最高の道具は手。料理をしながら考えたCooking & Serving spoon
サービング用のスプーンフォークセットではなく、スプーン単独で機能する。調理ベラにも使えて、拭ってそのまま食卓でも使えるスプーンです。
Cooking & Serving spoonをデザインしたのは、空間・家具・プロダクトのデザインを手がけるデザイン事務所Luft(ルフト)に所属する桶田千夏子さん。桶田さんは、法律を学んだ後、料理の道に転身し、清澄白河(東京)に山食堂を創立。現在は、日々料理をしながら「暮らしに必要な物」を見つめ直し、デザインの仕事に取り組まれています。Cooking & Serving spoonは、桶田さんが、以前から抱いていた『調理にも使えて、卓上でサービングにも使える、手の延長のようなスプーン』『食卓で存在感を発しすぎない、へらのようなさじ。道具のようでいて、道具然としていない、形状と気配』の必要性を元にデザインしたスプーンです。
つづく仲間
素材は、ステンレスと木の二種で展開されており、D&DEPARTMENTで取扱のあるステンレス製を製作するのは、新潟県燕市の和田助製作所。
古くから、作業工具や刃物といった金属製品、金属製洋食器などを生産する「金物の町」として知られる燕三条で、大正12年に創業以来、流行にとらわれることのないシンプルなデザインと確かな品質をモットーとし、ホテル向けなどの業務用金属器物から家庭用品まで、様々なアイテムを製造するメーカーです。
(サービングスプーンの打ち合わせをする、桶田さんと和田助製作所の和田社長)
新潟県燕市と言えば、ステンレス加工の一大産地。製造は、金型づくり、プレス、研磨と、工程に応じた細かい分業体制が敷かれており、高い技術力を持った職人達がそれぞれの分野を担当しています。
10代の頃からずっと仕上げ磨きをされてきた80代の職人さん。仕上げの寸止め加減の塩梅が製品の佇まいを左右するそうで、まさに職人技。
つづく暮らし大切にしたのは、持ち手の先端の緩いカーブ。指に馴染む柔らかなカーブは、使い心地とは関係しないようでいて、不思議な安心感を感じる重要箇所。実はこの部分のために、金型を作り直したほどとのこと。2サイズ展開、なぜこの微妙な違いで?と思うぐらいの7ミリの横幅の差も、使い慣れてくると、用途によって使い分けたくなってきます。菜箸では掴めない、計量スプーンでは小さい、レードルでは深すぎる、ターナーではすくえない。そんな料理の数々ー 豆、コーン、杏仁豆腐、アイスクリーム。その他、野菜炒めやひじきなどのお惣菜。浅いからこそ、料理がスプーンにはまり込まない。浅いけれど、少し凹んでいるだけで、思った以上にすくうことができる。台所に立つ時、つい、手にとってしまうアイテムです。
おすすめの使い方
W54は、小さめの具材をさっと混ぜたり、盛りつけたり、パックからヨーグルトをすくったり。W61は、大きめの具材をざっくりと混ぜたり、崩れやすい煮ものや汁気のある料理の盛りつけに向いています。柔らかなカーブ形状で、下から手を差し入れるような感覚でやさしくすくえます。又、全長が長めで、ボウルや鍋、器の中に沈みこみにくい形状です。
お気に入りのポイント
はじめて桶田さんデザインの製品を使ったのは、木村硝子店から発売されているガラスの醤油さしでした。コンパクトなサイズで、簡単に洗えて、中身も見える。そんな細やかで気が利く桶田さんデザインのサービングスプーンができたと聞いたのがきっかけで使い始めました。それまで我が家では食卓にレンゲを出していましたが、煮ものによいと聞き、食卓でも使用しています。そして私の一番のおすすめは、料理中のアク取り。滑らかなカーブで薄く大きなスプーンは一度にアクを多く取る事ができるので重宝しています。他にも、使用している知人によると、鉄フライパンで炒め物をする時に、このスプーンでささっと炒めてそのまま食卓に出すとのこと。料理の過程から食卓まで、使い勝手の良いスプーンです。
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