埼玉店スタッフでd&RE WEARでも藍染をしていただいている武州中島紺屋さんへ見学に行ってきました。
埼玉店の所在する熊谷市から羽生市までは車で約30分の位置にあります。
ここでは小学生などを受け入れた藍染体験を行なっていて、埼玉県内の小学生なら高確率でここに藍染体験に来ているそうです。作業場には小学生の団体での体験に使える沢山の机や干し場があり、小学生達からの体験染めの感想のメッセージボードが所狭しと飾ってあります。羽生市内の染め屋さんの中でもここはもっとも市民に近い染め屋さんなのだと感じました。
まずは藍染の歴史や染めの行程を作業場にてじっくりと教えてもらいます。
現在は徳島や北海道から藍の原料を調達しているそうですが昔は利根川付近でも藍の栽培をしていたそうです。
藍を腐食させて作った『すくも』を1週間かけて発酵させるとブクブクと泡が出てきます。こうして初めて染めができる段階へと進みます。この作業を『藍を建てる』と言います。この作業をここではさらに自然な発酵を促す『地獄だし』というとても難易度の高い方法を行なっています。
この地中に埋められた藍壺は創業からのものだそうで今も現役で使われています。藍の発酵を促すため土中の4つの壺の中央にはおが屑を炊く事ができる穴があり、ここでおがくずを炊く事で壺をじんわりと温めることができる仕組みとなっています。
私たちもハンカチでの藍染体験をさせていただきました。3人3様の結び方に性格を見出しながら、さてどのような仕上がりになるのか楽しみです。
ハンカチ布を折って結んだものを藍液に浸します。藍液は真っ青かと思っていましたが植物らしい緑がかった色です。
取り出したハンカチ布をすぐにゴムを外して広げると緑がかった色に染まっています。しかしここから魔法のようにじわじわと色が青く変化していくのです。藍の青は酸化することによって出てくる色なので空気に晒すことで色が変わるのだそうです。まさに科学の世界ですね。
こうしてできた体験染のハンカチ。折り方や結び方をかえるだけで色々な模様に変化することも面白かったです。
武州中島紺屋には藍染資料館も併設されています。4代目中島康夫さんは文化の継承のため藍染を多くの人へ伝えるのに体験染めができるように施設を整備し、学ぶことができるように敷地内に藍染の資料館も作ったそうです。
現在、武州正藍染を継承し活動をしている埼玉県認定伝統工芸士の新島大吾さんも「初めは分からなかったが文化を継承させていくにはその文化を沢山の人に知ってもらうことから始まるのだと感じている。」とお話をしてくださいました。そんな新島大吾さんもまさに小学生の頃にここで行なった体験染での経験から繋がり、長い歳月を経てからまた武州正藍染への興味を再度膨らませ、その技術や伝統を繋げていきたいと活動されています。
衰退しなくなる貴重な文化は国内にもたくさんあります。
どんなことにおいてもまずはそれに興味を持ってもらうこと、学んでもらい身近な生活で使うことに文化の継承の入り口があるのだと感じることができました。