d47 MUSEUM「NIPPONの47人 2025 CRAFT」展において福島県の代表としてご紹介している、漆掻き職人であり塗師でもある平井岳さん。その平井さんも中心メンバーの一人として活動している「猪苗代漆林計画」(いなわしろうるしりんけいかく)をベースとした冬のツアーを開催します。
同活動メンバーである、漆器ブランド「めぐる/めぶく」の代表・貝沼航さんと本展キュレーターの黒江美穂がアテンダーとして皆さんをご案内。冬の会津を舞台に、“縄文から続く漆と食”をテーマに、私たちの根底に流れる自然と共に生きる力、そして、その歴史の中で育まれてきた漆という素材について、現地での体感を持って学ぶ時間を提供します。農業×工芸の新しい連携で進む現地の漆林づくりプロジェクトの見学や解説を始め、お寺を舞台に漆器で味わう縄文的食事会、自分だけのお箸を作るワークショップなど、盛りだくさんな日帰りツアーです。
冬の漆林を求めて
平井岳さんは、自身で漆掻きをする中で、漆の木そのものが減少している危機感から、「猪苗代漆林計画」という団体を立ち上げ、植林から始めるコミュニティづくりを仲間と共に運営しています。今回は、その「猪苗代漆林計画」で植林した畑を実際に見学し、気象条件が許せば、可愛らしい冬芽を見ながら、漆の木を獣害から守る作業等を行う予定です。今、植えられている漆の木から、掻くことができるのは15年後、それまでしっかり育つように、冬の「守り仕事」を一緒にしましょう。
※舞台となる猪苗代町は、会津の中でも豪雪地域です。冬の屋外での見学になりますので、雪の積もり具合や当日の天候次第で内容や時間配分が変更になる場合もございます。ご了承ください。
猪苗代漆林計画の仲間と出会う
「猪苗代漆林計画」は漆掻き職人の平井さんと、漆器ブランド「めぐる/めぶく」代表の貝沼さん、会津伝統野菜農家の土屋勇輝さん、自然学校を運営する和田祐樹さんを中心に、そこに集まる仲間たちと共に、休耕地に漆の木を植える活動をしています。今回のツアーでは貝沼さんにも同行いただき、「猪苗代漆林計画」の活動や、「めぐる/めぶく」を通して見てきた「漆」「会津漆器」の魅力を解説いただきながら巡ります。
※お料理内容はイメージです(過去のイベントでの写真です)
縄文と漆、味わいながら学ぶ
昼食の時間も、本ツアーならではの特別な体験をご用意いたします。町内にあるお寺「壽徳寺(じゅとくじ)」さんにて、和尚さんからお寺での食事の作法を学び、それに則った漆器を使った食事体験を行います。また、お料理は、会津で「ソコカシコ」というゲストハウスを運営する料理家兼アーティストの三澤真也さんにお願いして、会津の冬の知恵である保存食などをベースに、“縄文”をテーマにしたお食事を提供します。
実際に漆に触れてみよう
平井さんが採った漆を使って、拭き漆でのお箸づくりも体験していただきます。ご自身の手に合わせて箸の長さを調整し、木地に漆を染み込ませる第一段階の「木地固め」の作業を実際に行います。ここでも少し“縄文”に触れる漆の工程を入れ込みます。(詳細は当日のお楽しみに。)漆の特性や漆掻きの仕事についてなど、じっくりとお話いただきながらの作業です。その後、平井さんが仕上げまで行ったお箸は約3~4ヶ月後にご自宅にお届けします。
原料から見つめる、これからのものづくり
ものづくりにおいて、今、地域資源への注目と同時に、その供給量の減少が大きな課題です。「猪苗代漆林計画」は国産漆の供給不足への課題解決だけでなく、漆の木を植え、人が手入れすることで、人と動物たちの本来の距離が取り戻されることに繋がるよう、里山の獣害問題へのアプローチとしても取り組まれています。この「猪苗代漆林計画」は、そこに興味を持つ、様々な人が関われる「余白」のあるプロジェクトです。今回のツアーを通して、私たち一人一人が思いや関心を寄せることで、ものが生まれる「故郷」がこれからも続いていくことを感じていただければと思います。
【ツアーの流れ】
○10:00 JR猪苗代駅集合
|
○10:30~11:30 雪の漆植栽地見学
|
○12:00~13:30 壽徳寺さんでの漆器の縄文的食体験
|
○14:00~16:00 レクチャー&漆塗りワークショップ
|
○16:40 JR猪苗代駅解散
【参加にあたっての注意事項】
・当地は雪国で標高の高い場所です。天気予報をチェックいただき防寒対策をお願いします。(雪の中を歩くこともあるため防水の服を推奨。)
・スノーブーツはお貸し出しします。詳細はお申し込みの方に別途お送りいたします。