植物原料100%の線香
蚊といえば夏というイメージが強かったので、秋になっても毎日刺されるのは何故かと思って調べたところ、蚊の種類や地域、その年の気候によって差はあるものの、日本では春から秋まで、一年のうち約半分は蚊への注意が必要だとわかりました。私はうっかり虫除けスプレーや蚊取り線香の匂いを嗅いでしまうと、頭痛などの体調不調が起きる体質の為、防虫対策で身を守ることができないまま刺され放題で悩んでいました。そして最近知ったのがこの「菊花せんこう」。天然成分だから身体に優しいと聞いて飛びつきました。とはいえ、優しいというからには虫除け効果も弱いかも…と、使い始めた時は少し半信半疑だったのですが、喉や頭は痛くならないし、現に蚊が寄ってこないので安心して屋外で過ごせており、もっと早くこの線香に出合いたかったと思っています。
つづく仲間
この線香を作っている「りんねしゃ」の前身は、「エプロン会」というグループです。地域の主婦たちが集まって、添加物や環境問題について勉強し、全国の生産者から直接よいものを共同購入する活動団体でした。そして1977年には「りんねしゃ」として設立され、活動を長く続けていくために株式会社化されたのが2000年のこと、まだ有機農産物という言葉も無かった頃です。りんねしゃでは創立当初から週に一度「このゆびとまれ通信」を購入客へ配布しており、バックナンバーはホームページでも読むことができます。取扱商品や催事の情報に限らず、生産者や産地、おいしい食べ方などが丁寧に紹介されています。下記は通信第一号に書かれた言葉です。このしなやかな呼びかけ文を読んだ時、消費者は決して受け身の存在ではないのだと気づかされました。消費者も「選ぶ」という能動的な行為によって、環境と身体によいものを暮らしに取り入れていけば、生産者やりんねしゃと共に動く「仲間」となり得るのかもしれません。
つづく産業
元々りんねしゃで主に取り扱われていたのは食品でしたが、生活雑貨に含まれる化学物質の問題が明らかになってくるに従い、安心して使える生活雑貨もラインナップに加わっていきました。そうした中、一般的に売られている蚊取り線香には合成殺虫成分が多く使われている事を知り、しかも天然の除虫菊(じょちゅうぎく)を使って蚊取り線香を作っている工場が日本に数軒しか残っていないと分かったため、すぐにその工場に出向いて商品の取り扱いを始めたそうです。
しかしその工場も、残念ながら廃業を考えていました。そこで、ただ商品として取り扱うだけでなく、原料の生産や企画から関わったほうがより長くこの製品に関わっていけると考え、原料から自分たちで調達、調合し、りんねしゃオリジナルの線香を製造することにしたそうです。日本は第二次世界大戦までは除虫菊の一大産地だったものの、戦後は化学薬品の台頭によりほぼ生産されなくなっており、このままでは栽培技術が途絶えてしまいます。りんねしゃでは、北海道紋別郡滝上町にある自社農場で除虫菊を栽培しながら、原料についての研究も続けています。
原料が天然成分のみで、着色剤などが一切使われていないため、毎回同じ色にはならないそうです。気温、湿度、原料植物の出来も年によって違うため、変化に応じて配合を調整しながら製造されています。
りんねしゃが考える「つづく商品」のポイント
・ 天然原料のみでできていること
・ 使ってくださるお客様がその特長を理解して下さるように伝えていくこと
・ 適正価格であること
・ 細々とでもよいから、作り続けていくこと
・ 日常生活に溶け込むようなデザイン/サイズであること
つづく地域
除虫菊農場がある滝上町は、薄荷(はっか)の生産量が日本一の土地でもあります。りんねしゃの自社農場では除虫菊の他に、和薄荷の中でも原種に近い「赤丸薄荷」と呼ばれる希少種を育てており、地域の特産品に特長を出せるよう工夫されています。この赤丸薄荷は、防カビ材の代わりに菊花せんこうにも使われています。
つづく環境
りんねしゃでは環境に配慮し、梱包資材のリユースに取り組んでいます。また、菊花せんこうの箱は100%未晒し(みざらし)、つまり薬品などで漂白されていないリサイクル紙を使用しています。エコを謳ったリサイクル紙は多々ありますが、りんねしゃでは環境負荷が少ない無漂白の紙であることが大切だと考えているそうです。
また、菊花せんこうそのものも化学物質を使用していないので、使い終わって出た灰は、肥料として撒くことで土のPH調整に役立てることができます。これからも長く使い続けたい線香、絶やさずに次世代に残したい除虫菊です。
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菊花せんこうホルダーの商品ページ