現在、鹿児島店で開催しているNIPPON VISION MARKET「鹿児島 木工の手仕事」でご紹介している木工のつくり手を訪ねました。
それぞれの個性やものに対する視点がとてもおもしろく、興味深いことばかり!作品の誕生秘話や制作工程の様子を前編と後編に分けてご紹介します。
まずは鹿児島市石谷町に工房を構えるRoam -wood and iron works- へ。つくり手の松田創意さんは木工と鉄工を一人でこなし、自身のオリジナルプロダクトと、オーダーを受けてものづくりをしています。
今回の企画展へ向けて制作していただいたのが、こちら。
創意さんの代表作である3本脚のスツールは鉄でできており、木材と金属の異素材の組み合わせが特徴的です。今回は溶融亜鉛メッキを施した鉄でスツールを作っていただきました。ウォールナット材と鈍い銀色の組み合わせがかっこよく、新鮮です。経年変化を楽しめる素材なので、使ううちに増す味わいにどんどん愛着が湧きそう。座面から飛び出た脚はシンプルな形ですが、個性的です。スタッキングできる機能性を持たせつつ、かつ邪魔にならない形状の中にほんの少し遊び心も感じます。
異素材の組み合わせを楽しみながら、ものづくりをされる創意さん。「奇を衒ったものではなく、自分の出来る範囲で、無理な要素は取り入れず、でも自分の好きな形やバランスは大事にしたい」とのこと。創意さんの生み出すものはいたってシンプルで、無骨・工業的という言葉が似合うものばかりです。しかし、どこかいつも創意さんらしさを感じるのは、自身の生活の中で起きた出来事や、家族とのやりとりの中で生まれた発想がものづくりにつながっているからだと感じました。
「僕の娘は時間にルーズです。文字が欲しいなと思ったら油性ペンでもなんでも書き込んじゃえばいいんです。」
こちらも現在店頭でご紹介中です。今回の企画ではあえてRoamらしさが伝わる金工の作品も展示しています。木と金属とぜひ実際に手に触れて、異素材の組み合わせを楽しんでいただきたいです。
次に訪ねたのがanaguraの工房です。つくり手の萩原さん、実は創意さんの元で約2年間一緒にものづくりされていたそう。その後独立され、anaguraとして工房を構えました。
萩原さんは家具職人として経験が長くあり、独立してからも鹿児島のカフェなどの店舗内装も多く手がけています。今回の企画展へ向けて、「長くつくり続けたいものを」とお願いしたところ、バーチという素材の合板を用いたスツールを何度も改良を重ねて、萩原さんの個性や得意な技術を生かした形に仕上がっていました。
元々、店舗の家具を製作する際に無垢材ではなく、合板を使うことが多かったため、扱い慣れた材で萩原さんの技術を活かしたものづくりを行っていきたいと思ったそうです。あえて無垢材に寄せたプロダクトではなく、何が自分らしいか考えた時に合板を使うことだったとおっしゃっていました。
製作過程でどうしても家具にならない端材は、クリップボードに活用。
その時々によって材木は変わってくるそうですが、今回はウォルナットとスギ、タモの3種類で作っていただきました。木目の出方でかなり印象が変わります。こちらもぜひ店頭で見比べていただけたら嬉しいです。
合板にこだわりのある萩原さんですが、私たちが見学していて一番驚いたのは成形合板をおひとりでやってしまうこと。鹿児島店でも扱っている天童木工のソファが成形合板で知られていますが、アナログでこんなことができてしまうなんて、、
ちなみに、アナログとアンダーグランドをかけてanaguraだそう。「家具製作において、手仕事と流行りに左右されないことを自分らしくやっていこう」という思いが由来だそう。
今後さらに萩原さんの個性溢れるものづくりを見ることができそうで、ワクワクした工房見学でした。
\ 6月26日(土)19:30より配信! /
AKIHIRO WOODWORKS アキヒロジンさんとインスタライブトークします!
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