9月26日(水)「NIPPON VISION MARKET 郡内から生まれる織物」の開催が始まりました。武藤さんのストール、羽田忠織物さんのネクタイや蝶ネクタイ、渡小織物さんのネクタイをメインに、普段店頭で取り扱いのない商品が多数並びます。お客様に郡内織物の魅力をしっかりと伝えるのが私たちスタッフの役目、ということで武藤株式会社へ見学に行き、勉強をしてきました。普段はなかなか見ることのできないこだわりなどを間近で見てきたので、このブログをご覧になられている皆様におすそ分けです。
天然素材の風合いにこだわり、ストールを作る武藤株式会社。昔は自ら企画・立案を行い、それを他の機屋さんに作ってもらう、そこで完成された商品を自らの手で卸しをするという形をとられていたそうですが、現在は多様化するファッションやニーズに合わせて自社でストール制作を行っています。武藤英之社長がストール作りを始められ、後継ぎとして社長の息子さんである圭亮さん・恒亮さんご兄弟もお父様の背中を追って日本の伝統産業を支えるために頑張られています。
会社に到着すると、バットを振る英之さんに迎えられ、圭亮さん・恒亮さんもいらっしゃいました。和気あいあいと私たちを迎えてくださり、とても仲の良いご家族。この仲の良さが素晴らしいストールを作るひとつの理由なのかなぁ、と思いながら工場見学が始まりました。
こちらは整経機(せいけいき)という機械になります。「経を整える」と書く通り、これから織る織物に対して必要な分の縦糸を準備しておくものです。
このような感じで糸をロール状にした土台を作ることができます。とーーーっても細い糸だということがわかりますよね。
こちらはシャトル織機(しょっき)という機械です。低速で糸を織り上げることができる昔ながらの機械であるため、風合いの調整がしやすいのだそう。武藤さんで扱うのは柔らかい天然素材のため、高速で織ってしまうと糸が切れてしまうのです。また、戦後に生まれた機械なのでアナログだからこその「太い糸でも細い糸でもひとつの機械で織ることができる」というのが特徴です。ミミも作ることができます。
極細の糸を使用して作るストールは織機で織る際に糸が切れたりしないように縦糸に糊付けのような加工をするそうなのですが、織り終わった後はその加工を洗い落としてから製品として出荷します。その洗い場の様子がこちらの写真。
高温のお湯で洗い落とすので、糊が落とされしっかりと素材本来の風合いが戻り、柔らかい触り心地のストールができるのです。さらに、カシミヤやウールなどの商品は温風を与えてふっくらとさせます。
ここまで作業ができたら、後は検品です。人の目で細かな傷や汚れなどがないか確認し、袋詰め、出荷まで一貫して自社で行なっています。武藤さんでは様々な天然素材でストールを作られているので全素材で全ての工程を同じ作業をしていれば良いというわけではなく、素材によって細かい調整を行いながら試行錯誤の日々なんだそう。天然素材のストールを首に巻く心地よさは武藤さんご家族のこの努力から生まれているのだととても感動の工場見学になりました。
「NIPPON VISION MARKET 郡内から生まれる織物」
会期は2018年9月26日(水)~10月21日(日)までの開催になります。
この企画展のために、3素材のストールをいっぺんに同じ釜でボルドーカラーに染め上げたストールをご用意しています。なんと、3素材全て色の現れ方が違っているため、とてもおもしろいものになっていますよ!もちろん、定番のシルクカシミヤストールやシルクウール×シルク麻ボーダーストールもお取り扱いございます。寒い季節へと移りゆく今の時期、1枚あると重宝するはず。驚くほどの軽さと薄さの中に暖かさのあるストール、ぜひこの機会にいかがですか。