富士山の麓にある山梨県富士吉田市。そこには、富士山へ参拝登山に向かう人の往来や、1,000年以上前から続くハタオリ産業に関わる人々の暮らしから、富士吉田ならではの地域文化が育まれてきました。
ハタオリの街で生まれた「吉田のうどん」
小麦が常食だった富士吉田で、富士講で街を訪れる人やハタオリ産業で働く忙しい人たちのお昼ごはんとして生まれたのが「吉田のうどん」。特長である強いコシは、女性が働き男性がうどんを打っていたことから。
甘辛く煮た馬肉やキャベツ、味噌と醤油で味を整えた出汁、コシの強い太めのうどん。元々は家庭料理だったので、トッピングや味つけは店ごとに様々な特徴がある。
吉田のうどんを特徴づける辛味調味料「すりだね」。基本の作り方や材料はほぼ同じでも、お店や家庭によって、全く違う味わいがある。
今回d47食堂は、「吉田のうどん」を中心とした郷土料理から、「富士吉田定食」を開発しました。ハタオリ産業の働く人たちの食事として生まれた「吉田のうどん」の歴史や、富士山へ参拝登山をする人たちに振る舞われた「御師(おし)料理」など、富士吉田ならではの食文化を感じる一膳。オリジナルレシピで開発した「すりだね」と一緒にお楽しみください。
富士吉田定食「吉田のうどんとすりだね」
※下から、時計回りに
◯吉田のうどん
富士吉田は冷涼な気候のため稲作ができず、麦や雑穀を主食としていた土地柄で、機織産業で働く人の手軽なお昼ごはんであった。特長である強いコシは、女性が働き男性がうどんを打っていたことから。
◯冬野菜のきんぴら
富士講(富士山信仰の参拝者の講社)の人々をお世話する御師(おし)の宿で出される御師料理。滋味あふれる季節食材でもてなすことも御師料理の教え。根菜の美味しい冬、きんぴらごぼうはうどんと一緒に食べたりすることもある。
◯馬刺し
富士山へ荷物を運ぶために重宝されたのが馬。役目を終えた馬はありがたく捌かれ、滋養強壮に馬刺しを食していたという。富士山の湧き水で育ち、野生動物の棲む山麓の森の和ハーブで香りづけ。
◯馬肉の佃煮
荷揚げだけでなく、畑を馬で耕していたこともあり馬肉文化の残る富士吉田。吉田うどんには馬肉のしぐれ煮もかかせない。
◯ひじきとじゃがいもの煮もの
御師料理の一つ。御師料理では、四つ足のものは食べずに、海と山の食材で身を清め英気を養う。海山のものが合わさったこの料理は7月の富士山開山祭で、神饌として供えられている。
※中央
◯すりだね
吉田のうどんには欠かせない薬味。唐辛子をベースに作られ、各家庭の味がある。大阪「やまつ辻田」の香り高い山椒と唐辛子を使ったd47食堂オリジナルのすりだね。
〈提供期間〉
会期 2023年1月5日(木) ~4月6日(木)
場所 d47食堂(渋谷ヒカリエ8F) Facebook / Instagram
価格 1,880円(税込)