千年を超える歴史と伝統を守る、京都の夏の風物詩
日本の夏の風物詩「扇子」。湿度の高い日本の夏では、穏やかで涼やかな風を起こす道具として、長く親しまれてきました。
1832年創業以来、京都市・東洞院通りに店舗を構える「京扇堂」は、京都の古い扇屋につく「阿弥」の称号を持ち、扇子専門店として製造から販売まで一貫した扇子をつくり続けています。
京都に根付く扇子は「京扇子」と呼び、その繊細優美な美しさと使い勝手の良さから、風を扇ぐ道具としてだけではなく、烏帽子づくりと共に「京の三職」として、官の保護を受けるほどの重要な産業でした。その中でも、日本舞踊に使用される「舞扇」は、古くから日本の伝統文化や芸能に欠かせないアイテムとして重宝され、能楽や狂言、茶道や落語、結婚式など、今もなお続く日本の文化の根端を支える重要な役割を担っています。
今回の企画展では、日常使いしやすい夏の扇子に加え、ひとつひとつがきらびやかな「舞扇子」をご紹介します。普段間近で見れる機会の少ない、舞台での衣裳色や背景に合わせて誂えられる舞扇子は、千年を超える歴史と伝統を守る京扇子です。日本の夏を華やかに彩る、お気に入りの一本を見つけてください。