d47 MUSEUM itiitiワークショップ 開催レポート

d47 MUSEUM第28回展覧会「47 RENTAL STORE」展から、熊本を拠点に活動するプロダクトユニット「itiiti(イチイチ)」の村上キミさんと、田中ノリコさんのお二人を講師にお招きし、イグサについて学びながら、“身につけるigusa”としてアクセリーを実際につくるワークショップを開催しました。
 
d47 MUSEUM・47 RENTAL STORE 関連イベント
熊本県 i t i i t i イグサでつくるアクセサリー ワークショップ
2021/8/27(金)、8/28(土) ①13:00-14:30/②15:30-17:45
会場:d47 MUSEUM(渋谷ヒカリエ8F)


 

畳の原料であるイグサの国内シェア90%を誇る熊本県八代地方。“日本一のイグサの町”でありながら、ライフスタイルの変化や海外産の流通により、イグサ農家は40年前に比べると5%まで激減しています。
熊本県ご出身の村上さんと田中さんは、ともに建築を学び、仕事として携わった後、建築資材などさまざまな素材を使ったプロダクトを製作。その中で、昔から身近な素材であったイグサに注目し“身につけるigusa”づくりを始めました。叔父さんがイグサ農家という田中さんから、イグサが育つ土地のことや素材の特徴など、スライドとともにお話を伺います。
 

 
イグサは、水田を使用して稲との二毛作でつくられ、12月の寒い季節に苗を植え、7~8月頃に刈り取ります。成長すると人の身長ほどの高さになるそうで、青々としたイグサが一面に広がる景色は、画面越しに見ても気持ちが良さそうです。
刈り取られたイグサは、淡路島の海底からとれる泥を使用した“泥染め”を行い、乾燥させた後、福岡県の染色職人の手によってさまざまな色に染められます。泥染めをすることで、日焼けによる変色を防ぎ、耐久性が増します。いわゆる「畳の香り」は、イグサではなく泥染めの香りであるということを知り、参加者のみなさんも驚かれていました。
 

 

今回のワークショップでは、約2cmのモチーフがついた【mizutama】と、約4.5cmのモチーフがついた【HANABI】の2つの形をご用意いただきました。まずは、20色以上あるイグサの中から、好きな色を2~3色選んでいきます。同じ色の中でも染まり具合や太さが異なるため、組み合わせは無限。悩みながら、それもまた楽しいと、村上さん、田中さんのアドバイスに耳を傾けながら選んでいきます。
 

 

 
色を選んだ後は、ハサミでイグサを切っていきます。モチーフによって3mm、6mm、15mmのパーツを使うため、長さを固定して切れるようにハサミも改造されています。
 

 
サクサクと切れる感触が心地よく、あっという間に小さなパーツができていきます。
 

 
次に針と糸を使い、切ったパーツを一粒ずつ繋げていきます。3cmのモチーフの場合、3mほどの長さが必要となるため、3mmのパーツが約1000粒!配色を考えながらの細かい作業ですが、みなさん、無心になれると繋ぎ終わった後は清々しい表情をされていました。
 

 

 

 
仕上げは村上さん、田中さんが行います。かぎ針を巧みに操り、イグサを編み込んでいきます。一本に連なったイグサが、あっという間に立体になる様子に、参加者のみなさんも釘付けになっていました。最後に金具をつけたら完成です!

 

 

 
イグサ自体を知る人が少なくなってきている現在、身につけることで多くの人の目に触れ、新しい価値も生み出せるのではないかとitiitiのお二人はおっしゃいます。そして「そだてる」「きざむ」「つらねる」「つむぐ」という工程の中に、イグサや地元に対する真摯な思いも重なっているのだと感じました。アクセサリーだけでなく、他の形態でのイグサも構想中とのこと、今後の展開も楽しみです。
参加者同士の繋がりも生まれたワークショップに、会場全体も和気藹々とした空気に包まれ、会は終了しました。

 
47 RENTAL STORE」は、会期を延長し2021年10月18日(月)まで開催。展覧会のために製作いただいたイヤリング(ピアス)のレンタルをはじめ、ミュージアムショップでも販売しています。