FUTAGAMI 工場見学レポート

現在、D&DEPARTMENT TOYAMAにて開催している「NIPPON VISION?MARKET 富山FUTAGAMI -真鍮の生活道具-」。先日、スタッフみんなで二上の工場見学に行ってきました。

私が、初めてFUTAGAMIの商品を知ったのは、栓抜き「三日月」がきっかけです。

触って程よい重みと美しい形に一目惚れしました。生まれて初めての工場見学が二上とは!ラッキーです。

工場前につくと金属の溶ける独特な匂いがしてきました。

工場の案内をして下さったのは、管理流通を担当されている井上友実さん(とってもチャーミングな方でした!)。まず、工場に入って驚いたのは、井上さんをはじめ若い女性の方が多く働かれている事。職人というと男性の仕事のイメージでしたが、20名程おられる職人さんのうち女性は約6割。工芸科卒業の方もいれば、全くの素人だった方もいるそうです。

FUTAGAMIの商品の素材は「真鍮(しんちゅう)」という金属で作られています。「真鍮」とは、銅、亜鉛、錫、鉛等の金属を混ぜ、約1,100度で溶かした金属のこと。

FUTAGAMIの商品は、「鋳物」といって、高温で加熱して溶かした金属を型(鋳型)に流し込み、冷えて固まった後に型から取り外す方法で作られています。FUTAGAMIで使われている鋳型は、砂で作った「砂型鋳造」。

こちらが砂型。枠の中に、特殊な砂が詰め込まれています。

工場の奥に進み、砂型に金属を流し込む「鋳込み場」に案内していただきました。鋳込み場に入る前に井上さんに渡されたのは「マスク」。鋳込み場は、砂埃が凄く、大きな窯で金属が溶かされている様子に圧倒されました。

猛暑だった今年の夏は工場内の温度が40度になる日もあったそうです。見学に伺った当日も暑く、見学しているだけで汗がでるくらい。職人の皆さんタオルを巻き、作業をテキパキと進めている姿はとにかくカッコイイの一言です!

真鍮を砂型に流し込むと、5分~10分で固まります。型から外す作業はダイナミックで、工場の角にある砂山に、型ごと放り込むように投げ、砂型を崩し、中身を取り出していきます。

職人さんが、私達の前に鋳型からはずしたランプシェードを持ってきてくました。

刷毛で砂を落とすと真鍮独特の風合いのある姿が。

この、鋳造後に鋳型からとりだしたままの鋳物の表面「鋳肌」を生かしたのが、FUTAGAMIの商品の特徴です。実は、この鋳肌をいかす方法は、これまでの常識を覆す方法です。

二上はもともと、仏具をメインで作ってきたメーカー。

仏具の場合、鋳込みをした後は、鏡の用に顔が映り込む程、きれいに磨き上げていきます。それをあえて磨かず、鋳肌のまま仕上げるのは、産地の常識ではありえなかったこと。産地のこと、メーカーのことを深く理解した上でデザインされる、デザイナーの大治将典さんと、高い技術で難しい提案にも決してNOと言わない二上社長の情熱が出会ったからこそ生まれた、伝統産業の進化です。

鋳肌をそのままいかす、といっても、使いやすくするための細やかな作業はたくさんあります。例えば、カトラリーのフォーク。フォークの溝は、一つ一つ切断し、切断部分も細やかに磨かれます。

また、カトラリーは口に入るものなので、銀メッキ加工も行っています。銀メッキは、一般的な銀メッキの約4倍以上の厚みを施すという入念さ。カトラリーに限らず、全ての製品の仕上げ作業を一つ一つ手作業でされています。井上さん曰く、「同じ作業を続けるため忍耐力と根気が必要になります。」とのこと。細やかな手作業には、女性の職人さんの感性が発揮されているのかもしれません。

作業台の机にはFUTAGAMIの商品が使われていました。使い込まれ、いい風合いです。

 

今回、初めて訪れた鋳物工場。実際に現場に行くまでは、工場には、年配の男性の職人さんが多いのだと思っていました。職人の仕事は、「根気と忍耐力が必要」と聞くと、敬遠されてしまいそうですが、二上の工場には、若い職人さんや女性の職人さんが活躍されていることに驚きました。

私は、FUTAGAMIのある高岡生まれ高岡育ちですが、鋳物に関しては、高岡の伝統産業だという認識しか、今まではありませんでした。しかし、FUTAGAMI「三日月」の栓抜きを知り、それが地元高岡で作られていると知ったときは、「こんなカッコイイ栓抜き、高岡で作られとるがっ!!(高岡弁です。笑)」と驚きました。そして、工場で淡々と作業をしている職人さん達を誇らしく思いました。

FUTAGAMIの道具達を通して、もっともっと多くの人に、高岡の鋳物の魅力を知ってもらいたいと思いました。

 

NIPPON VISION MARKET 富山 FUTAGAMI -真鍮の生活道具」は、10月31(水)まで。D&DEPARTMENT TOYAMAで開催中です。今回の特集では期間限定で「FUTAGAMI」ブランド全アイテムを店頭でご紹介します。ぜひ、実際に手に取ってご覧になってください。