1000年以上つづくロングライフアイテム
風呂敷とは、荷物を持ち運んだり、収納に用いられる四角い布。
現代でも使われていますが、古くから日本人の暮らしの中で大切な役割を果たしてきました。
時は遡ること1300年前の奈良時代。
東大寺にある正倉院の所蔵物は、御物・宝物などの貴重なものを保管する際に、布に包んで大切にしまわれていたようです。
また、名前の通りお風呂で使う布としても使われていました。(当時のお風呂とは今でいうサウナのような蒸し風呂を指します)入浴の際、他の人のものと取り違えないように布で衣類を包んだり、入浴の後はその布を床に敷いて身繕いをしたと言われています。まさに”風呂で使う敷物”=”風呂敷”です。
このように布でものを包むという習慣は奈良時代、もしくはそれ以前から現代まで、日本人の間で受け継がれているのです。
再び注目されている万能アイテム
長い歴史を辿っている風呂敷ですが、現代の生活では触れる機会が少なくなっています。
理由として、戦後の高度経済成長期から百貨店やデパートが出現し、紙袋やレジ袋のサービスが定着していった流れがあります。また、和柄が描かれている“古風なもの”という印象や、包むのが難しそう…というのも、手に取りづらい要因だと考えられます。
しかし、2000年代中頃から「環境に優しいアイテム」として再び注目を集め始めました。
ビニール袋の有料化の流れなども受けて、使い捨てではなく繰り返し使える点や、包むものを限定しない万能さから、再び人々の生活の中に取り入られ始めたのです。
↑包み方次第でエコバックとしても使える
↑大判サイズだと傘も包むことができる
数少ない風呂敷専門メーカー
そんな風呂敷を専門で扱っているのが京都の山田繊維株式会社です。
山田繊維株式会社は、京都の地で山田貫七商店として1937年に創業。初代の山田貫市が奉公先の綿布問屋から暖簾分けの後、店を開いたことが始まりです。今では数少なくなった「ふろしき専門メーカー」として、1000年以上にわたって日本の心が育んできた「風呂敷」を、進化し続ける”生きた文化”として商品開発と共に普及活動に取り組んでいます。
つづく文化
山田繊維株式会社が扱っている風呂敷はなんと約500種類にのぼる品揃え。
それらの柄を見ると”古風で手に取りにくい”というイメージとは大きくかけ離れた、
日常生活にも取り入れやすい、どこかへ持って出かけたくなるような可愛いデザインばかり。様々なデザイナーともタッグを組んでいます。
また年に2回、展示会も開催。各展示会毎にテーマが決まっており、想いが詰まった新作の風呂敷が発表されます。
↑2019年に行われた京都での展覧会の様子
このように様々なデザインを作り続けることができるのは、自社で工場を持っていないことが大きく関係しています。デザインによって様々な染色方法や生地の素材を使い分ける必要がありますが、幅広い協力工場の中からもっとも適した工場をセレクトできるため、制約のないデザインができます。柔軟な製造背景により、日本の文化を継承しながらも、現代のライフスタイルに適した風呂敷を生み出しているのです。
つづく仲間
山田繊維株式会社は東京と京都にある、アンテナショップ「むす美」の運営も行なっています。そこでは風呂敷の販売だけでなく、風呂敷の歴史や包み方を伝えるワークショップを毎月行なっています。
現在はオンラインでのワークショップも開催されており、お家でも参加できるようです。包み方と共に風呂敷に込められた日本の良さを知ることで、日常生活に取り入れていく人々が増えています。
D&DEPARTMENTのオリジナル風呂敷の誕生
オリジナルの風呂敷が誕生した経緯は、もともとナガオカケンメイが京都造形芸術大学で商品開発のゼミでの、当時在籍していた学生のアイデアが始まりでした。
その時、D&DEPARTMENT京都店で山田繊維株式会社の風呂敷をセレクトしていたこともあり、D&DEPARTMENTの包装紙(デザインは長嶋りかこ氏)の柄で、日常使いしやすい47cm×47cmで作ることになりました。
お気に入りのポイント
どう結んでも綺麗に見えるデザインのため、結ぶ向きなどの心配をしなくとも簡単に包むことができます。シーチングと呼ばれる、ハリがあって目が詰まった丈夫な生地で、持ち運びも心配ありません。
47cm×47cmのため、今はハンカチとお弁当を包むのに使用していますが、風呂敷の本でブックカバーとしても使えると知ったので、次はそれに挑戦してみようと思っています。良い意味でただの一枚の布のため、活用方法は無限大です。何度も繰り返し使えるので、愛着を持って長く使い続けていきたいです。
D&DEPARTMENT 風呂敷の商品ページ