ブリキの経年変化を楽しむ、いずれアンティークになる缶
留め具などの付かないスッキリとした蓋付きの形に、ブリキの板材には仕上げの処理などは行わないことで、素地本来の風合いを生かして作られる角缶。
簡素にすら見えるこの角缶の細部には、職人の技術と複雑な設計図により作られています。
角缶はブリキの板4枚(本体3枚、蓋1枚)のみで組まれており、蓋や中の隅の処理は、溶接や接着剤などを使用せず、ブリキの板材の角を折り込み、外れないように組み込む”ハゼ組み”という加工方法で仕上げています。
それにより中の処理も美しく、無駄のないシンプルさを際立たせています。
D&DEPARTMENTではSS、小、大の3サイズと丸缶も4種類セレクトしています。(NETSHOP、店舗によってラインナップは異なります)
この角缶を製造しているのは、東京都台東区で日本の伝統や職人の技術を生かした日用品をデザインし、数々のオリジナル商品を手がけているSyuRo。
SyuRoは代表の宇南山加子(うなやま・ますこ)さんが1999年に設立し、2008年に今も古くからの町工場が残る東京都台東区にショップをオープンしました。
2019年にD&DEPARTMENT TOKYOではSyuRoの商品とそれの背後にある産業や下町のものづくりを知る"SyuRoのもののまわり"を開催しました。
つづく産業
角缶は2008年まで缶職人の中村敏樹(なかむら・としき)さんと製作していましたが、高齢のため体調を崩されて工場に立てなくなり、2016年には一時生産中止となりました。
そこから職人の募集をし、2017年に現角缶職人の石川浩之(いしかわ・ひろゆき)さんがSyuRoに入社し再生産が始まりました。
一昨年に開催したイベント時に、宇南山さんと現職人の石川さんをお招きしたトークイベントも開催しましたのでこちらから詳しくご覧になれます。
SyuRo角缶のもののまわり関連企画もののまわりトーク-下町のものづくりの産業を知る-
人の手足となり動く機械「けとばし」を使う角缶の製造
角缶の製造では「けとばし」といわれる板状の材料を加工する時に用いる機械を使って作られます。「けとばし」は機械ではありますが、足元にあるペダルを踏み、加工に必要な圧力をかけるため人間の力を動力として動く機械です。角缶の工場にはこのけとばしが20台以上並び、各加工ごとに専用の機械を手足を動かしながら作り上げていきます。
缶の底に入るロゴも、一つ一つ、けとばしを使って刻印していきます。
細かな行程などはこちらの工場見学レポートを是非ご覧ください。
行ってきましたSyuRo「角缶」工場見学レポート
つづく仲間
様々なプロダクトを手がけているsyuRoの製品は、角缶以外にも東京・下町の工場の職人さんと作られています。
浅草で100年続くブラシ工場の「アートブラシ」さんや、釘や接着剤を使わずに木を組み立てる指物の職人である益田大祐さんなど、古くから続く技術や職人の方の知恵や知識などを生かしたものつくりがここから生まれています。
SyuRoのナラのキッチンブラシ
SyuRoのガラガラ(角)
SyuRoとものづくりをする、東京・下町工場めぐり
お手入れ
素材そのままを楽しんで頂く為に、錆び止め加工はしていません。その為つなぎ目部分が錆びやすくなっています。
洗った場合は乾いた布で水気を拭き取り、よく乾燥させてください。
缶の素材は水気に弱いので、冷蔵庫での保管はお避けください。
缶の切り口で手を傷つける恐れがありますので取扱時にお気をつけください。
手の平で全体をなでていただくと手の油でシミになりにくく艶と味を楽しんでいただけます。
そして商品に付くお取り扱い上のご注意の説明書き最後には「いずれアンティークになる、シンプルな缶を是非お楽しみください」と書いてあるように、経年変化を楽しむことのできる収納箱です。
お気に入りのポイント
5,6年前に初めて見た時に、プラスチックや紙箱とは違う金属の無骨な素材感に惹かれて購入しました。買ってからは机の上に散らばりがちなメモ、カードやペンなどデスク小物をまとめてデスクに閉まって使っていました。
買ってから数年経ってからふと気づくと外側の表面がざらっとしたマットな質感に育ってました。新品の鈍く光っていた時とは違う年月の変化で深みが出てくると、説明にもあるようにアンティークやビンテージという雰囲気に変わり、今では部屋の見えるところに引っ張り出して使っています。使っていくことで表情を変えながら育っていくことで愛着が生まれる収納缶です。
SyuRo・角缶の商品ページ