昭和女子大学 橘研究室の研究成果から、改めて考える、ものの価値。
大量生産品として、多くの学校で使用されてきた業務用の学校椅子。時代の流れや子供の成長などを理由にその時でしか使われず廃棄扱いされる椅子を、D&DEPARTMENTはロングライフデザインの一つとして、買取からUSEDとして販売を続けてきました。また、活動の一つとしてSAMPLING FURNITURE「つくらないでつくる」があり、既存のものにキャスターを付けたり、背と座にシートを貼ったり、学校以外のご自宅などでご使用いただけるように新しく価値を見い出し、スポットを当ててきました。
今年の7月中旬に、昭和女子大学の図書館椅子を引き上げた際、橘研究室の橘准教授より研究活動のお話を聞く機会がありました。橘研究室の活動テーマ『地域資産とデザイン』のひとつにある、「世田谷区内に残る町工場の技術を発展・保管するための活動」を実施するには、まずは自分たちで加工技術を知る必要がありました。その題材として校内で廃棄される学校椅子を使い、様々な加工技術や椅子の分解を研究しています。
その活動の一環は、私たちのSAMPLING FURNITUREという活動と共感できる部分があり、今回、東京店で研究成果の紹介と様々な加工により生まれ変わった学校椅子の展示を行います。
改めて、研究成果を通じて、ものの価値を見つめ直す機会になればと思います。
本展示について
本展示は、昭和女子大学橘研究室のゼミ学生の活動の一歩目の成果発表です。
この活動では、日本の学び舎の象徴とも言える学校椅子に再加工を施しました。まず、製品を分解しパーツとして捉え、ものの形がどういう意図で設計され、どの様な工法で生産されているのか理解を深めていきます。そして、部位毎に加飾や要素変更といった様々な加工を施すことで、金属、合板、樹脂、ゴムなどの素材特性、それらを加工する道具の使い方、安全性と効率的な加工技術に対する経験を重ねていきました。
橘研究室では、ものをつくる技術と営みの魅力、ものづくりの背景にある物語を大切にしていきたいと考えています。自身の手でつくる時間から、つくる技術、つくる心、つくる人への思慮を深め、人の手によるものづくりの美しさ、機械の大量生産品の綺麗さを丁寧に熟考できる人材育成を目指しています。
成果はまだまだ粗々しいものですが、細部まで工夫や拘りをもって制作した作品をゆっくりとご覧ください。
昭和女子大学 環境デザイン学科 環境デザイン学部
プロダクトデザインコース 准教授 橘倫央