d食堂京都では、月替りで京都の地域に絞ったテーマでつくる京都定食を提供しています。今回は、2月から始まる「伊根定食」開発に向け、伊根町の地域のお母さんや生産者さんにお話を伺いました。
伊根町は、京都の北端にある舟屋で有名な漁師町。市内から車で二時間程度走った所にあり、日本海をなぞるように舟屋が並んだ自然豊かな場所です。「伊根のいか」「伊根の鰤」と、昔から伊根産の海産物は品質が高く、「伊根なら間違いなくうまい」と献上品にされていた程、信頼されてきました。
伊根観光協会の吉田さんアテンドの元、舟屋に暮らす上林紀子さんのご自宅に伺いました。
ご自宅の舟屋を見せてもらい、そのままお昼ごはんをごちそうに。
初めに頂いたのは、「塩イカ」というお料理。伊根では、どの家庭でも手作りされることが多く、秋に獲れるアオリイカにたっぷりの塩をして、天日干しして作ります。「イカの胴の部分をこうゆう風に切ると、魚に見えるでしょ?」と紀子さん。塩イカは、切り方によって魚や鯨の形に見立て、お祝い事や神様のお供え物に使われます。お正月には欠かせない晴れの日の料理です。この日頂いた塩イカは、まだ出来上がる少し前。水分が飛んで、断面がオレンジ色になるくらいが食べごろだそう。とても塩辛いので、お茶と一緒に少しづつ食べるのだとか。噛めば噛むほど旨味が吹き出す伊根ならではの食材です。
次に煮魚をいただくことに、
「ぞうご煮」と呼ばれる煮付けは、地元でしか消費されない小さめの魚を大鍋で大胆に煮る料理。鮮度がよいため、頭や内臓もついたまま丸ごと使い、醤油、味醂、砂糖を入れて炊きます。この時頂いたのは、アイゴという魚。他には、チョンコロバンという魚も食べます。食べ終わった後は、魚のアラにお湯をかけ、即席のお吸物“骨ずいも”でほっと一息。「骨から出汁が出て美味しいよ」と教えて頂きました。お昼を頂いた後、家の前にある、もんどり(魚の網)や、およがせ(生簀)、塩イカを干しているところ見せてもらい、舟屋の暮らし方を教えていただきました。
「もんどり」の中に、魚のアラなどを仕掛けておくと、翌朝魚がかかっていることも。この日は、小さいタコがかかっていました。
紀子さんのお話はとても楽しく、話に引き込まれてしまいました。伊根の人々の暮らしは、海や魚とのかかわりが優しく溶け込んでいて、ここに住めば自然に対して素直に感謝できるような気がしました。
次に、「橋本水産」さんの鰤の養殖場を見学。橋本弘さんに船で案内して頂き、お話をお伺いしました。
橋本さんの養殖は、通常の1/3の魚数で育てるため、生け簀の中の魚は運動量が増え、健康な状態で育てることができます。さらに、餌はアジ、サバなど自然に近い餌を与え、薬は極力使わず、自然環境に配慮した安全で美味しい魚を育てられています。鰤は、1年~1年半育て出荷されるとのこと。
伊根の海産物のことや食材についてもお話を伺いました。
続きます。