“こどもの頃から、きちんとした味を知ることが大切”
2016年5月に開催された『良い食品博覧会』にて、「次の世代へ良い食品を繋げていくには?」という問い対する、生産者からの答えです。
d47食堂は、『良い食品づくりの会』の協力店会員として、美味しい・安心・安全な食品を次世代に繋げていくため、生産者と共に活動をしています。
『良い食品づくりの会』が考える『良い食品』とは
1. なにより安全 添加物や食品衛生の点で安心。
2. おいしい 形状・色沢・香味・食感のすべてが「本物」。
3. 適正な価格 品質にてらして安い値段。
4. ごまかしがない 不当・誇張表示、過剰包装がない。
そして、『良い食品』を作るための心得として
1. 良い原料 確かな素性と、安全で良質。
2. 清潔な工場 機械・設備の行き届いた手入れと清掃。
3. 優秀な技術 品質を正しく見分ける眼と、素材の特性を引出す腕。
4. 経営者の良心 儲けよりも品質を重んじる「職人の心」を持ち、地球環境に配慮する。
便利さが重視されている世の中、スーパーマーケットには、簡易な調味料がたくさんあります。その中から、良い食品を見つけ出すのは至難の業かもしれません。私は今まで、調味料や原材料のことを、深く考えたことがありませんでした。しかし、良い食品博覧会をきっかけに、「この調味料にはどんな原材料が使われていて、どうやって出来ているのだろう…。」と気になりだし、このままでは、スーパーマーケットに売られている〇〇風調味料に慣れ親しむこどもがどんどん増えてしまうのではないだろうか、と心配になりました。良い食品の「ほんとうにおいしいの理由」を知ってもらうため、こどもdSCHOOLを開催しました。
第一回のテーマは「出汁」。
東京「かつお節問屋タイコウ」の代表、稲葉泰三さんが博士として登場し始まりました。
『 出汁ってなあに? 』
出汁とは旨味。煮干しや昆布、干し椎茸、かつお節から引き出だした汁には、素材の旨味がギュッと染み出ています。旨味には、料理を美味しくする力があり、栄養もたっぷり含まれています。
北海道川汲浜の真昆布の大きさや色を実際に見て、その大きさに驚くこども達。
色は、真っ黒ではなく、深い緑色で光に当てると透けて見えます。これが良い昆布なのだそう。
食堂で使用しているいりこも味見します。「昔はこれがおやつだったんだ。おいしくて栄養もあって、最高のおやつだったよ。」と博士が言うと、「大好き!おやつで食べてるよ~!」と言う子も。
話が盛り上がる中、かつお節についての話に進みます。
『 かつおはどこでとれるの? 』
『 かつお節はどうやってできるの? 』
稲葉博士が選ぶかつお節の原料は、近海で一本釣りされたかつお。近年のかつお漁は巻き網漁がほとんどを占めている中、一本釣りのかつおにこだわるのはなぜなのか。答えて頂きました。
巻き網漁で苦しだかつおは、暴れた時にエネルギーを使うため、乳酸が増えてしまい酸っぱくなるそうです。一方で、一本釣りのかつおにはエネルギーが多く残り、それがイノシン酸(=旨味)に変わり、良質なかつお節の原料になるのです。
この良質なかつおが、腕の良いかつお節職人の手によってかつお節に加工されます。
稲葉博士の信頼を持つかつお節職人は、鹿児島県枕崎市にいる宮下誠さん。博士の話の中には幾度となく「誠さん」の名前が出てきます。
かつお節ができる、大まかな行程は「さばく」→「煮る」→「いぶす」→「カビ付け」。この行程の合間合間にも、繊細な作業が組み込まれ、約6ヶ月を経て稲葉博士のもとに届きます。
1匹から出来るかつお節は4本。博士持参のかつお人形でわかりやすく教えてくださいます。
かつお節についてたくさん学んだ後は、待ちに待った体験。
『 かつお節を削ってみよう! 』
軍手をはめ、無我夢中で削るこども達は、上手くいかない!と悔しがりながら徐々にコツを掴み、たくさん削ることが出来ました。博士が削ったものと見比べ「全然ちがーう!」と目を丸くしていると、博士はこう言います。
「削り方は何だって良いんだよ、良いかつお節なんだから。素材が良いから、どう削っても美味しいよ。」
周りで見ていたお母さん達が、なるほど~と頷きます。
みんなで削ったかつお節を集め、次へ進みます。
『 出汁をとろう! 』
一晩昆布を漬けている水を火にかけ、沸騰直前に昆布を取りあげます。そこに削りたてのかつお節を入れ、好みの時間が経ったらかつおを漉して完成。出汁があれば、汁もの料理はもちろんのこと、自家製のめんつゆやドレッシングなど、活用方法がたくさんあります。
「素材が良いかつお節だから、少量でしっかり出汁が出る。渋味も無いから最後までしっかり搾る。」
「うまいうまい!」とお母さんにも分け与えるこども達に感激。
削りたてのかつお節が美味しくて、手が止まらない子ども達。
稲葉博士から学び、素材そのものの美味しさを知った子どもたちの姿をみて、もっともっとたくさんの子どもたちにこういいった体験してほしいと強く思いました。
d47食堂は“ほんとうにおいしい研究所”であり、こども達とお父さんお母さんが“隊員”として「ほんとうにおいしいの理由」を一緒に探っていくこどもdSCHOOL。日本の未来に、ほんとうにおいしいを残していくため、活動はつづきます。