家具のようなゴミ箱
静岡県で作られているサイトーウッドのゴミ箱には、事務用品というよりは家具と呼びたくなる佇まいがあります。自社製品を「大量生産と一品ものの中間に位置するもの」と語るのは株式会社サイトーウッド、3代目社長の齊藤拓也さん。特別なものを作っているという感覚は無いとおっしゃいますが、半世紀以上に渡るロングセラーとなり、広く支持されていることが、サイトーウッド製品の品質の高さを証明しています。
つづく産業
創業者の齊藤勇さんは、第二次世界大戦中に飛騨の軍需工場で、飛行機用の木製燃料タンク(円筒形)の開発に携わっていました。当時不足していた鉄の代用品として、木材を使ってタンクを作る必要があり、成型合板の技術でドラム缶サイズの円筒を製造する研究がおこなわれていました。
結局その木製タンクが実用化される前に終戦となりましたが、その時の技術を応用して戦後に成型合板で円筒形のアイスペールやキャニスターの製造をはじめた齊藤さんは、1958年にサイトーウッドの親会社である齊藤合板工芸所を設立しました。合板製品がアメリカ人バイヤーの目にとまって注文を受けるようになり、創業当初の販路は海外輸出のみだったそうです。
ロングセラーの「ゴミ箱上開き」タイプの発売が開始された1959年当時も、販売先は海外でした。そして国内販売会社として株式会社サイトーウッドが設立された1966年に、このゴミ箱はグッドデザイン賞を受賞しています。それから現在に至るまでの62年間、デザインは変わっていません。創業者の齊藤勇さんが考案された通りに作り続けている、とのことでした。
原料である材木を薄くスライスし、縦目と横目が互い違いになるように重ねて糊で貼り合わせると、材料となる合板ができます。この合板を型にはめて熱と圧力を加え、型通りの形をつくるのが成型合板の技術です。材料の無駄が少なく、有効活用できるという点で優れています。また、薄い材を重ね合わせていることで圧をかけても割れず、強度がありつつも軽量、というメリットがあります。
写真は成型の工程で、合板を円筒形の金型に入れているところです。
圧をかけて成型できたら今度は両端をカットし、やすりをかけます。
最後にウレタンで塗装します。
DEPARTMENTオリジナル製品
1970年代前半には、底と開口部の大きさが同じ寸胴型のゴミ箱が製造されていました。上開きタイプのゴミ箱と異なり、表面に使われていたのは天然チークの突板(つきいた)。突板とは天然木を薄くスライスした素材で、無垢材のような木目の美しさが特徴です。
この寸胴型のゴミ箱は2008年頃には廃盤となっていたのですが、2017年にナガオカケンメイがサイトーウッドを訪れた時にショールームで見つけ、復刻製造を依頼。オリジナル製品として蘇ったゴミ箱の底面にD&DEPARTMENTのロゴをプリント。サイトーウッドで在庫されていた天然チーク材がなくなり、製品として販売できる数は在庫限りとなります。
お気に入りのポイント
丈夫で長く使い続けられることに加え、装飾性の無いシンプルな外観なので、飽きが来ません。上開きタイプのゴミ箱は底から開口部に向けての開き具合が絶妙で、ゴミがすんなりと入ります。そしてゴミ箱自体の重さが軽いので(写真のMサイズで約600g)、中のゴミを出すために持ち上げる時に助かっています。表面にウレタン塗装が施されているので汚れが付きにくく、万が一汚れてしまっても、拭き取ることができます。お手入れの際には、湿らせた布を固く絞って使い、汚れがひどい場合は、50倍程度に薄めた台所用の中性洗剤で軽く拭きます。中に入っているゴミが見えないようにしたい場合は、蓋付きのゴミ箱もあります。蓋の種類は、回転するタイプと、丸い穴があるタイプから選べます。
ゴミ箱上開きタイプの商品ページ
ゴミ箱回転蓋タイプの商品ページ
ゴミ箱丸蓋タイプの商品ページ
D&DEPARTMENTオリジナルゴミ箱の商品ページ