漆掻き職人から樹液を受け取り、精製し、使い手に届ける。堤淺吉漆店で繋がる漆
縄文時代前期から使用されてきた、世界最古の天然塗料「漆」。
漆は接着剤や錆止めなど、古くから暮らしや文化の中で重宝されてきました。現在、日本での国産漆の自給率はわずか5%前後。そのうちの約7割を「堤淺吉漆店」が精製しています。
「堤淺吉漆店」の創業は1909年。初代・堤淺吉氏の「漆を一滴も無駄にしてはならない」という思いを受け継ぎ、時代に合った需要に応えるべく、漆の精製・販売を行なっています。
京都店で2回目となる今回の展示では「漆」そのものに着目。
採取した産地が同じでも、精製する日の温度・湿度によって性質が異なる漆。「堤淺吉漆店」には、国内外各地の漆が集まり、その個性をひとつひとつ分析し、使い手の様々な要望から可能性を切り拓いてきました。
さらに、堤淺吉漆店は、漆文化を伝えるプロジェクト「うるしのいっぽ」や、2024年4月には自然と人々の暮らしを繋げる拠点「Und.」のオープンなど、漆を身近に体験できる場づくりにも取り組んでいます。
漆には長く使いつづけるための知恵が詰まっています。漆が持つ豊かな色彩や質感を通し、本企画があなたと漆の距離を“いっぽ”近づける入口になればと思います。