鹿児島で生まれた「染・織・衣」

鹿児島県の奄美で発祥した、約1300年の歴史を持つ古代染色である「泥染め」や「藍染」、緻密な絣織で繊細な柄を生み出す「大島紬」は、鹿児島本土へも伝わり、現代の服づくりにも大きな影響を与え続けています。近年では、その天然染色が国内外問わず、さらに注目を集めており、多くのブランドや、アパレルメーカーが取り入れています。その伝統的なデザインや技術・文化に敬意を持ち、ものづくりをおこなう現代の鹿児島の服飾作家たちが、わたしたちの生活に欠かせない「衣服」というものを通して伝えたいメッセージを知ることが、伝統産業を後世に残していくことに繋がります。

「身にまとうものを考える」

天然染色は自然由来の冷えとりや抗菌作用、滋養などの効能もあるとされています。毎日の生活を振り返り、生活環境や食事など、自分自身がなにを好んで、なにを選んで過ごしているかを考えてみると、身にまとう衣服もまた日々過ごす中で重要なものだと気が付きます。
デザインや縫製、色、素材、たくさんの要素が揃って仕上がる服。鹿児島の土地で生まれた衣服はどのような多様性があるのか、どのような質感や着心地なのか、この機会に実際に触れて、感じてみませんか。
今回は大島紬や藍染などの天然染色をはじめ、伝統の文化や技術を取り入れつつも独自のコンセプトで、丁寧な手仕事を行う鹿児島の服飾作家の作品が並びます。衣服を通して土地の文化や伝統に触れ、自然が生み出す魅力と丁寧な手仕事に注目してみてください。
服を選ぶ基準を意識したり、大切に長く着続けたいと思うきっかけになれば幸いです。