「編集長と山梨号キーマンから”その土地らしさ”を学ぶ」レポート

2019年12月10日、d design travel 編集長の神藤秀人氏とd design travel 山梨号キーマンとしてご紹介しているフォーハーツカフェのオーナー 大木貴之さんをゲストにスペシャルトークイベントを開催しました。

現代、日本中が都市化されていく中で失われつつある「その土地ごとの個性」。そこには、その土地に長く続く暮らしがあります。私たちは、その暮らしの大切さを再確認するため47 都道府県を 1 県ずつ 1 冊に編集した 観光ガイド『 d design travel 』を制作しています。

現在26県制作されている『d design travel(以下 トラベル誌)』。毎号、約2ヶ月もの間、その土地に住み込むようにしながらその土地を知っていき、1冊の本を完成させているトラベル誌はどのようにつくられていくのかを、山梨号のキーマンをゲストにお呼びし、山梨号制作時(2012年)のエピソードや山梨という土地のことをお伺いしながら探っていきました。

まずは実際に神藤編集長からトラベル誌とは、どんなものなのかということをお伺いしました。

 

はじめに、トラベル誌の編集の考え方とは・・・

・必ず自費でまず利用すること。実際に泊まり、食事し、買って、確かめること。

・感動しないものは取り上げないこと。本音で書くこと。

・問題があっても、素敵ならば、問題を指摘しながら薦めること。

・取材相手の原稿チェックは、事実確認だけにとどめること。

・ロングライフデザインの視点で長く続くものだけを取り上げること。

・その土地らしさ、メッセージを持っているものだけを取り上げること。

・特殊レンズを使って撮影しないこと。ありのままを取ること。

・取り上げた場所や人とは、発刊後も交流を持つこと。

 

以上の8つの点を基本としてトラベル誌は取材、編集されていることを学びました。

そしてここからさらに深堀りしていきます。トラベル誌では取材先の選定をする際に地元の方と一緒に毎号必ず”その土地らしさ”を考えるイベントを開催して決定されているんです。

それを私たちは「d design travel WORKSHOP」と呼んでいます。

ワークショップではその土地に一番身近な地元の方達が考える”その土地らしさ”の考えを持ち寄っていただき、「観光」「食事」「カフェ」「ショップ」「宿泊」「人」のカテゴリーに分けて下記の5つの視点を考えながらミーティング、発表をしてもらいます。

1、その土地らしいこと

2、その土地の、大切なメッセージを伝えていること

3、その土地の人が、やっていること

4、価格が手頃、適正であること

5、デザインの工夫があること

これらのポイントを押さえた場所・キーマンに編集部が取材に入り、 本当に”感動”したものを「dmark」としてご紹介しています。

また、dmarkのご紹介以外にももちろん、記事の執筆をしていかなければなりません。それらは一般的なトラベルガイドとはちょっと違い、事前に取材先を決めずにその土地に住み込んでみて土地の文化や慣習などを自ら体感して情報を収集し、取材先を決めています。

 

例えば、2019年9月に発刊された香川号取材の際に「食」文化の情報収集をしたときのこと。。

「香川といえばうどん。本当に”感動する”うどんのお店を紹介するために香川県内のほぼすべてのうどん屋さんに2ヶ月の間に制覇するつもりで旅をします。そうすると1日に何食もうどんを食べます。しかしうどん以外にも食文化はもちろんあります。。そうなると1日に何食も食事をしています。」と神藤編集長。

旅をして回る仕事には、楽しいことだけでなく大変なこともつきもの。そんな中でもどんなところに自身の”感動”ポイントがあるのかを見つめながら過ごしているのです。

 

そしてここから2012年に創刊された山梨号の話題に移ります。 今回、参加者の中には山梨店でもお馴染みの”五味醤油さん”もいらしていました。

なんとびっくり、編集部のスタッフは山梨に数ヶ月暮らす際、五味醤油さんのお家に住み込んでいたんだとか。。。!五味醤油さん、その節はありがとうございました。

他にも今回のゲストであるフォーハーツカフェのオーナー、大木さんも山梨号取材には欠かせない超重要人物。山梨号でご紹介しているワイナリー取材の裏話などをお伺いしました。

 

 

一通りトラベル誌のことを学んだあとは、ミニワークショップへ移りました。トラベル誌制作前の地元の方たちからの取材先提案のイベントである「d design travel WORKSHOP」を縮小し、【もし今、山梨号をつくるとしたら?】というテーマのもとディスカッションを行いました。

2012年に山梨号は制作されていますので、7年経って新たな視点で発掘するということは、とても新鮮でした。

今回は「カフェ」「ショップ」「宿泊」の3つのカテゴリーに絞り、ご参加のお客様には3チームに分かれていただきました。ディスカッションの時間は10分。

どのチームもたくさんの意見が飛び交っていましたが、トラベル誌の基本的な5つの視点にそぐう場所なのか、ということも考えながらの提案は意外にも難しい、、という声もあがっていました。

10分経ってからいくつか出た案をチーム内でまとめ、発表していただきました。今回発表していただいたものや出された案を一部ご紹介します。

 

宿はどのワークショップでも難易度が高くなかなか提案の難しいカテゴリーですが、今回はたくさんの意見があげられていました。

現在の山梨号では”温泉宿”の紹介がないため、温泉の文化が根付く山梨で紹介できる温泉宿があればいいな・・・というお声も。

 

このような形で、今回は山梨を見つめなおすきっかけにしていただけるような内容でお届けさせていただきました。

どれだけ”感動”できるか、ということをポイントにして山梨だけでなく様々な土地を『d design travel』を片手に旅していただけると、さらに楽しんでいただけるのではないかと思います。

現在『d design travel』はこの春、27号目となる愛媛号を出版するための準備を行っておりますので、リリースまでもうしばらくお待ち下さい!