「saredo-されど-」勉強会レポート

2020年1月23日(木)~3月3日(火)東京店で開催中のNIPPON VISION MARKET「奈良 saredo の糸しごと」でご紹介する「saredo -されど-」は、奈良県大和高田市の糸の卸業を営む「萱澤商店(かやざわしょうてん)」の社内で立ち上がったものづくりブランド。取締役営業部長を務める萱澤有淳さん・良子さん夫妻が、二人三脚で商品づくりから販売まで行っています。
d design travel奈良号で出会って以来のお付き合いとなりますが、改めてスタッフ向けに勉強会を開催して頂きました。

2014年に立ち上げた「saerdo-されど-」は、国内の紡績工場で出る「落ちわた」だけで紡いだリサイクルコットンを使用し、糸の企画から靴下、帽子などの暮らしの道具を製造しています。

D&DEPARTMENTオリジナル商品の「dリサイクルコットン靴下」は、「saredo」のリサイクルコットンを使用した製造を依頼しています。その素材がどんなものなのか、この機会に詳しくお伺いしてみました。

リサイクルコットンというのは、紡績工場で糸をつくる工程で出た「落ちわた」などを再利用して紡いだ糸です。

紡績工場では、繊維の塊のような状態である原料を、工程を踏んで徐々に細く引き伸ばしながら撚っていく、という作業が行われます。綿やウール、ナイロンなどの原料をほぐし、ねらった割合で原料を混ぜて平らに整えながら、ロール状にしていく「混打綿(こんだめん)」という最初の工程を経て、剣山のような針でわたを梳いて方向を整えるカーディング(梳綿)で、塵の除去とともにたくさんの「落ちわた」が発生します。

これまでも、糸業界にリサイクルコットンというものは存在しましたが、撚りきれずに落ちてしまう短い繊維を使うことが大半だったため、100%落ちわたで作るというのは難しく、紡績各社より世に出ているものは、落ちわたと新綿をミックスしたものが主流でした。甘く撚ることができないので、「リサイクルコットンはよじれやすくかたい」というイメージがついていたそうです。

有淳さんは、家業であった萱澤商店で国内外の様々な種類の糸を卸すだけでなく、別注の糸の取次をするなど、商品企画も行っていました。そして隣町は、靴下生産量日本一を誇る奈良県広陵町。靴下工場への卸売りをメインに、生産の現場に関わり続けてきました。そんな中で、上質な綿を使用しているのに、「落ちわた」になったととんに価値が下がってしまう、という産地の現場にも直面します。何か解決出来る方法はないかと思いを巡らせながら仕事をしていると、島根県の紡績工場が製造する、独自の紡績方法で比較的毛足の長い落ちわたを100%使用したリサイクルのコットンに出会います。毛足が長いことで、甘く撚ることができ風合いが良く、靴下に編んでも太番手ならではの素材な魅力が活かせるリサイクルコットンです。「素材に勝手に惚れ込んで、saredoを始めました」と有淳さんはとても嬉しそうに話してくれます。

「saredo-されど-」は、もともとは有淳さんが立ち上げた社内の新規部署の名前で、これまで萱澤さんが感じてきた課題を解決しようという思いが込められました。

Sustainableー持続可能な
Alternativeーもう1つの選択・代わりとなる・異質な・型にはまらない
REnovationー革新・刷新・修理
DOmesticー自国の・国産の・自前の=DIY精神に則った

そして「たかが靴下、されど靴下」とは、伸縮性のある莫大小(メリヤス)である靴下にもしっかり編まれたもの、手を抜いたもの、様々な品質の商品があることや、肌着と共に実用衣料(消耗品)でありながらファッション商品(嗜好品)でもある小さな面積のこの編物にどのような気持ちを込めるかは作る人次第である、と言うような意味を持つ言葉を差しすそうです。コストダウンする為に、糸の原価ももちろんですが、なるべく糸の使用量を抑えるためにかかとの角度を浅くする、といったことを強いられる場合もあります。“たかが”と思われる靴下ではなく、“されど”と思えるようなものづくりに携わりたいという思いを持ち続けてきました。

素材との出会いで、立ち上げてみた部署から、ものづくりのブランドへ。糸卸の会社ならではの、糸が主役の商品企画が魅力です。(イベント期間中の商品ラインナップは、イベントページをご覧ください。)

会期中は、良子さんによるダーニングのワークショップも開催しました。「saredo-されど-」の糸で、大切な服や小物を繕いました。色とりどりで、撚り方や太さが異なるたくさんの糸から、お気に入りを探すのも楽しいひとときです。糸のはかり売りも行っているので、ギフトのワンポイントにするのに少し欲しいという方にも楽しんで頂けます。

是非、店頭でお気に入りの道具を探してみて下さい。
dオリジナル靴下は、通年販売しております。毎年限定色も発売しますので、お楽しみに。