「ロングライフデザイン:思考と実践」展をご紹介します

中国深圳市の華・美術館にて、企画展「ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020」が2021年5月29日から9月12日まで開催されています。 D&DEPARTMENTの取り組みを紹介しながら、中国でのロングライフデザインを探っていく展覧会となります。
▶︎公式サイトはこちらから。(中国WeChatへ移動します)

 

ロングライフデザインを10のパートに分けて紹介しています。今回は、コロナウイルス感染症の影響から、現地に行くことができないため、それぞれのパートと会場の展示風景を写真でお届けします。

 

1、ロングライフデザインとは

ロングライフデザインとは、欲深き先進国の人類が最終的に行き着く場所ではないかと思っています。
それは、経済成長から、地球環境と人間自体の「心」を蝕むような消費行動を経て、そうした「もの」で満たされた後に行き着く
幸せはものを手に入れても、手に入らないということに気づくこと。
では、何が私たちを幸せにしてくれるかというと、結論は人と過ごす「時間」である。そのための道具が「ロングライフデザイン」だと思っています。人間が地球環境を破壊しながら、作り出すものを人間は「デザイン」と呼んでいますが、それはかなり時代遅れの考えだと思うのです。
デザインは人間の欲求を満たすため、消費のための造形と考えられてきましたが、もはや、地球はそんなに長くは持たないようで、今こそ、「デザイン」とは、自然環境と、私たちに与えられた「時間」に沿うものであるべきだと考えています。今、私の住む日本は、そんな状況だと感じます。つまり、経済成長を経て、モノでは人は幸せにならない、お金では、幸せは買えないと知り、都市を離れ、幸せについて、また、その実感を求め、地方、田舎に移動し始めています。消費やメディアに踊らされることなく、自分の五感を使える場所に移り住み、自然環境の豊かな土地の中で、自分の幸せについて考え、実感し、ものづくりをする。
そこには人に対する、自然に対する願いや、思い、祈りのようなものがあり、日本ではそうしたことで生まれるものを「デザイン」と呼び、そうしたものの多くが長い時間を経て、形作られている。つまり、それが「ロングライフデザイン」であり、新しいこれからの時代のもう一つの「デザイン」なのだと、考えます。経済成長や地方活性化に潜む「無理」について、実は私たちは感じ、知っている。気づいていると思うのです。
何を「デザイン」と呼ぶべきか。
経済成長の象徴に「デザイン」をなんとなく置く時代は終わり、もっと自然環境に沿ったもの、長い時間をかけて作られる、誰かのためのものではなく、「あの人のため」という具体的な対象がいる、その人のために生まれるもの。
それを「デザイン」と呼ぶべきだと考え、それを「ロングライフデザイン」と名付け、
今、広めています。
この企画展は、私がロングライフデザインをテーマに経営する「D&DEPARTMENT」を一つの題材としたものです。 地球のいろんな都市に、経済発展だけを追わず、サスティナビリティなんて、経済用語で語ることのない、
もっと自然で無理のない、わかりやすいデザイン思考として、
ロングライフデザインを考えて頂くきっかけとなればと思っています。

ナガオカケンメイ
(デザイン活動家・D&DEPARTMENT代表)

 

2、ロングライフデザインの提案と販売:D&DEPARTMENT店舗
その土地特有のロングライフデザインを再確認し、販売を通じて人々にその理念を伝えます。

 

3、ロングライフデザイン企業の初心:60VISION
かつての企業の原点的商品を復刻し、市場に復活させることで、クラシックと時代をつなぎます。

 

4、ロングライフデザインの地域文化:NIPPON VISION
地域の特産品と伝統工芸 VS 伝統と革新が融合した新商品---未来のものづくりを考える。

 

5、ロングライフデザインを学ぶ:d SCHOOL
d SCHOOLのワークショップや講演会、文化体験などを通じて、同じ考えを持つ人々と出会います。

 

6、ロングライグデザインを体験する旅:d design travel
それぞれの土地の歴史性や独自性をデザインの視点で探り、編集し、新しい観光のサービスを生み出します。

 

7、ロングライフデザインを味わう:d たべる研究所
地産地消をテーマに正しい食文化を発信していきます。

 

8、ロングライフデザイン・ミュージアム:d47 MUSEUM
特定のテーマに沿ってモノや情報を集めて展示することで、現代のものづくりを俯瞰的に見ることができます。

 

9、ロングライフデザインのリサイクル:DESIGN RECYCLE
古いものを発掘し再利用することで、市場に復活させます。

 

10、中国でのロングライフデザインの実践

 

 

これらの他に、展覧会期間中に深圳近郊エリアの持続可能なモノや活動を対象としたd SCHOOLを実施予定のほか、華・美術館のショップにてD&DEPARTMENTのポップアップショップも出店します。

写真:©︎華・美術館、photo by 壹誠映像

 

<展覧会概要>
ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020
日程 2021/5/29(土)~9/12(日)
時間 10:00~17:30(初日は16:00から)
場所 華・美術館/OCT Art & Design Gallery(中国・深圳市)Map

「ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020」公式サイト(中国WeChatへ移動します)

Exhibition Director 冯峰
Curators 左靖、ナガオカケンメイ
Presented by 華・美術館
Organizers 左靖工作室、D&DEPARTMENT
Co-organizers 北京当代藝術基金
Support 华侨城集团有限公司
Special Support 国際交流基金北京日本文化センター
Acknowledgments 深圳华侨城洲际大酒店、安哲建筑、易居乐农、等闲谷艺术粮仓
Space Design Studio 10
Graphic Design PAY2PLAY