1回の漁でたくさんの魚を獲りたいと思うのは自然なことです。
また、船を走らせながら大きな網を魚の群れを囲うように海に入れ、群れごと網に閉じ込めて獲るまき網漁では、狙った魚以外も同じ網に入ってしまいます。その代表格が「コノシロ」です。コノシロは江戸前の寿司ネタとして欠かせない「コハダ」の成魚で、出世魚の中では、小さいほうが高額で取引されることが多い珍しい魚です。市場ではなかなか値の上がらない魚と言われ、価値が上がらなければたくさん獲らなければ稼ぎにならず、しかし、「獲れるだけとる」ということを続けていては資源はいずれ枯渇してしまいます。
大野さんは「よい漁師とは、少なく獲ってそれを稼ぎにするのがうまい者のことだ」という祖父の言葉のもと、自主的な資源管理を行ってきました。
まず「瞬〆」という魚の鮮度を保つための処理方法によってスズキのブランド化を図りました。獲った魚の付加価値を高めることによって、水揚げ量を減らしても事業の持続性を担保する取り組みです。そのためには手間を惜しまず、一匹一匹手作業で丁寧に処理をします。そして11月から2月の産卵期にはスズキを獲らず、漁期中も25cm以下の幼魚は海に放しています。
また東京湾を守るためには他の漁業者はもちろんのこと、行政や研究機関、関連企業等とも協力して資源管理の計画、改善に取り組むことも不可欠です。FIPの一環として「東京湾の水産資源の未来を考える会」を作り、仲間の漁師さんたちと存続に必要な資源管理などの勉強会を定期的に開催したり、IT企業と漁獲データ記録システムの構築に取り組むなど、少しずつその輪を広げていきました。
魚をただ獲るだけでなく、「いつ」「どこで」「どのくらい」獲ったのかを記録することで定量的な資源管理を行い、そのデータを元に、実際にお店で販売される魚が「いつ」「どこで」獲れ、どう流通してきたのかというトレーサビリティ情報を消費者が見られるようにする取り組み「江戸前フィッシュパスポート」にも参画されています。
また海にばかり目をむけるのではなく、大学でのシンポジウムに登壇したり、訪問授業や学校給食を通じた子どもたちへの食育活動、海洋プラスチック汚染問題の改善や漁業のCO2削減まで、幅広く取り組まれています。
こういった活動が評価され、2018年には持続可能な水産物とその事業者を認定するエコマークMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)を取得するに至りました。さらに2022年8月には、国際的に水産エコラベルの審査を行うGSSI*から承認を受けた新基準となるMEL2.0も取得されています。
失礼ながら、漁師さんといえば昔気質なイメージがありましたが、お話しをうかがってみると、大野さんの口からは水産業のDX化やブロックチェーン技術の活用など革新的な意見が次々と出てきます。積極的に変革意識を持って自ら推し進めていく力強さを感じました。
大野さんは「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という言葉も引き合いに出して語ってくれました。百年前の祖父の時代から資源管理の精神を引き継いできた営みを、次の百年先を見据えて繋いでいくという思いに触れ、大野さんたち漁業者の思いも一緒にお客様にお届けすることが、この活動に参加する私たちの責任だと感じました。漁業者、販売者、消費者が思いで繋がり、それぞれの行動でポジティブな連鎖を生み出す力になれたらと思います。
ぜひ、このスズキとコノシロを味わって、身近な海である東京湾の豊かさを感じ、その持続性を考えるきっかけとなって欲しいと思います。
プロジェクトの詳細|UMITO Partners - ウミトパートナーズ
千葉県船橋市東京湾スズキまき網漁業改善プロジェクト(FIP)
*FIPについて
漁業改善プロジェクト(FIP:Fishery Improvement Project)とは、サステナブルな漁業を目指し、持続可能性における課題解決を計画的に取り組むプロジェクトです。応援したい行政・企業・NGOなどと連携しながら進めます。
*GSSI
世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI:Global Sustainable Seafood Initiative)は、持続可能な水産物の普及を目的に2013年2月に設立された、水産関連企業、NGO、専門家、政府及び政府間組織による国際的な連合組織。GSSI認証の水産エコラベルは2022年8月現在、世界で9例。
■メニュー情報
「江戸前船橋瞬〆すずき®️」東京湾ミックスフライ
千葉県船橋市で百年先を見据えた漁業に取り組む海光物産の「瞬〆すずき」。同じ漁で水揚げされるコノシロも一緒にミックスフライに。鮮度抜群のスズキは旨みが強くふっくら瑞々しい。柚子胡椒の効いたタルタルソース添え。
提供期間|2024年10月1日(火)~12月上旬予定 ※数量限定・なくなり次第終了
提供店舗|d47食堂(渋谷ヒカリエ 8F) Map
サステナブル・シーフードについて
現在、世界の水産資源の3分の1以上は持続可能ではないかたちで漁獲されているといわれています。また、ゴミや排水によって海が汚れたり、気候変動によって水産資源である魚の生息域が変化するなど、海の環境保全の重要性は高まっています。サステナブル・シーフードとは、今ある豊かな海を守り、将来にも渡ってその恵みを食べ続けていくことができるように、水産資源や海の環境に配慮し持続可能で適切に管理された漁業によって漁獲、または養殖された水産物のことをいいます。サステナブル・シーフードを積極的に消費することで、私たちは水産資源や海の環境、海と共に生きる地域社会を守る活動に参加することができます。
プロジェクトの詳細はこちら >> 海の持続性を考える サステナブル・シーフード
※サステナブルな漁業や養殖業を目指し、持続可能性における課題解決を計画的に取り組むプロジェクトFIP(Fishery Improvement Project)やAIP(Aquaculture Improvement Project)から調達された水産物もサステナブルシーフードに含まれます。
パートナー企業
株式会社 UMITO Partners
「ウミとヒトが豊かな社会の実現」をビジョンに掲げ、海の回復力を高めるべく、持続可能(サステナブル)な漁業・養殖業への転換と海のネイチャーポジティブを推進。サステナブルな漁業・養殖業、生物多様性、気候変動対策、生態系保全保護の領域においてコンサルティング事業・マッチング事業等を実施。2023年4月には、海と漁業のサステナブルを推進する企業として、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対するアメリカ発の国際的な認証制度「B Corp認証」を取得。
UMITO Partners HP >> umitopartners.com
■提供店舗
d47食堂 ( Instagram / Facebook / 渋谷ヒカリエHP )
D&DEPARTMENT PROJECTによる、47都道府県と季節を感じる定食屋。各地に根付く、その土地ならではの食材や食文化を活かしたメニューが味わえるほか、ワークショップや勉強会も開催。食を通じて、生産者や器のつくり手の想いとともに、各地の個性と魅力を伝えている。今年から、海の持続性についてお客様と一緒に考える「サステナブル・シーフード」の活動をUMITO Partnersと共にスタート。
住所 東京都渋谷区渋谷2-21-1 ヒカリエ 8F
電話 03-6427-2303
営業時間 月-土|11:30-16:00/18:00-21:00 日|9:00-11:00/11:30-16:00/18:00-21:00
※水曜定休
※日曜日はd47食堂モーニング開催のため朝の時間帯も営業(不定期開催)