中国黄山店ができるまで その1

「中国黄山市碧山という場所でD&DEPARTMENTをやりたいという人たちがいるので、一度、現地を見に来て欲しい」という話を受けて、初めて現地を訪れたのが201710月の終わりでした。成田空港から杭州空港へ約3時間30分、そこから車で高速道路を4時間。一面、畑だらけのものすごい田舎町にきてしまった・・・と不安に思いました。白壁とグレーの瓦屋根が建築の特徴。日本人の私にとっては、初めて見る美しい風景です。

 

D&DEPARTMENTの店舗予定地として考えている場所があるということで見せていただきました。もともとは村の老人ホームとして使われていた建物。天井が高く、広い空間がたしかにD&DEPARTMENTの東京店や福岡店のような抜け感があります。

ですが、私たちとしては何かピンときません。D&DEPARTMENTの東京店や福岡店は都市型の店舗で、商圏内の人口が多く、その地域で暮らす人たちに向けての生活用品、家具が一通り揃う幅広い品揃え。ですが、この碧山村は人口も3000人とそれほど多くはなく、どちらかというと観光客に向けて、地域の魅力を発信するお店になります。D&DEPARTMENTの京都店に近い条件なのです。

黄山店のパートナーとなる碧山工销社の拠点を見学。

もともとは村の配給所だった所。

現在は地域で開発したオリジナル商品やセレクト商品を紹介するショップになっています。

そして、私たちが注目したのが、このショップスペースでした。全ての商品が棚に収納されていて、店員と会話をしなければ買い物ができないお店。これがかえって、商品11つのストーリーを伝えるのに、最適だと考えました。ですが、すでに自分たちのショップとして運営しているスペース。これをD&DEPARTMENTに変えるのは難しいだろうなと思いながらも、その思いを伝えると、なんと「わかりました。リニューアルしてD&DEPARTMENTをあのスペースでやりましょう」という回答をいただいたのです。こうして、碧山工销社の中にD&DEPARTMENTができることになりました。

その後は日本に研修に来たり、

交流を繰り返し、時間をかけてお互いの理解を深めていきました。このスピード感は中国の方達にとっては、とてもスローペースでもどかしい思いだったと思いますが、D&DEPARTMENTの活動を本当に必要と考えているか、自分たちの地域で継続していくことができるか、をお互いに確認するには必要な時間だったと考えています。

2018年に入ってからは地域の伝統工芸をリサーチ、中国のロングライフデザインを発掘するための現場の視察をスタート。

伝統的な墨の工房を見学したり、

焼物の工房を訪ねたり、

何回も打ち合わせを行いました。

こちらが今回のパートナーとなる碧山工销社の共同代表の王勇さんと左靖さん。そして猫が打ち合わせの雰囲気をいつも穏やかにしてくれます。

そんなこんなで準備は順調に進んでいます。オープニングパーティには日本からナガオカをはじめ、スタッフも応援に駆けつけます。ぜひ中国初となる黄山店での活動のスタートを、みなさんも応援に来てください。

そして、
オープンを記念して展覧会「もうひとつのデザイン ナガオカケンメイの仕事」を開催します。10の「新しく作らない」発想でつくったものを通じて、もうひとつのデザインの生まれ方を感じて欲しいという想いを込めた展覧会です。

展覧会の公式書籍「もうひとつのデザイン ナガオカケンメイの仕事」の中国語簡体字版も発刊決定
新星出版社 2018年10月出版

そしてなんと!黄山店のある碧山村には「BISHAN CRAFT BEER」というクラフトビールメーカーがあります。オープンを記念して、オリジナルビールを共同開発しました。10月は村の家々の庭先にキンモクセイが咲き、甘い香りが村じゅうに漂う季節。この季節のオープンを祝って、キンモクセイのビールをつくりました。碧山村でだけで、味わうことができます。本数限定ですので、ぜひお早めに現地までいらしてください。

日本からは韓国仁川空港乗り換えで黄山空港から車で約1時間。黄山店スタッフが送迎や宿泊をアレンジしますので、安心ですよ。

中国黄山店ができるまで その2は現地よりお届けします!