城端絹と祈り

いのちを紡ぐ、松井機業の仕事

D&DEPARTMENT TOYAMA GALLERY 48回目の展覧会は、城端絹を織る最後の1軒「松井機業」の仕事をご紹介します。

 

松井機業は、城端別院善徳寺の寺内町である富山県南砺市城端町にあります。江戸時代から絹織物の産業が大きく栄え、「城端絹」としてその名が知られていました。最盛期には町の半数の人々が絹に携わっていたと言われていますが、時代の変化とともに次第に産業は斜陽となり、今城端に残る機屋は松井機業のみとなりました。

 

松井機業では、2頭の蚕が作る希少な絹糸(玉糸)で織る「しけ絹」を手掛けています。「しけ絹」は、通常の絹とは違った独特の輝きを持つ織物です。6代目を継ぐ松井紀子さんは、襖紙といった伝統的なものづくりのほか、しけ絹の輝きを生かしたストールや傘といった服飾品など、現代に合わせてさまざまな商品を生み出しています。

 

絹を作る蚕は、人の手がなければ生きられない生き物。松井さんは、蚕の命と引き換えに得る絹織物の作り手として、蚕の命と絹に向き合い、悩み、そして辿り着いたのが“感謝するしかない”という思いでした。松井さんを支えたのは、子どもの頃から通う城端別院善徳寺の存在でした。本展覧会では、松井さんの織る絹から、蚕や城端に根付く信仰を知り、命と暮らしのつながりを考えたいと思います。

城端絹と祈り

日程
2023/3/24(金)~4/16(日)
時間
10:00~19:00
場所
D&DEPARTMENT TOYAMA GALLERY Map 富山県富山市新総曲輪4-18 富山県民会館1F

●お問い合わせ:076-471-7791(富山店)

主 催:D&DEPARTMENT TOYAMA
協 力:株式会社松井機業、STRIDE、ハマ企画株式会社、株式会社山田写真製版所

1877年創業。二頭の蚕が作る繭からとれる「玉糸」という希少な絹を使い織り上げた「しけ絹」を作る、富山最後の絹織物メーカー。襖紙などの伝統的なものづくりのほか、現代の生活に合わせたインテリア・服飾品などの製造を手掛けている。