日常的に身につける衣類を、長く使い続ける方法のひとつ、
ほつれや穴を糸で繕う「ダーニング」をワークショップとして開催します。
講師は、イギリスの繕い文化である「ダーニング」を日本で紹介し、世界規模で活動されている、野口光さんをお招きし、ダーニングの基礎を実践を交えながら教えていただきます。
傷んでしまったからと、捨ててしまう前に、自分自身の手で少しの手間と時間をかけて、お直ししてみませんか。愛着をもって、長く使い続ける方法を学びましょう。
【各回の実践内容】
◯2/26(日)開催
・極小の傷みに、オーストラリアのエリンさんより伝授された「米ダーニング」
・ダーニングの王道「イングリッシュバスケットダーニング」
◯3/12(日)開催
・簡単なのに万能な「ゴマシオダーニング」
・擦り切れから大穴まで「ハニカムダーニング」
【教材内容(参加費に含まれています)】
・ダーニング針
・ダーニングにおすすめの糸 10種(各1mずつ)
*さまざまな糸を会場内でも販売しています。当日お求めいただき、そのままイベントで使用いただけます。
【当日の持ちもの】
・糸切り鋏
・繕いたい衣類を2~3点。(当日は時間の関係で1,2点しか繕えませんが、いくつかあると難易度を伝えやすく実習がはかどります)
・ダーニング用マッシュルーム(当日貸し出しあり)
・筆記用具
・眼鏡、老眼鏡(必要な方のみ)
【参加にあたり注意事項】
・傷んだ衣類をお持ちでない方は、練習に使っても良い靴下、シャツ、セーター、エコバッグなどをお持ちください。
・繕いにくい素材のお持ち込みはお控えください。
NG例)薄い素材(オーガンジーや透ける生地の製品)、ツヤのある素材、帆布のような固い素材、直径5cm以上の穴の開いたもの、編み目・織り目が粗いものなど。
*靴下、カットソー、セーター、シャツ、デニム、エコバックなどが適しています。
野口光さんより|ダーニングについて
ダーニングとは“繕い”という言葉の英語訳です。
欧米ではキノコや卵型のお道具を使ってカケハギ職人にお願いするほどでもない日常的な衣類の傷みを家庭人が自分の手で繕ってきました。お繕いは欧米だけの生活文化ではなく、世界どこにでも人間が生活して衣類が傷んだ箇所を繕うというのは生活の必須針仕事です。
近年、日常的に衣類が大量に溢れるようになり、服が傷んだら繕うという発想が消えていきました。また、日本では“もったいない”という精神がありますが、繕い跡がある衣類を、貧しさの象徴という認識が強く、繕い自体に抵抗がある世代があることも事実です。
モノが溢れ、時間に追われる現代人にとっては、自らの手で衣類という、とても身近なものの傷みを繕うという行為は、クリエイティブで、そのモノや持ち主のことを思いやる、厚い創意工夫が必要な尊い技術と言えるでしょう。
繕いの針目は、糸の種類や色を吟味することで、強調させることも、馴染ませることも可能です。大切なのは、ダーニング(繕う)ことで、着られない、使えないな…と思っていたものが、少しでも長くまた使える・着られることです。それは恥ずかしい事でもなく、金銭的、精神的な貧しさとは対岸にあるような、傷むまで(過去)また使える(未来)への行動や時間を尊ぶ豊かな行為であります。