染めて着つづける
2014年11月に虎ノ門にあるビルの一室で、新たに提案した「染め」によるリサイクルプロジェクト「d&RE WEAR(ディ アンド リウェア)」。
虎ノ門の展示では、ロングライフデザインの考え方をファッションで表現し、まだまだ着られるにも関わらず、廃棄される服に少しだけ手を加えることにより、再び着られるようにリサイクルの循環を表現。古布回収施設の現場を再現した展示を行い、染めた後の衣類の販売を行いました。
その後、2015年からお客様のシミや色あせなどで着られなくなってしまったお気に入りの服を預かり、蘇らせるプロジェクトが各地のD&DEPARTMENT店舗でスタートしました。年に2回、定番カラー「黒」「紺」に毎回異なる「シーズンカラー」を加えた3色での受付行っており、今回2021年よりネットショップでの受付もスタート。
d&RE WEARを展開するきっかけ
展開するきっかけになったのは、2013年に起こったバングラデシュの首都で起こった縫製工場の崩壊事故です。その事故の被害に遭ったのは、劣悪な環境で働かされ、低価格の衣類を製造する労働者でした。このまま大量生産、大量消費、大量廃棄の循環を続けて良いかと考えこのプロジェクトが始まりました。洋服のリサイクル工場を訪れ、そこから救出した服の染め直しを行い、今のd&RE WEARに繋がっています。
つづく仲間
d&RE WEARのシンボルになっているナンバリングの刺繍をしているのは、株式会社笠盛。
1877年群馬県桐生市で創業。
笠盛は、帯の織物業から刺繍業に転身し、独自の技術を開発してきました。
海外での展示会出展にも力を入れ、刺繍の笠盛の地位を築き、2010年には、新たな刺繍加工品を企画し、オリジナルブランド「000」(トリプル・オゥ)を立ち上げました。その独自なテクニックを使う、糸からできるアクセサリーは人気商品になっています。
d&RE WEARで染める服に1点1点管理番号を刺繍を施してもらっており、同じ番号は1点もありません。
d&RE WEARの染めを担当しているのは、株式会社川合染工場。
川合染工場は1950年に先代社長が創業。
現 社長は大学卒業後、染色ケミカル会社の配属で、染色技術が世界一のドイツに渡り本格的に染色技術を学び研究生活の後、帰国し家業を継がれました。
1995年には東京に86社あった染色工場が、現在ではたったの9社。
その要因は、東京都の排水に対する条例が厳しくなり、排水に関する設備投資が難しく廃業をする会社が増えました。川合染工場は、条例が施行される以前から厳しいドイツの基準でも合格できる排水設備を整えており、東京都の排水条例にも問題なく対応ができました。
都内でも少なくなった染工場のひとつであり、社長の独自の染色技術も相まって、国内デザイナーブランドのみならず世界的なブランドからも、信頼されている工場です。
【d&RE WEARの受付からのお渡しまでの流れ】
受付会期終了
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笠盛で管理番号を1点ずつ刺繍を入れてもらっています。
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川合染工場で、シャツ、ワンピース、ズボンなど、洗濯などでも絡まりやすい洋服は、
手縫いで1点1点、洋服が絡まって傷まないように糸で仕付けを行います。
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生地の性質などを見て、染色の窯を変えて染めています。
(窯の大きさはそれぞれあり、状況によって使い分けられており、この機械も川合染工場の社長が設計した機械です。)
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すすぎ、脱水、乾燥、検品、袋詰め
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お客様の手元に届きます。
お気に入りのポイント
最近は流行を追って服を購入することを辞めていて、手持ちの服を"今年のトレンドカラー"に染めました。
学生時代に購入した、なんてことのないリネンのロングスカートなので、染め代金は正直、新しく同じスカートを買うより高くなりましたが…ひとつのものを長く使い続けている自分がなんだか誇らしくなるようで、新しい買い物をするよりも、気分がいいです。(吉田/ネットショップ)
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