スタッフの商品日記 048   TAjiKA KITCHEN SHEARS(separate)

道具としての鋏 「 +α 」

誕生と特徴
元々は布を切るための鋏、裁鋏(たちばさみ)を製造していた多鹿治夫鋏製作所は、裁鋏を使う人が減る中で、四代目の多鹿大輔氏が、いろいろな世代の人に鋏を知って、使ってもらいたいと2008年に「TAjiKA」を設立。KITCHEN SHEARS( separate)は、大輔氏のこんな思いから2009年に誕生しました。「幼い頃から自宅にもキッチン鋏があったのですが、もう少し切りやすかったら・・持ち手がプラスチックだと汚れが詰まり錆びるのではないか・・錆びて使えなくなったら、使い捨てになるのか?など、使う中での気付きが多く、暮らしの中でも包丁に並んでよく使う刃物として、作るようになりました」鋏の中でも繊細な調整が必要な裁鋏の製造で培った技術を応用したキッチン鋏は、抜群の切れ味を持ち、缶のフタを開けたり、瓶の栓を抜いたりとさまざまに使える、昔ながらのステンレス製キッチン鋏を進化させている。約100を超える工程の多くを手作業で行っており、1本1本の鋏に、「切る道具」を超えるような存在感と、持ったときの安定感、想像以上にわずかな力で滑るように開閉できる心地良さが魅力。刃以外の部分にも手間をかけているからこそ、見た目の美しさと存在感があります。分解してネジの下も洗えるので、食品を切るのにも衛生的。研ぎ直しや磨きなど修理が可能で、生涯を共にできる大切な生活道具として日常を豊かにしてくれます。専用BOX入りで贈り物にもおすすめです。TAjiKAのキッチン鋏はD&DEPARTMENTのスタッフにもファンが多い、一品です。


つづく仲間
兵庫県小野市で、四代に渡って鋏を作り続けている「多鹿治夫鋏製作所」は、1938年に創業。裁鋏を中心に約80種類もの鋏を手作業で生み出している。初代の多鹿竹二氏は、問屋の番頭をしており、独立して商売を始め、二代目の治夫氏から鋏づくりをはじめ、製造の基礎を作った。三代目の竹夫氏は18歳から職人の道に入り、今年で約50年。多鹿治夫鋏製作所は、裁鋏の製造で培った技術を活かし、キッチン鋏をはじめ、全ての鋏を同じ製法で作っている。それは自分たちの一番の強みであると考えている。また、三代目の竹夫氏がまだ若手の職人であったころ、配達や仕事で色んな鋏職人の元を訪れ、様々な鋏作りの技術を目で見て覚えてきたことで、裁鋏の技術だけではない記憶の蓄積があり、それを自分たちの鋏にはどう活かせるのか、様々なニーズと技術を掛け合わせて、完成形ではなく、限界のない物作りを楽しみながら繰り返していけるところが自分たちらしいという考えを持つ、魅力ある作り手。

四代目の大輔氏が嬉しかったエピソードを教えてくれました。
"お客様が、「自分が使っていたキッチン鋏を、娘が一人暮らしをする時に道具としてもたせたい」と言って、同じ鋏を買い求めてくださり、自分の大切な人へ自分が大事にしていた同じ道具を渡せることは、長く同じものを作り続けていてよかったんだと思い、嬉しかった出来事のひとつです。"
長くつづく物や事には、必ず、このような"つづく"があり、一時的な露出や話題性だけではない、自分が使って、よかったから、大切な人にも伝える。という思いは、シンプルで、芯のある事実だと思います。




製造工程の様子
職人の手によって、一つ一つ、丁寧に製作



四代目の大輔氏に聞いた長くつづくポイント
「見た目ではなく、中身で伝わるものがあるからだと考えています。鋏は、様々な形はあれど、昔からあるものは全て道具として考え抜かれた形なので、自分たちで形をデザインすることはありません。TAjiKAも鋏の形は大きく変えることなく、鋏を見る目線を少し変化させただけです。

道具である以上、切れることはもちろん、どう切れるのか、切った時の感覚や、小さな違和感、使い続ける中で変化・摩耗していく鋏に対して、どのような方法で研ぐことで一番長持ちさせることができるのか、ひとつひとつ使う中の気付きや、仕事で使っている方からの声を反映させながら、限界のない物作りをすることが、今を超えて、長く続けていくことにつながると信じて作っています。

鋏は、見た目こそ同じに見えて、まったく同じものはありません。
使ってもらう人の使い方や、その時代によって、柔軟に考え方や作り方を工夫し、変化させてきたことで、長く続けてこれたと感じています。

鋏は昔、量産をきっかけに広く知れ渡り、裁ち鋏でも有名になったものがたくさんありました。
優美な見た目や、デザイン性が優れたもの、値段が手頃なものなどは、誰でも情報を探し出せる今、これからもたくさん生み出されていくと思います。
表面だけの情報ではなく、手を通してみてはじめて伝わる技術や、その先にある自分たちが考える本質の部分に触れてもらえるように、これからも努力を続けていきたいと思います。」


メンテナンス
ステンレスの刃物によく使われる材料よりも硬いステンレス材料を使用しているため、切れ味が長持ちします。きちんと洗って水気を拭き取り、手入れをすることで、長く使って頂けます。刃を開ききった状態で上下させると分解する事が出来、ネジの下まで水洗いできます。しっかりと水拭きした後に、キッチンペーパーに付けた食用油を塗ると(少量で大丈夫です)、鋏がスムーズに動く潤滑油としての役割と膜を作ることでサビを防止する役割があります。




お気に入りのポイント
軽い切り口でストレスなく食材が切れるので、調理の頼もしい味方です。私は特にお肉を切るときに重宝しています。調理の際、大体お肉から火を通すことが多いですが、熱した鍋の上でお肉をさっと切ってしまえばまな板と包丁を洗う手間が省くことができます。細かい作業もしやすいので、お肉の筋や余分な脂肪を取り除く際にも助かっています。全てがステンレスで作られているため錆びにくく、分解してネジ周りもしっかり洗うことができるので衛生面でも安心です。いつも台所のさっと取り出せる引き出しに忍ばせています。(下野文歌/D&DEPARTMENT京都店)

台所でハサミを使う時といえば、昆布を切る時か、ビニール袋の口を切ることくらいしか思いつきませんでしたが、引っ越しを機に、せっかく買うなら一生使える道具をと、思い切って購入。そうしてこのハサミが私の台所にやって来てからは、料理助手として大活躍で、一気に料理の効率が上がりました。包丁よりも出番が多いのではと思うくらい。食材の汁や匂いをまな板にうつしたくない時に、お皿やフライパンの上で簡単に肉や野菜を切ることができて、まな板や包丁を出し入れするのが面倒な時は、ついついこのハサミに手が伸びてしまいます。柄の部分をテコにして、ビンや缶のフタも開けらる。たまにしか使わない栓抜きも買わずに済んでいます。両刃を開ききるだけで、工具なしで簡単に分解でき、片方の刃だけでナイフのように使えて、洗うときも刃を一枚ずつ細かいところまで手が届くのでいつも清潔で錆びにくい。全てステンレスでできたシンプルな形は、昔から使われてきたキッチンバサミと変わらないデザインだそうですが、そこに込められた職人の技と使い心地は、まさに機能美。台所の見えるところにしまって時々眺めています。(ショップスタッフ/D&DEPARTMENT東京店)

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