鹿児島の織りと染め

鹿児島県本土から南へ約380kmの海に浮かぶ奄美群島。豊かな自然と温暖湿潤な気候は、奄美固有の動植物や文化を生み出しました。約1300年の歴史を持つ古代染色である泥染めや藍染、緻密な絣織で繊細な柄を生み出す大島紬は、鹿児島本土へも伝わり、現代の服作りにも大きな影響を与えています。近年では、大島紬や藍染などの天然染色が国内外問わず、さらに注目を集めており、多くのブランドや、アパレルメーカーが取り入れています。奄美の金井工芸には、海外から染めの技術を学ぶために訪ねてくる方も少なくないそうです。古いものと思われてきた紬や染めの伝統技術が現代の生活や若い世代に浸透してきたのも、ここ数年の特徴的な動きといえます。

 

「身にまとうものを考える」

天然染色は自然由来の冷えとりや抗菌作用、滋養などの効能もあるとされています。毎日の生活を振り返り、生活環境や食事など、自分自身がなにを好んで、なにを選んで過ごしているかを考えてみると、身にまとう衣服もまた日々過ごす中で重要なものだと気が付きます。
デザインや縫製、色、素材、たくさんの要素が揃って仕上がる服。鹿児島の土地で生まれた衣服はどんなものか、どんな感触がするのか、どんな心地なのか、この機会に触れて、感じてみませんか。
今回は大島紬や藍染などの天然染色をはじめ、伝統の文化や技術を取り入れつつも独自のコンセプトで丁寧な手仕事を行う鹿児島の服飾作家の作品が並びます。衣服を通して土地の文化や伝統に触れ、自然が生み出す魅力と丁寧な手仕事に注目してみてください。
服を選ぶ基準がほんの少し変わり、大切に長く着続けたいと思うきっかけになれば幸いです。

鹿児島の織りと染め

日程
2022/9/29(木)~11/1(火)
時間
10:00~20:00
場所
D&DEPARTMENT KAGOSHIMA by MARUYA Map 鹿児島県鹿児島市呉服町6-5 マルヤガーデンズ4F

●お問い合わせ:099-248-7804(鹿児島店)

協力:金井工芸、藤絹織物、HiHiHi、MULTIVERSE、工房 沙弥糸、最中-sanaka- (順不同)

衣服を大切に着続ける方法を考えてみませんか
着物を解いてまた新しい形にすること。
「使い続けること」をテーマにした、d SCHOOLを開催! ぜひご参加ください。
詳細やご予約は、イベントページまたはお電話(099-248-7804)にてご確認ください。
d SCHOOL「最中-sanaka- 着物を解く会」
着物に残る記憶や思い出を語らいながら、まずは解いてみて、次の形を考える会を行います。全国各地の活用されずに眠る着物を解き反物に戻し、ほぼ裁断をせずに服をつくるユニット『最中(sanaka)』をお招きし、活動や着物の活用方法をお話しいただきます。気になりながら手をつけられずにいた着物をこの機会に取り出してみませんか?

日時:10月15日(土)①11:00-12:00 ②14:00-15:00
参加費:1,000円【要予約】
細やかな手仕事によって紡がれた大島紬、縫製から仕上げまで細部にこだわり、唯一無二の作品を生み出す鹿児島の服飾作家をご紹介します。
金井工芸
奄美市龍郷町の天然染色工房。大島紬の糸染め専門だったが、現在は糸に限らず様々な染色にチャレンジしている。HiHiHiやMULTIVERSEの染めを行うなどアパレルメーカーとのコラボや、日本のみならず海外でもワークショップを行なっている。伝統を継承しながら新しい奄美らしさを模索している工房。

HP| 金井工芸
Instagram| @kanaikougei
藤絹織物
鹿児島市南栄町に奄美の原風景や文化を伝える「奄美の里」に工房を構える。大島紬の製造見学や体験も行っている。1973年には『都喜ヱ門』というブランドも展開。現代に大島紬の魅力を伝えるため取り組む。

HP| 奄美の里 藤絹織物
Instagram| hanairo_koubou
HiHiHi
「日々の暮らしの中で、人人が光輝き、豊かな気持ちになれるものづくり」がコンセプト。鹿児島県姶良市蒲生町を拠点に服作りを行う。天然素材の持つ心地よい風合いや温もりを感じさせる衣服を製作。泥染や大島紬も積極的に取り入れている。

HP| ひひひ hihihi
Instagram| @hihihi_kagoshima
MULTIVERSE
鹿児島市内に工房を構える服飾作家。デザインから素材選び、パターン、縫製、アイロン掛けに至るまで一貫して一人の手で製作。天然素材の心地の良さと、何度も微調整を重ね、細やかな手仕事を随所にちりばめた洋服は、着る人の背中をそっと押してくれるような“服が持つ力”を教えてくれる。

HP| MULTIVERSE
Instagram| @multiverse.2013
工房 沙弥糸
里山に触れ森に遊びながら、手仕事でさまざまな暮らしの道具やオブジェなどをつくる。着物に長く関わってきた経歴から、近年は大島紬の古布などを使った染め物、縫い物、衣服の製作に力を注ぐ。自然も人も布も「輪廻」していくことの良さを作品を通して伝えている。

Instagram| @kobo_samiito
最中-sanaka-
「shape for fabric succession(布を伝承するための形)」をコンセプトに、全国各地の着物を用いて、着物本来の形を変化させながら着続ける価値を捉え直し、次の形を含めた新しいプロダクトを生み出す。現代の社会状況や社会課題を捉え直し、日本の民族衣装である着物の文化保存、捨てられ続ける先代の記憶が残る衣服を、現代に生きる我々が愛着で繋がるようなプロダクトを仕立てている。

HP| sanaka
Instagram| @sa_na_ka___