dでは、d&books という出版事業をやっています。主には「d design travel」の年3冊の発刊と、d47 MUSEUM の企画展図録の製作、出版。そして、年に2冊くらいのペースでの著者本。昨年はナガオカケンメイによる「もうひとつのデザイン」を出しましたが、今年は深澤直人さんがd design travel 誌で連載をしてきたものを本にする予定。その他、中国向けにdの活動をビジュアルで綴ったものを出す計画と、そして、タブロイド新聞として出してきた「d news」をいよいよ100ページほどの冊子(d design travel と同じサイズ)を定期刊行物として出版していこうと計画しています。これは、47冊のゴールを目指すd design travel の「取材先のその後」を追うもので、基本コンセプトはd news と一緒。
ネット時代になぜ、紙媒体なのか……。よく聞かれますが、いくつか理由がありますが、最大のポイントは、それそのものの「アナログ性」にあります。データと違い、物質。手にとってペラペラ、人に渡したり、破いて壁に貼ったり……。その佇まいを「ロングライフデザイン」をテーマとする私たちそのものじゃないかというものです。デジタルメディアとの共存がリアルなテーマですが、アナログ感覚はいつまでも忘れず、こだわっていきたいところです。
そして、もう一つは「私たち自身のメディア性」にあります。常に良質な情報を嗅ぎ分け、そうした発信者と関係を取り続ける。自分たちがメディア意識を持つことがとても大切だと思っています。評価されることを待つのではなく、私たちが「評価できる人、ブランドになる」ということです。
今後、忙しい業務の隙間で、取材に行ったり、写真を撮ったり原稿を書いたり……。これはdで働くということの中に含まれる大切な「個性」だと意識しています。上手に書くことよりも、事の価値を自分なりに感じ、表現して伝えられる人になっていくといいなぁと思うわけです。
全ての活動を年4回、発表していく自分たちの冊子。全国で日々、その土地の魅力を継続発信している人たちと一緒に作っていきましょう。