8月は「香辛料」をテーマに、全国各地に伝わる郷土料理を研究していきます。
日本の香辛料といえば、古くから親しまれてきたのが生姜と山椒です。ただ、香辛料という呼び名がしっくり来ない方も多いのでは。江戸時代の料理本に香辛料の文字は登場しません。生姜を生薬として使うとき、漢方医が「加薬味」と指示したことで、辛味のある食材を「薬味」と呼ぶようになり、それが定着したようです。
わたしたちは『d design travel 高知』の取材中、四万十川のほとりで無農薬で生姜を栽培する、桐島正一さんと美郷さんのご夫妻の畑へ伺いました。
生姜の保存には高湿度の環境が必要なので、実は冷蔵庫は向いていないそうです。桐島さんの畑では、山の斜面に掘った「壺」とよばれる穴で生姜を保存していました。
11月に収穫した生姜は、この場所で寒い冬も暑い夏も越えます。桐島さんのところで製造しているジンジャーシロップは、長期保存が効くこの壺のおかげで、通年販売できるそうです。口当たりがすっきりしていながら身体を温めてくれる生姜は、冷たいものを摂取する夏こそ大事な生薬かもしれませんね。
日本を代表する香辛料として、わさびも忘れてはいけません。『d design travel 静岡』では、伊豆半島でわさび栽培をしながら料理店を営む「かどや」のご主人に、栽培場所へ案内して頂きました。
山道脇に車を停め、谷に向かって数百メートル歩いたところに、その圃場がありました。近隣の標高の高い山々から流れてくる湧き水で育つわさびは、とても清らかでした。
「かどや」では、削り節を敷き詰めたごはんの上にわさびを乗せ、しょうゆをひと回しかけてたべる、わさび丼を頂きました。鼻にツーンと抜ける辛さが何ともやみつきになる。静岡ならではのどんぶりでした。
このように、香辛料が主役となる料理は多くありませんが、臭み消しや殺菌などの理由から、土地の食材をおいしくたべるには必要な存在として、重宝されてきました。
兵庫県に春を告げる「いかなごのくぎ煮」、千葉県の「あじのなめろう」など、魚と生姜の組み合わせは、全国に多く見られます。生魚をたべる寿司も、わさびのとれない八丈島では寿司に芥子を、伊豆大島では青唐辛子をつけるそうです。
今月のdたべる研究所は香辛料が主役です。土地の制約が生んだ無限のたべ合わせを学びながら、夏にぴったりな刺激をたのしんでください。
治部煮(石川県/わさび)
豚肉のしょうが焼き(各地/生姜)
りゅうきゅう(大分県/柚子胡椒)
だし(山形県/薬味野菜)
カフェタイムは、引き続き、D&DEPARTMENT DININGの定番メニューだった「d&ドライカレー」や「d&オムライス」もご用意しています。
d&ドライカレー 1000円
今月おすすめのドリンクは、桐島さんの生姜を使ったジンジャーフロート。野性味ある生姜の刺激とはちみつを使ったコクのある甘みがおいしい、夏にぴったりなドリンクです。
桐島畑のジンジャーエールとジンジャーシャーベット 1000円
最寄りの九品仏駅から少し歩きますが、暑さを忘れさせてくれる、さわやかな料理やドリンクをご用意してお待ちしています。
【 店舗情報 】
営業時間 11:30~19:00
定休日 水曜日
電話 03-5752-0120
アクセス 東京都世田谷区奥沢8-3-2 D&DEPARTMENT内 1階
[ ランチ ] 11:30~15:00
平日 2,000円
土日祝 2,500円
※コーヒーまたは紅茶付き
[ カフェ ]15:00~19:00(L.O.フード 18:00/ドリンク 18:30)