黒薩摩、龍門司焼の窯焚き

6/25は、姶良町加治木に工房を構える「龍門司焼企業組合」年に2回の登り窯での窯焚きの日。鹿児島店では鹿児島セレクトとして器を販売させていただいています。今回、はじめて鹿児島店スタッフも少しだけお手伝いさせていただきました。

「17時頃からが本番」と伺い、右も左もわからない私たちは緊張しつつ16時頃に到着。すでに辺りは煙に包まれています。工房はまだゆったりムード。 皆さん、軽い食事や飲み物をとったりして準備されています。昨日からここまで、丸一日をかけて窯の温度は900℃程までになっています。

17時、ここからは更に温度を上げる為に約15分間隔でどんどん薪をくべていきます。薪が投げ込まれると煙突からこれでもかと黒煙が上がります。

窯場に半袖で入ろうとした私に、理事長の川原史郎さんから「長袖着らんと熱くてできんよ」との声、更に緊張が高まります。合図と共に登り窯の左右の焚口から同時にくべるのですが、今日の指導者である川原竜平さんは簡単そうに両手でほいほいと連続して焚口に投げ込みます。

さあ自分の番!と、、この薪が思ったより重く、火に近い場所から要領良く投げないと奥まで届きません。軍手に長袖、手ぬぐいを顔に巻いての重装備ですが、それでも焼けるような熱さ!炎への恐怖心もあり、へっぴり腰の私たち。

時折目の前が見えなくなる程の黒煙に包まれながら、「熱いー!」と叫びながら何度か繰り返し、なんとか薪を投げ入れられるようになってきた3時間後。温度はやっと1000度近く。

本当にじわじわとしか上がりません。もう全身汗とススだらけです。残念ながらショップに戻らねばならない私たちはこのあと離脱しましたが、陶工の皆さんは4名で交代しながら、翌日の日中まで、さらに短い間隔で休まず薪をくべ、窯の温度を1230℃程まで上げるのです。

これだけの重労働をしてでも登り窯に拘る理由を伺うと「人の心に訴えるものを作るのは登り窯。労働力やコストがかかろうと、それには代えられない。」との事。

後日焼きあがった器を見に再訪しました(熱いとか怖いとか騒いで、かえって邪魔だったと思うのですが「この前はおつかれさまね!」と優しく迎えてくださり嬉しかったです)。あの大変な仕事と熱さを少しでも体験してみると、ぜんぶの作品により一層愛着が湧きます。登り窯の、しかも決まった場所でした焼けないという貴重な鮫肌釉や蛇蝎釉も素晴らしい風合いに仕上がっていました。
7/31(水)からのNIPPON VISION MARKET「鹿児島のやきものー龍門司焼ー」では、今回の窯出しの器から、暮らしに取り入れやすい普段使いの器や、尺皿、ピッチャー、植木鉢など、様々な種類の器をご紹介いたします。どうぞお楽しみに。