2 原点に戻る

さて、日記が再スタートしたわけですが、前からずっとやっている自分の有料メルマガ「もうひとつのデザイン」と「何が違うのですか?」と聞かれてしまい、答えます。笑

メルマガの方は自分で撮影した写真をもとにタイトルでもある「もうひとつのデザイン」について書いています。もちろん、内容が重なることもあるかもしれませんが、多分、ほとんどないでしょう。ここには、スタッフに向けたdのことを中心に書いていきます。なぜ、あの商品を選んだのか、とか、創業時はあれはどうなっていたのか、などなどです。本にもなり出版した「ナガオカ日記」ですが、初めからなかなか会って話したりする時間がなくなってきたスタッフに、自分の店や外での気づき、発見、考えなどを共有したくて書き始めたもので、ここでは、それを再開ということです。で、ですが、先週メルマガに、これからのD&DEPARTMENT のことを書きました。今日はそれをコピペします。メルマガは月額1,000円(なんて、安いんでしょう!! 笑)ということもあり、購読者しか読めませんが、これからのdのことを書いたところだけ、是非、ここでも共有したいと思いましたので。それでは。

 

[D&DEPARTMENTの未来]

dは昔、椅子のようなものに、テーブルを組み合わせたり、テーブルのようなものに、椅子を組み合わせたりしていました。そこには「提案」がありました。その「提案」をユニークと思った感度のある人たちが、わざわざ、あの立地にやってきてくれました。 やがて、僕らは「ロングライフデザイン」というキーワードを掲げ、もう少し、それが伝わりやすいスタイルを探し、いつしか、ロングライフデザインの椅子と、それとセットのテーブルを組み合わせて売るようになりました。僕らの「提案」より「社会」や「メーカー」の提案やわかりやすさに舵を切ったのです。その瞬間から、dの売り場はどこででも見かける家具雑貨店の様子になっていきました。つまり「自分たちの提案」ではなく「メーカーのオススメの組み合わせ」を紹介する店になっていきました。
今、中国からオファーをもらい、dの中国店を準備していますが、彼らは漏れ聞こえてきたメディアを通した偏ったdの情報をもとに、それが理想的に完成されていると信じていました。そこでの大きな期待は次の2つです。「新しい商品開発ができる」「抜群の発信力、集客力を持っている」です。もちろん、全く持っていないわけではありませんが、そういう体制もありませんし、ノウハウをしっかり使えるものとしてアーカイブしてきたわけでもありません。
店を営業するということは、とても大変な雑務やコミュニケーションのきめ細やかさなど、やることがたくさんあり、その業務の中で「新しく開発する」ということは、なかなか難しいです。 今、dはロングライフデザイン製品をメーカーに代わり代弁し、丁寧に使う生活を提案しています。しかし、全国の地域産地などにあるものづくりの可能性などを引き出し、未来に向けて「新しく」作り出すことを始めようと思っています。なぜなら、今のままでは、よく似た店は全国にたくさんありますし、大抵のものはWebストアで便利に買えます。
dは良くも悪くも、僕というデザイナーから産まれました。デザイナーという人種は多かれ少なかれ「産む」までのことには執着しますが、「そのあと」には関心がないではありませんが、それどころではない職業といえましょう。店が「営業時間の業務」に手いっぱいのようにです。なので、dは生まれ、広がり、今、日々をワークショップや商品紹介、料理やその提供に費やして収益を上げ、みんなでそれを分配しています。d47 MUSEUMは企画展を考え、準備をしてそれを完成させ、また、次の企画展を考える。思うに、その日々が「同じこと」の繰り返しではなく、未来に向けた提案や、それを集中して実行する力になっているかどうかだと思います。それをしっかりやっていくには、みんなで「新しい提案をする」「日々、付き合っている業者さんの未来の商品を一緒に考えられる」ようになっていかなければ、楽しくないと思います。もしかしたら、ただ、店をやっている。もしかしたら、ただ、料理を作っている。それだといつか、そこから抜け出したくなるに違いありません。そして、それを変えるには、まず、働いているみんなの意識が変わらないとどうにもなりません。

さて、dは2018年6月より、相馬社長に現場に降りてきてもらい、彼には飲食事業の「新しく作る」担当になってもらいました。同じように、会社全体に「長く続いているいいことを広める」だけでなく、「新しく作る」という体制に変えていきます。同時に「教育部」を発足し、すべてのやっていることを未来に「活用」できるように変えていこうと考えています。
例えば、d47 MUSEUM で企画されたことを改めてアーカイブ意識を持ち、それを「商品」として見る角度を変え、アイディアを練り、関わった方々に、ある時はパッケージデザインのリニューアル提案。ある時は、新しい商品提案など、これまでやってきたからこそ見えている、また、得意なことを「新しく提案できるブランド」になっていくよう、みんなで意識を整えたいと思います。展覧会を完成させて終わりではなく、完成させたことで見えたことを「dの商品」として積極的に提案する。定食を考え、完成させたら終わりではなく、そこにたどり着いた経験やノウハウを生かして、私たちではないとできない「新しい」提案を生み出す。そして、それらを全員(スタッフ、メーカー、お客さん)とで共有するために「教育部」を担当者として位置付け、現場を持ったみんなの「新しく作る」「未来の知としてアーカイブし、それそれのより良いを育む」という2つの新しい意思を持とうと考えています。

これから東京店を中心に品揃えを大きく変えていきます。メーカーが進める組み合わせ販売は、それぞれのメーカーに任せ、私たちは私たちの提案性で販売していきます。また、お客さんに「選んでもらう」のではなく、「私たちの選んだもの」を見て頂く。要するに、いろんなメーカーの椅子を並べて販売することはもうやめて、優れた椅子に絞っていく。それが素晴らしければ、それにあったテーブルをオリジナルで作るか、テーブルのようなものと組み合わせて提案する。そもそも、これがdだったはずです。
優れたデザインの生活用品が一箇所で買える店を目指すのではなく、私たちの提案がある店に。その店内の風景は、必ずしも「家具雑貨店」に見えなくてもいいし、逆に、そう見えるのはdらしくないということだと思います。

広くロングライフデザインに興味を持ったお客さんは、そうした変化に戸惑って、また、その買い物のしづらさや、組み合わせの違和感から、離れていってしまうかもしれませんし、それによって売り上げが激減するかもしれません。しかし、繰り返しますが、そもそもそれがdだったはずですし、それが面白いと思ったから、スタッフのみんなや、お客さんがわざわざ集まってきていたはずです。
それがユニークに見えたからComme des Garconsからコラボストアのオファをもらったり、ボンマルシェから出店依頼が来たり、ヒカリエからの好条件を提示頂いたりしていたわけです。普通の家具店では達成できないことだと考えましょう。
今の状態を維持することにとらわれず、本来のdらしさに向かいましょう。それにはまず、「新しい提案(創造)」と「知を共有(教育)」が絶対に必要です。オリジナルなクリエイション。一つ一つ、接客やPOPの書き方一つ一つに「アイディア」を考えていきましょう。2020年までの1年6か月。その総指揮を僕がつとめます。よろしくお願いします。  売り場の景色としては、オリジナル、または、dだけの特別仕様が3分の1。ザ・ロングライフデザインが3分の1。残りが提案のためのUSED。それぞれの土地のらしさに関わるトラベルツアーや、dオリジナル商品開発や生活の質を上げていく学び(d school)も、もっともっと集客や販売の「イベント」としてではなく、それそのもので価値(お金をしっかり払って満足してもらえる完成度)のあるものに磨きあげましょう。 私たちdは、その土地に住む人にとっての、学びの場であり、クリエイションの刺激の場。そして、生活を楽しくしてくれるものが手に入れ場所。県外や国外からやってくる人たちにとっては、そこは、その土地を知るための入り口。その日のその土地でどんな個性的なことを体験できるかの、案内所。そして、その土地で収穫された季節の旬を味わえる場所。自分の国に帰る時に特別な人のためのお土産を選べる場所・・・・・。

最後に ナガメルを定期で読んでくださっているあなたへ。僕の会社の生なことばかりを書き綴ってみました。これはスタッフも読んでいるので、それに立ち会って頂いた感じもあります。僕はお客さんは神様だと思っていないし、外に漏れ聞こえてマズイことなど、あってはいけないと思っています。なので、ここにも色々素直に書きました。まずは、メルマガを読んでくださるあなたにも、dのことに関心を持って欲しいし、僕にとってdは全てなので、そこに付き合ってもらいたいのです。読んでいただき、ありがとう。

dは全スタッフを合計すると、きっと200名くらいの規模です。巨大になったり、大企業のようなコンプライアンスに縛られるような体質にならないで、ギリギリ、社会性を持った基本、ロックな会社でありたいと思っています。これからも、いや、少し大企業病にかかっている現在のdをスタッフみんなで一新し、画期的でユニークなブランドを目指したいと思います。