スタッフの商品日記 059   秋田木工  スタッキングスツールNo.202

世代を越えて使いつづけるスタッキングスツール

D&DEPARTMENTが扱うUSED家具の中で定期的に買付と販売を行っている秋田木工のスタッキングスツール。定期的に入荷する理由は、発売開始から125万脚以上も売れているロングセラー商品であるため。数年前より定番商品として販売をしたい!と思い続けていた秋田木工スタッキングスツールNo.202を今回、定番商品として販売開始しました。

スタッキングスツールNo.202の誕生
デザインをしているのはジャパニーズ・モダンと呼ばれるデザインの礎を創った中のひとりと言われる剣持勇氏。剣持氏は、曲木家具について1936年に商工省(現・経済産業省)の工芸指導所の試作研究で取り上げ、その際に試作したのがこのスツールと万能テーブル。スツールが製品として発表されたのは、1958年9月銀座の松屋で開催された2DKに暮らす4人家族をテーマにした展示会「アパート生活展」に出品されました。
都市生活向けの家具として設計されており、省スペース化を実現するためスタッキングが可能。高度経済成長にともない、集合住宅が増えたこの時代に、シンプルでスペースを取らないこのスツールは爆発的にヒットしました。
販売から60年以上、「親から子」「子から孫」へと世代をつなぐ家具として、今なお多くの人に愛され続けています。(上写真は、銀座の松屋で開催された「アパート生活展」のカタログ)

(スタッキングスツールNo.202の発売当時の新聞 /昭和33年 )

日本製曲木家具の誕生
19世紀中頃ドイツ人デザイナーのミヒャエル・トーネットによって曲木の技術が考案されました。日本に曲木の技術が伝わったのは、明治時代の1906年。当時の農務省がドイツから曲木機械を輸入したのが始まりです。
国策で積極的に日本国内の雑木を活用することになり、国産品を優先するため、1909年に曲木椅子の輸入が禁止されます。その後、東京、大阪、岐阜、広島、鳥取など全国で生産されるようになりました。
主たる材料であるブナ材が豊富な秋田でも生産される様になり、秋田木工はドイツのトーネット社の曲木技術を導入したことから始まりました。
ブナ材の入手や保管のむずかしさ、また手加工の生産方式による高コストなどの理由により、現在、日本国内では、秋田木工のみがトーネットの技術を受け継いでいます。

つづく産業
製作しているのは1910年に秋田県湯沢市で創業の秋田木工。

秋田木工で働く職人は69名(2021年4月現在)で、「木が木で立っていた時よりも美しく…」という信念のもと、20代の若手から70代のベテランまで、幅広い年齢層の職人が曲木家具を作り続けています。
“日本で唯一自分達にしかできない技術を持っていること“に誇りをもち、100年以上続くこの技術を次の100年に向け、伝統を守り、さらに新しさを取り入れる事に力を入れており、熟練の職人達から若い職人へと正しく伝えています。

つづく技術
曲木の家具をつくり出すために欠かせない治具(じぐ)と呼ばれる鉄型。
仕上がりを左右するこの治具は機械ではつくれないため、全て職人の手作業です。
実寸大の図面から木製の箱型をつくり、製品の曲線を描くところから始まる治具づくり。ボールペンで書かれたわずか0.5mmの線を頼りに、専用の機械で少しずつ鉄を叩き、つくり上げていきます。美しく身体に馴染む曲線を生みだす要となるこの作業は、誰もが簡単にできるものではありません。
この加工は現在、秋田県の優良技能士として県知事賞を受賞した熟練工が担っています。

曲木とは、無垢材を150~200℃の蒸し釜で2時間程蒸し、蒸した材料を鉄型にはめ、一気に曲げます。曲げの作業は、材料が乾燥して硬くなる前に仕上げなければならない為、作業にかける時間はわずか5分。この短時間に木の性質やバランスを見ながら、作業を行います。

蒸し釜に使う蒸気は、工場内で出た廃材や木端を燃やしてボイラーで発生させます。

その他に、組み立てに必要な穴あけやホゾ取りなど緻密に計算しながら職人たちが加工を行う切削。
製品のデザインに合わせて曲木の角度を調整する研磨。その後、塗装、座面や背の張り加工をひとつひとつ職人の加工を経て完成に至ります。
ほとんどのものが機械生産となりつつある現代に、製品はもちろん、鉄型や自分達の作業道具など、あえて手間のかかる手作業にこだわっています。

長く続く製品としてのポイント
日常のお手入れは、“固く絞った布で拭くだけ!”とメンテナンスが簡単なこともポイント
また、全て秋田木工の工場内で仕上げられている為、張替、塗り直し等の修理も可能。

お気に入りのポイント

数年前にUSEDのものを自宅用として購入。ダイニングテーブルに合わせる椅子をずっと探しており、最終的に行き着いたのがこの秋田木工のスツールでした。狭い我が家では圧迫感の出ない椅子が必須で、その点このスツールはテーブルの下に放り込んでおけるくらいコンパクト、かつ、全方位から座ることが可能なため、椅子を引かず横から滑るようにダイニングテーブルに着席できるという、まさに理想的な一脚でした。また、とても軽いため、移動にストレスがないのもとても魅力的。ベランダに持って行って、この椅子に座って昼からビールを飲むのが休日の至福の時間です笑。 自称椅子マニアの私の家に残った椅子は、上司からもらった椅子とyチェア、あとは一番使用頻度の高いこの秋田木工のスツールです。見た目的にもサブ用の椅子として思われがちですが、是非メインの椅子としてバリバリ使い倒してほしい椅子です。(USED担当 松井)

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