TALK 2 農家のための出版社「農文協」の考える、食の未来

出版を通して、食の未来を知る
d47 MUSEUMにて開催中の企画展「NIPPON UMAMI TOURISM」の関連企画として、「メディア」をキーワードに、農業従事者の人々を取り上げた映画「百姓の百の声」の上映会や、「農業に学び、地域とともに」生きることを根幹に活動する「農文協」が出版する「現代農業」「うかたま」の両編集長とのトーク。また、法政大学教授・湯澤規子さん、東京工業大学教授・真田純子さんをゲストにお迎えし「ごはん × 風景」をテーマにしたワークショップを開催します。

 

TALK 2 では、共に農文協が発刊する、2022年に創刊100周年を迎え、農業技術から販売や経営まで、農家に寄り添う実用誌「現代農業」の編集長・石川啓道さんと、古くから日本で育まれてきた食や暮らしの知恵「食べごと」を提供する「うかたま」の編集長・中村安里さんをお迎えして、農山漁村の「今」と「これから」を伝えていく仕事とは何なのか、そこから生活者一人一人の文化の担い手であり、媒介者として生きていく可能性や喜びについてお話を伺います。

 

ゲスト | 石川啓道(月刊「現代農業」編集長) /中村安里(季刊「うかたま」編集長)
聞き手 | 相馬夕輝(D&DEPARTMENT / d47食堂 つづくをたべるディレクター)

 

 

d47 MUSEUM「NIPPON UMAMI TOURISM」関連企画

d47 MUSEUM第34回企画展「NIPPON UMAMI TOURISM」は「うまみ」をキーワードに、47都道府県の郷土料理と、その保存会や農家などのつくり手、老舗の飲食店まで、食文化を伝える活動を合わせてご紹介することで、日本各地の食の風景を感じていただく展覧会です。そんな展覧会をさらに深く、さまざまな視点で紐解くイベントを開催いたします。

NIPPON UMAMI TOURISM TALKイベント一覧
○DAY1 6/15(土)風土を伝えるメディアの役割とこれから
○DAY2 7/5(金)海藻食文化日本
○DAY3 ※詳細は決まり次第公開します。どうぞお楽しみに。
○DAY4 9/8(日)郷土料理を道具から考える

 

TALK 2 農家のための出版社「農文協」の考える、食の未来

日程
2024/6/15(土)
時間
14:00~15:30
場所
8/COURT(渋谷ヒカリエ8F) Map 8/COURT
参加費
¥2,200(税込)
定員
40名

●お申込み方法:web/店頭
●お問い合わせ:03-6427-2301(d47 MUSEUM)

※お客様都合によるお申し込み後のキャンセルおよび返金はお受けしておりませんので、予めご了承ください。

イベント企画趣旨
d47食堂では、1年におよそ3~4回、その土地の定食を開発する目的で、各地の生産者や郷土料理を訪ね学ぶ旅を、スタッフらとともに巡ります。
そのリサーチとして、学ばせていただいてるのが、農文協が長く発行しつづけている「日本の食生活全集」。時代は1930年頃の昭和初期。日本各地の食文化を体験しながら生活をしていた方々を対象に、聞き書きを重ねた、貴重な各都道府県の食文化と暮らしの記録集です。すでにその当時から、これから食文化が減退する可能性があるという危機感のもと、次の世代へと伝え継ぐことを目指して出版されたのだと聞きます。その当時ですでに、なのです。
そして、現在、おそらく当初の予想を上回る勢いで、各地の固有の食文化は失われつつあると思います。僕たち自身、各地を巡る中で、この書籍の中で知った料理をいただくことが難しかった、という経験をしてきました。ただ、そこに記載があることは、いつか次の世代が新たな挑戦として復活を試みる可能性もあるのではないか、とも感じてきました。

本展では、秋田の沼山大根栽培による「いぶりがっこ」生産、滋賀の「ふなずし」の木桶仕込みなど、経済合理性や保健衛生などの観点ではなくなりつつあった文化も、在来作物の種継ぎや道具も含めた地域循環、もちろん本来の味の魅力を踏まえて、次の世代が新たな挑戦として、過去の良い実例をもとに、その文化の継承に挑戦している姿があります。もちろん、過去の取り組みが全て良いわけではないですし、復活することだけが挑戦というわけではありません。しかしながら、今の時代になってみて、その本当の価値に気づける、ということは確かにあると思うのです。その時、メディアが伝え残した、歴史や記録は大きなヒントとなり得ます。

農業や食文化を伝えるメディアの役割は、いつの時代にも変化や進化を遂げてきたと思います。現在の農家の声を聞き、アーカイブし、未来に向けた可能性を広げるきっかけとなってきたことは、事実としてある思います。メディアは、これからも可能性の媒介者となり、世代を超え、地域を超え、つなぎ、伝える役割を担っていくと思います。伝える現場の最前線で活躍されている、ゲストの方々から、文化や風土を伝えるメディアの役割と、これからについてを伺ってみたいと思います。

「NIPPON UMAMI TOURISM」 キュレーター 相馬夕輝
登壇者プロフィール
ゲスト | 石川啓道(月刊「現代農業」編集長)
1976年東京生まれ。四国学院大学卒。大学時代は香川でうどんを食べまくる。1998年に農文協に入会。スーパーカブでの農家普及(営業)を5年経験。北海道と沖縄以外、日本全国をほぼ回り、バイクで走った距離は5年で地球約1周分。その後、2003年に文化部、2005年に「現代農業」編集部へ異動し、2017年から編集長。ドキッとするような農家の言葉に出合える瞬間が一番の楽しみ。日々農家と栽培記事に向き合っているので、休日のタコ釣りが心の癒し。ベランダではメロン(品種:ころたん)を育てている。
ゲスト | 中村安里(季刊「うかたま」編集長)
1983年奈良県出身。大阪府立大学卒。美術史を学ぶためパリ第1大学に留学。おいしいワインとチーズを路上で買えるマルシェに感激し、帰国後2008年に農文協に入会。農家普及(営業)では、新潟、青森、石川、福井、愛知、宮崎、三重、千葉、長野をバイクで回る。2010年に「食農教育」編集部に異動し、子ども農業雑誌「のらのら」の編集を経て2018年から「うかたま」編集長。田舎でも都会でも、農家でもそうでなくても、楽しく読める雑誌づくりを心がける。今一番の関心はアシナガバチ。見かけると後を追う。
相馬夕輝 (展覧会キュレーター/D&DEPARTMENT・d47食堂 つづくをたべるディレクター)
1980年生まれ。D&DEPARTMENT OSAKA店長、ストア事業部門ディレクターを経て、飲食部門「つづくをたべる部」ディレクター。全国を取材し、その土地の食文化を活かしたメニュー開発や、イベント企画などを手がける。2016年より「渋谷のラジオ」内番組〈SHIBUYA d&RADIO〉パーソナリティー。
NIPPON UMAMI TOURISM
東京・渋谷のd47 MUSEUMで開催される「LONG LIFE DESIGN」展。第三回目となる今回は「うまみ」をキーワードに、47都道府県の郷土料理と、その文化を伝える活動から、食のLONG LIFE DESIGNを考えます。日本を発祥とし、今や世界共通語となっている「UMAMI」を、味覚としてのうまみを指すだけではなく、それが生まれた背景も含めて語られるべきものととらえ、その土地で生きる知恵として受け継がれてきた、それぞれの風土に繋がる47の「うまみ」を通して、各地の食の風景を感じていただく企画展です。

会期:2024/4/26(金)~9/15(日)
会場:d47 MUSEUM(渋谷ヒカリエ8F)
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